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木蔦(キヅタ)
2022-01-11 11:43:47
3569文字
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刀剣男士だったまんばが記憶喪失で神様として祀られ、村人を守るために力を消耗していく話【ちょぎくに】
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2
3
ある日、出陣先で偽物くんが失踪した。いつの間にか姿がなく、探しても見当たらないので一旦帰城したとのこと。
本丸は騒然となった。
審神者は1番信の置ける初期刀が消えたことで狼狽し、部隊員は自分達の力不足でと己を責めた。
長義も自分の好いてる刀がいないことに不安に陥った。今どこでどうしてるか、無事なのか、まさか破壊され
……
と頭によぎるといてもたってもいられなかった。
すぐさま審神者に提言し、捜索部隊を立ち上げた。審神者はまだ狼狽しており、長義に一任してくれた。
そして偵察能力が高い刀を揃え、その時代に向かった。
彼を見つけるのは簡単だった。近くの村に刀が奉納されたと噂が立っていた。折れていないようでホッとした。
しかし村人に勘付かれたのか、警戒された。閉鎖的な村で余所者には冷たい。村の近くで様子を伺っていると、偽物くんの力を感じた。
どうやら彼らは付喪神の力を悪用しているようだった。
彼を脅しているのか、意のままに操り、私利私欲に使っている。個人的な願いなども叶えさせられているらしい。
フツフツと怒りが湧いてきた。
自分の写しを虐げるなど許せない。
しばらくすると彼は弱い結界を張ったようだった。恐らく指示されたに違いない。こんな弱いもの、すぐに破れる。形だけ。恐らく早く助けにきてくれとSOSサイン。
願いを叶えるにしろ、結界にしろ、彼は神刀ではないのでそんな力は使えないはず。村人によって存在をねじ曲げられているのかもしれない。
自分達の存在は物語から。それが揺らいでいるならもしかしたらまずい状態かもしれない。
偽物くんが捕らわれている神社に踏み込み、奪還しようとする。しかし人間に操られた彼が刀を抜いた。本気での抵抗。洗脳でも受けてるらしい。
カンストしている初期刀を無傷で抑え込むのは難しい。一旦引いた。
本丸で会議をした結果、様子を見ることになった。
そんな悠長なことはしていられない。随分弱っているように見えた。今にも消えてしまうかもしれない。
長義はこっそりと本丸を抜け出す。写しの元へ。
写しを逃がすまいと神社には随分人を割り当てている。
監視の目を潜り抜け、寝ている写しの部屋に侵入を果たした。そして抑えつける。
「暴れないで、偽物くん。お前を、助けに来たんだ」
写しはぴたりと抵抗をやめた。長義をじっと凝視している。
「あんたは
…
?」
長義のことがわからないらしい。洗脳だろうか。
「俺はお前の本歌だよ」
「ほん、か
……
?」
存在が揺らいでいる。相当弱っているようだ。
「俺
…
俺
…
」
縋るような視線。迷子のよう。
「お前は本歌山姥切の写し、山姥切国広だ」
「
…
っ」
名を呼んでやると再びぶれる。苦しみ始める。
「国広、気をしっかりもて」
落ち着かせようとしても聞いてない。過呼吸。
だけど名前だけには反応する。
「ほ、ほん
………
、んんっ」
助けを求めるような声。
呼吸を奪うようにキスをした。
「落ち着いた?」
はぁ、と写しが熱い息を漏らす。ぼんやりとした顔のまま、こくんと頷くと意識を失う。慌てて抱きとめた。長義の腕に収まってることにほっとする。
だいぶ霊力が少ない。村人に分け与えていた所為だろう。
写しをしっかり抱き、長義は時間移動装置を起動させた。
写しを自室にそっと寝かせる。まるで死んだようにぐったりとして、肌も青白い。どんどん弱っているのが手に取るようにわかる。
長義は致し方ないと腹を括った。
写しの唇に自分のそれを重ねる。そしてそこから自分の霊力を渡した。
「ん
…
」
もっとと言いたげに写しは長義に吸い付いてくる。
「国広
…
」
「んぅ
…
」
意識がないが名を呼べばぴくりと身体が反応する。さらに呼ぶごとに朧げだった国広の存在が明確になっていく。
ちゅっちゅと施しを与える。冷たかった写しの身体が熱を帯びる。青白い肌が赤く染まって行く。
「
…
っもう、これくらいで
…
」
長義は唇を離す。この程度与えれば大丈夫だろう、ぶれていた存在も安定し、消えたりしないはず。手入れを受ければ元に戻るだろう。
それに本歌とは言え、そろそろ与えるのもつらい。長義の霊力で賄えないほど、写しの霊力は枯渇していた。
しかしそうは問屋が卸さない。
意識がないはずの写しの腕がぬっと長義に伸びた。首筋に腕が回る。そしてぐいっと長義を引き寄せた。
「
…
っおい!んっ」
口を吸われる。国広が霊力を根こそぎ持ってかんとしていると気付いた。口内に舌が侵入し長義の事を切なく乞う。
「
…
待て
…
!」
無理矢理唇を離して抵抗したが、好いている者を無碍にすることもできず、拒否し切れない。
「待て、これ以上は無理だ、お前のためにも!」
霊力の限界もあるし、想いびととのこれ以上の性的な接触は避けたい。ごにょごにょが限界。
「ほん、
……
かぁ」
寝言かと言わんばかりの長義を求める囁きに、ぷつんと何かが切れた。
暗転
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