木蔦(キヅタ)
2021-02-14 17:49:32
3789文字
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要らないならくれと言われて、長義の所有物になるまんばの話【ちょぎくに】※いろいろ注意


ちょぎくに
※自傷行為表現あり

まんばは放置本丸の初期刀だった。長いこと審神者が帰ってきてない。今回、本丸が解体されることになった。まんばは政府に引き取られることになる。

まんばは自分を責めた。自分が頼りなかったから、しっかりしていれば、弱いばかりに、写しだから……
なぜ未だに人の身で活動しているのか疑問に思えてくる。そして刀解されるべきでは、早く折れたい、終わりたいと思うようになる。

自分がこんな場にいるべきではない。自分が悪いのになぜ罰されずにここにいるのか。本丸の仲間から糾弾されればいいのに。

いつしかまんばは隠れて自分を傷つけるようになる。このまま消えてなくなればいいのにと思う。

そんなところを偶然政府勤めの長義に見つかる。咄嗟に取り繕おうとするが、誤魔化しようがない。

「折れたいのか?」
……
折れたいと言ったら止められるだろうから、答えられない。
「どうせ折れるなら残りの刃生、俺にくれないだろうか?やってみたいことがある。協力してほしい」
長義にそう提案される。
「その後なら折れようが消えようが構わない」
……俺で、いいなら」
「じゃあ今日からお前は俺の刀だ」





長義がまんばの家に訪ねてくる。まんばを所有しているんだから、飯を作れとかマッサージしろとか召使いのように使われるかと思いきや、逆で甘やかされてる。
何もかもやってくれる。甲斐甲斐しい。

「あ、あの、俺がやるべきじゃ?」
「なんで??」
「俺はあんたのもんなんだろ?だから使用人みたいなことは俺がやるべきじゃ……?」
「俺がしたいことをする、ただそれだけだよ。俺の物のくせに使い方で持ち主にケチつける気かな」
「そういうわけじゃないが……

なんだかまんばばかりいい思いをしていて、納得いかない。
ちなみに長義がまんばを後ろから抱きかかえるような格好で座って話してる。付き合ってない。



長義は何かしたいことがあると言っていたが、それをする素振りすらない。いつやるのか、何なのか。まんばはさっさと終わらせて、折れたかった。

それなのに長義はまんばを甘やかす。そんな事をしてもらう資格はない。困る。

まんばは長義に隠れて傷をつける。早く終わりにしたい。楽にしてほしい。
長義に見つかる。

「何してるんだ!」

まんばはマズイと思う。咎められると思う。

「お前は俺のものだぞ!?俺の許可なく傷をつけるなんて許せない!誰であってもだ!」
「でも」
「でももクソもあるか!お前は他人の持ち物を勝手に壊すのか!?非常識だぞ!」
手当てされる。
手をぎゅっと握られる。
「これは俺の持ち物なんだから、大切に扱って欲しい。俺がいつも大事にしてるの知ってるだろ」
まんばはいつも甘やかされてるのを思い出す。あれは大切にされていたらしい。
「俺がやりたいことを終えるまで、ずっとだよ」




まんばは精神的に追い詰められていた。

長義は優しくしてくれる。本当に大切なものを扱うように優しく。それがつらい。まんばはそんなことしてもらう価値などない。見返りもない。

まんばは自分自身を大切になんてできない。傷つけて傷つけてボロボロにしないと気が済まない。それなのに長義がそれを禁ずる。

それに終わりが見えないのもつらい。長義のやりたいことに付き合うと言ったは良いものの、いつ終わるのかわからない。

早く解放して欲しい。折れたい。

まんばはもう終わりたいと泣く。長義に訴える。そして何がしたいんだと問う。

「俺は人目も気にならない場所で、お前とこうしたかったんだよ」

とぎゅっと抱きしめられる。

「でもお前がそんなにつらいなら、終わりにしてもいい」

長義にそう言われて、まんばは縋る。
「お前が終わりたいなら、俺を折れ」
「え!」
「俺が消えた時がお前が自由になる時だよ。持ち主から解放されたければ俺を折ればいい」
「できない」
「自分自身は折れるのに他刃は無理と?」
「あんたには折れてほしくない、いやだ
「なんで」
「あんたが折れたら悲しいしつらい
「俺も同じ気持ちだよ」
「え?」
「俺もお前が折れたら悲しい。お前は俺にそんな気持ちをさせようとしている。お前は俺の物なのに、折れるなんて駄目だ。お前が必要なんだ」

まんばは、ああ自分は審神者に必要とされたかったんだなと気付く。

捨てられたと認めたくなくて、ずっと存在を消そうとしてた。折れてしまえば捨てられたという事実を消せると思った。

少しだけ長義の役に立てたら折れようと思っていた。だけどなかなか終わりが見えずやきもきした。
ずっと必要としてもらえるんだ、とまんばは思う。
それが嬉しくて、もう一度だけ生きてみようかと思う。それから折れても遅くない。

そう考えると自分の今までしてきたことがどうでも良くなってきた。審神者に何を期待していたのか。

まんばは自分を傷つけるのをやめ、責めるのもやめた。


ふたり仲良く過ごし、ちょぎくにハッピーエンド。

お読みいただきありがとうございました。お疲れ様でした。

■どうでもいい設定
・このふたりの物 理 的 距 離 が  お か し い 。
・長義は『偽物くん』設定に囚われてる。写しを可愛がりたいのに、可愛がれないジレンマ。
外では『名を奪われた本歌』と『本歌よりも有名になってしまった写し』の関係でなければならないという圧力を感じている。
・ふたりは家にいる時大抵くっ付いてる。付き合ってない。
・家って言ったけど、政府が用意した社員寮だよ。
・この後、ふたりは共依存関係に。
・長義はまんばのことを好きだったわけではない。最初に行為を目撃して、「ああ、この写しを助けてあげたい、本歌として何か与えてあげたい」と思ったのがキッカケ。この後一緒にいて、恋心芽生えてます。ふたりとも無自覚だけど執着はすごいよ。