オメガバ強化週間⑦
東線さんからのリクエストでラット長義くんの話。
※リクエストは普段募集しているわけではないので、お声がけなどはご遠慮くださいませ。
ちょぎくに
花街ネタ
まんばはΩ。訳あって花街に勤めていた。しかしまだ客と閨を共にしたことがなく、処女だった。
普通、三味線などのお稽古ごとを一通り習い、その後店の馴染みの客に水揚げを頼んで、ようやく客前に出る。
まんばは水揚げもまだで、お稽古ごとも練習中。デビューはまだまだ先の話だった。
しかしある日大変なことが起こる。
なぜかその日来る客は山姥切長義ばかりで、必ず山姥切国広を指名する。そのせいでその日は全員出払ってしまっていた。
「国広、出れる?」
「えっ!?俺!?で、でも水揚げもまだなのに
……」
「でももう他に山姥切国広がいないから
……。一通りの流れは知ってるよね?」
「知ってるけど無理だ
……!」
「無理じゃない!できるできる!」
結局押し切られ、出ることになってしまう。
「首のベルトはちゃんと鍵かけた?うなじは絶対噛まれないようにね。」
「かけた。わかってる」
まんばは初めてのことでドキドキ。上手くできるか心配。
この店ではΩばかりが働いている。
刀によって第二性がほぼ固定化されているため、限られた刀しかいない。
山姥切国広はβかΩ。だから客として山姥切国広が来ることはほぼない。
客に勝手にうなじを咬まれないように保護の皮ベルトの着用が強制されている。結構丈夫なので切れたりはしないし、鍵をかけ、別室で管理しているため、雰囲気にのまれてΩ自ら外すこともない。
まんばは実はこんなところでは働きたくない。写しなど慰み者がお似合いだろうが、性を生業にするなど、刀の性分じゃない。つらい。不器用なので芸事は向かないし、いつも失敗ばかり。客との会話だって、口下手だから上手くいかない。
正直ここを出て行きたいが審神者の借金(お約束な理由)で売られたため、逃げ出すと審神者が罪に問われるかもしれない。というか逃げ出しても審神者の所しかアテはないからすぐ捕まる。
まんばは気が進まないながらも、しぶしぶ客の待つ部屋へと向かう。
襖を開ける。開けた途端、まんばは空気に呑まれた。部屋中にαの匂いが充満している。まんばも酒を注ぐなど賑やかしで客前に出たことがあるが、ここまで酷いことはなかった。息をしなくても肌から染み入るほどに、凄まじいαのフェロモンが醸し出されている。
「ようやく、来たかな
…」
薄暗くて、いかにも~な雰囲気。そこに山姥切長義が一人座っていた。目はギラついていて、今にもまんばは取って食われそう。怖すぎて肝が縮んだ。
怖いはずなのに、それとは裏腹に体が熱くなっていく。あらぬ所が物欲しげに収縮する。今は発情期ではないのに無理矢理リミッターを外された感覚だった。
長義は少し前に問題に巻き込まれた。
それは山姥切長義と山姥切国広がいざこざを起こし、傷害事件にまで発展したものだった。その時長義は止めに入ったものの、ボコボコにされた。誠に遺憾だった。
示談の話し合いがしたいと先方から言っていると政府から連絡があり、長義はしぶしぶ政府に赴いた。
その時、なんだかラット(αの発情期)の兆しがあったが、まあいいかと無視した。それがすべての発端だった。
話し合いを進めるうちに長義は本格的にラットに入ってしまった。
そしてそれがΩである山姥切国広のヒートを誘発させた。さらにその場にいたαを発情させた。ちなみに殆どがαだったらしい。
みんながΩを求め、大変な騒ぎになった。
これが俗に言うオーバーシュートである。
まあ大丈夫だろ、という安易な気持ちがとてつもないおおごとに発展させてしまった。
全然大丈夫じゃないから意識を高く持ってほしい。
なんにせよ、その場にいた全員が発情した。そしていろいろあり、Ωはある長義と番いになった。めでたしめでたし
……ではない。
残された者は性欲を持て余し、困っていた。番いがいるなら問題ないが、いない者は発散の方法を探さねばならない。
そしてオーバーシュートの元凶であった長義は花街に来たというわけだった。
「山姥切国広を頼むよ
……」
ラットに入ってから結構経つ。身体が熱くて仕方ないし、1秒だって我慢できない。しかし言われたのは絶望的な言葉だった。
「今山姥切国広は全員客を取っていて
……」
「はぁ!?なんで!?」
「いやなぜか今日は指名が多くて
……」
「一人も!?いないのか!?」
「いや、その
…」
「いるんだな!?」
「いやでも、その子は半人前でして
……」
「半人前でも何でも構わない!いっそ代金は二倍出す!その子を出してくれ!」
「ただ水揚げもまだでして、お客様に粗相を
……」
「構わない!!三倍出す!」
もう何でもいいから早く抱きたい。つらい。
その男は慌てて奥に引っ込む。そしてしばらくして話をつけてきたのか、長義を部屋に通した。
「待たせた、な
…」
「ようやく来たかな」
実際は数分だったのかもしれないが、発情期ゆえ、とてつもなく長く感じた。
顔を合わせた山姥切国広は大層可愛らしかった。もじもじとウブな様子、ちらりと送る控えめな視線、ほんのり色づいた頬。
ドストライクだった。
「おいで」
長義はまんばを招く。まんばは部屋に入ってきて、ちょこんと長義の隣に座った。
「そっちじゃなくてこっち」
強引に引き寄せて、膝の上に乗せる。まんばは戸惑いながらも大人しくしてる。
ラットゆえに、Ωをとても甘やかしたい。囲いたいという気持ちが湧いてくる。
「や、やっぱり、俺、無理だ
……っ」
まんばが顔を俯かせ、フルフルと首を振る。
「無理?」
「できない
…っ」
「俺を拒否するの?」
「え
……っと」
「俺が嫌なの」
*\(^o^)/*
丈夫だったはずのベルトは長義の強靭な顎によって引きちぎられる。そしてめでたく番いに。
その後は「番いになったなら見世には出せない」と店主に言われ、身請けされることになる。まんばは長義の本丸へ。
その後は長義に大切にされてめでたしめでたし。
ちょぎくにハッピーエンド!お付き合いありがとうございました!お疲れ様でした!
どうでもいい設定
・すべての元凶
・知識不足なので、本当のラットはΩを誘うフェロモンが出てないかもしれない。ヒートに比べて情報が少なすぎた。木蔦の思い込みで書いた。
・ラットはΩを守る気持ちが強くなるらしいけど、そんなシーンを入れれず残念
……
・壊れたのは鍵とベルトの接着部分。さすがに皮を噛み切るなんてできないよ
……
・長義くんは一目でまんばのことを気に入りました。まんばは恐怖のあまり長義くん個人を見てませんが、本丸に引き取られ、大事にされ、徐々に惚れていきます。
蛇足
「あの申し訳ありません、お客様
…」
部屋の中からはまだ喘ぎ声が聞こえるが、たまらず男は声をかける。
しばらくすると、長義が浴衣を羽織っただけの状態で出てきた。
「なに?」
「連泊は可能ですが、さすがにそろそろ従業員を解放していただけないでしょうか。あの子は初めてなもので、疲労しているでしょうし、ご飯や休息を与えてやりたいので
…。代わりに別のΩを用意いたします」
長義は鋭い目を向ける。
「俺はあの子がいい、他のΩは不要だ。休息ならこちらで取らせる。」
「しかし」
「くどい!あの子は俺のΩだ、あの子を回収した後、別のαに当てがう気だろ!そんなことはさせない」
ちらりと従業員が部屋を盗み見ると、まんばがぐったりと横たわっている。初めてなのにこんなに長時間抱かれ続けて可哀想にと思う。
「恐らく疲労しすぎて、使い物にならなくなるかと思われますので、お返しして頂けませんか
…?本人に休息を与え、身なりを整えさせた後、必ずお客様の元へ向かわせますので
……」
「そんな戯言には騙されない
…!俺からあの子を奪ったら、一生会わせない気だろ
…!!」
なんだか違和感を感じる。山姥切長義はもう少し冷静な刀だろう。それなのに非常識な言い分で、攻撃的な態度に出るのは何故だろうか。男は考える。
そういえばαの性質でラットというものがあった。αの発情期で、自分の番いを守るために異様に攻撃的になるとか。
この店では番いになることを禁止しており、その防止としてΩの首にはベルトを嵌めている。まんばも例外じゃない。ちゃんと嵌めていった。
だから番いにはなってないはずだが、深い交わりでまんばを番いだと一時的に認識しているのかもしれない。
ラットのαは危険だ。ここは下がった方がいいかもしれない。
「承知致しました。ではお食事だけお持ちしますので、無理をさせるなどはご容赦くださいませ
……」
「うん、大丈夫。だいじにするよ」
そうして襖を閉めたのだが、既にふたりが番っているとは考えもしなかった。
ふたりが出てきた一週間後にそれが発覚し、店は大波乱が巻き起こる。
おわり。
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