想い結えて編み包んで

MHRウ教×ハ♀。相思相愛。
途中挿絵あり。

ハ♀からウ教へ、手袋という贈り物。
3ページ目は後日談的なおまけ。3ページ目のみウ視点。

今の夜空を飾る満月のように、金色こんじきの目を大きく開いて、ぱち、ぱちと、ゆっくりとしたまばたきをして。

里の教官という強者ツワモノらしからぬ、鳩が豆鉄砲を食ったような表情で、ウツシは目の前に立つ愛弟子──愛しい恋人の顔と、彼女から渡されたふわふわの手袋を、交互に見つめて。

「お、お、俺に……? こ、こんな……素敵なもの……も、も、もらって、いいの……?」

上擦うわずった声で、どこか恐る恐るウツシが呟いた時、やや緊張気味に、上気した顔も体もこわばらせていた娘は、噴き出すように笑った。

「ふふふっ……もう、当たり前です! あなたのために作ったんですよ?」

そう朗らかに告げた直後、ウツシの顔には、たちまち爛漫の歓喜が咲いた。

青磁色せいじいろ薄柳色うすやなぎいろを交互に用いた横縞模様。
指先側と手首には紺藍色こんあいいろが使われている、落ち着いた色彩。

機能面でも、指先は外に出るため、細かな作業にも配慮されている。

少々大きめな編み目も目立つが、手作り感に溢れた、嘘偽りのない愛慕あいぼの手袋。

「あ…………! ありがとう、愛弟子ッ!!」

今が夜なことなどすっかり忘れ、ウツシが満面の幸せを浮かべて微笑み、高らかに声を上げる。

娘から贈られた手袋を、全ての武器を扱う武芸百般、屈強な両手で繊細に持ち直し、そっと胸に抱きしめて。

「え、へへ……嬉しい、すっごく嬉しい……! ふわふわだね、胸がぽかぽかしてきた……! ありがとう、愛弟子! 明日から大切に使うねっ! 本当に……本当に、ありがとう!」

娘から肩の力が抜け、最愛の人、ウツシへの愛おしさと優しさに、心がほわりと温かく安らぐ。

(う、受け取って、もらえた……! 頑張って作って良かった……!)

思わず笑顔になった娘が胸の内で呟いた声は、彼を愛する心の奥で達成感を帯びて木霊こだまする。

数週間前、娘は里の受付嬢であり姉のように慕っているヒノエに教わって、編み物を始めた。

ヒノエは西洋、王国の観測拠点エルガドにて『編み物』の技術をまたたく間に会得えとくし、里に戻ってからも自分の受付嬢の仕事のかたわら、裁縫と一緒に編み物もするようになり、それを見かけた娘が教わりに来た形だ。


──大好きな、あの人のために……


その一心で、狩猟後の寝る前の時間を使って必死に作り続けた連日の奮闘が報われたような心地。

照れて赤い顔のまま、娘もウツシと同じように、爛漫に喜びと幸せを咲かせて、笑った。

@acadine