オメガバ強化週間⑤
ちょぎくに
まんばはβ。ある日体調が悪くなり、仕事を休む。
実はこのまんば、近侍で馬車馬のように働かされていた。体調が悪くなったのもそのせい。
みんなが珍しく甲斐甲斐しく世話してくれる。ああ、人に世話されるのもいいものだなと思う。みんなの心配が嬉しい。
まんばは発熱していてぐったり。それが一週間ほど続く。
ちょうどテレビを付けていると、第二性の特集をやっていた。『Ωは発情期になると一週間ほどそれが続き
…』『途中でβからΩになる場合も
…』などと言っている。
「もしかしてまんばちゃんもΩになってたりして!」
「そんなことあるわけないだろ」
明らかに風邪の症状だし、普段の忙しさから不摂生だったせいで、体調を崩した。
「え?まんば、Ωだったの?」
「は?山姥切、そうなのか
…!?」
「え、違
……」
「Ωだったんだってー!」
なぜかそう言う話が広がってしまった。
「おー、山姥切!Ωだったんだって??」
「ちーがーうー!」
否定してもキリがない。もうまんばは途中で諦め、「あーはいはい」と流すことにした。
生憎、この本丸にはαもΩもおらず、正しい知識を持つものはいなかった。だからテレビで知った内容しか知らなかった。
αだと発情期に大変でしょ?そろそろ時期じゃない?などとみんなが気遣ってくれるようになる。
まんばは否定するが、審神者にも話が伝わってるのか休みになる。
まんばはなんだか前より気持ちが楽だなぁ、みんなが気遣ってくれて嬉しいなぁと思い、騙してる罪悪感はありながらも現状に甘えていた。
しかしこの本丸にαが顕現してしまう。
「あーうちの初期刀がΩみたいでね、あれ?国広は?」
「あれ?まんばちゃん、さっきまでいたんだけど、どこ行ったんだろ?」
(聞いてない!元監査官で俺の本歌の山姥切長義がαだなんて聞いてないぞ
……!!)
本物が顕現したら、偽物だとバレてしまう。
まんばは咄嗟に隠れる。そしてすぐさまネットで検索してΩのことを調べる。
αにはΩが甘い匂いを発しているように感じるらしい。まんばはすぐさま万屋に行って、香水を買ってくる。自分に吹きかけて、ふぅ、と息を吐いた。一旦はこれで凌ごう。
(いやいや待て、なんでΩじゃないって隠す方向に動いてるんだ
…!素直に言えばいいだろ
…!)
とりあえず香水を落とそう、もういっそ長義とは顔を合わさないようにしよう、と思ったところで当の本人と鉢合わせてしまう。
「おや、偽物くんじゃないか」
「!!!」
長義の言う偽物は『山姥切の偽物』だと他の本丸から伝え聞いている。
しかしまんばには別の意味に聞こえてしまい、動揺してしまう。
「う、うちゅ
…写しは!にしぇものと違う!」
普通に噛んだし、噛んだとわかっていても押し切った。もう恥ずかしすぎて折れたい。
「ん?甘い香りがするね」
「
…!!」
やばいバレる、とまんばは身を固くする。
「そういえば偽物くんはΩなんだって?」
「いや
…、その
…!これは違うんだ、実は」
「こんな甘い匂いを漂わせておいて何が違うの?俺がαだって知ってるよね。もしかして誘ってる?」
「え!?さ、誘ってない
…!」
まんばは説明しようとするが慌てすぎて上手く言葉が出て来ない。
「だって俺が来るって知ってたのに、抑制剤も飲まずに、俺の前にのこのこやって来るだなんて」
「抑制剤
…?」
まんばはそんな物があるのか、と思うが、無知を曝け出すとΩではないとばれてしまうと咄嗟に思う。
「あ、いや、その、飲み忘れただけで
…」
いやいや違うだろ!Ωじゃないとちゃんと伝えないと駄目じゃないかと思い直すが、弁解する前に長義が被せるように言う。
「本当かな?」
やたら顔が近い。まんばは眩暈がしてくる。
「ほ、ほんとだ
…っ」
「ふーん??」
バレてるのかバレてないのか。早く立ち去りたいと思うのに、何故か腰をがっしり抱かれて逃げられない。
「ちょっと俺の部屋に来ない?」
「え、なんでだ??」
「Ωのことを教えてあげよう。各本丸にはちゃんとした教育が行き届いてない場合が多いからね、自分の事なんだから、Ωの体質について正しい知識があった方がいいだろ。幸い俺は政府でちゃんと講義を受けてるから」
「そ、そうなのか
…?」
まんばはのこのこ長義の部屋にやってきた。
Ωだとしても体質を理解してない者が多いんだな、良かった、とホッとする。もしかしたら抑制剤を知らなくても怪しまれなかったかもしれない。そんなことを考える。
「さあ、偽物くん。詳しく教えてあげよう」
押し倒される。
「実技でね」
「へ??」
まんばはいきなりのことで目を白黒。でも長義はどんどん先に進んでいく。
「Ωのフェロモンはね、αを誘うんだよ。一応αにも発情期っていうものがあるにはあるんだけど、Ωのフェロモンに誘発されるケースが多いかな」
「っ
…」
長義が詳しく解説してくれているが、全然頭に入って来ない。長義に翻弄されている。
「Ωは女性みたいにここが濡れるんだ、だけどお前は難しいからたっぷり塗ってやろうね」
冷たい液体の感触がしてそれすらまんばは反応してしまう。
「さあ、可愛がってあげようね、俺のΩの偽物くん」
暗゚+.(っ´ ∀`)っ゚+.゚転
まんばは目が覚める。全裸で寝ていた。首が痛い。近くにあった鏡で見てみると噛み跡があった。身体中も赤い点がポツポツ
…。
既に長義の姿はない。
まんばは湯あみを済ませ、朝食に向かう。途中、他の刀に会った。
「あ、まんばちゃん!長義さんと番ったんだって?おめでとう~!」
「はぁ!?」
行く先々で「おめでとう」やら「身体大丈夫?」やら言われる。まんばは訳が分からない。
「国広、長義と番ったって聞いたけど」
ついには審神者にもそんなことを言われる。
「つ、番ってない
…!」
「でも首のところ
…」
「お、俺はΩじゃないから、αと番うなんてできない!」
「え?でも長義が
……」
審神者が不思議そうにしている。
「国広、こんなところにいたのか、ダメじゃないか部屋を抜け出したら」
「へ?」
「Ωは発情期に1週間、番いと部屋に篭るんだよ。さあおいで。ご飯は部屋で食べようね」
担がれて、攫われてしまう。
暗転。
「長義、俺は実はΩじゃな
…んんっ」
暗転。
「番いにはなれな
…っあ
…!」
暗転。
「べ
…」
暗転。
おかしい、おかしすぎる。言おうと心に決めても、気付くと前後不覚になっている。
ぐずぐずに甘やかされると、もうΩってことでいいかという気分にすらなってくる。いけない。
いずれこの本丸にも本当のΩが顕現するかもしれない。そうしたら長義はそちらと番うことになるだろう。そう考えると胸がズキズキ痛む。
このままΩのフリを続けるべきだろうか。
「何考えてる?」
余所事を考えていたのが気に入らなかったらしい。ちょっとおこ。
「す、すまない
…っ」
「お前はどうやったら認めてくれるの。いつ俺に捕まってくれる?」
「え
…」
「お前は誰がなんと言おうと俺の番いだ、Ωじゃなくても俺の運命だよ」
ちょぎくにハッピーエンドー!
どうでも良い設定
・長義くんは知ってたよ。
・Ωだと勝手に濡れるんだけど、βはそんなわけにはいかないから、丁寧に丁寧に長義くんが解してあげてました。
・長義くんの一目ぼれですので、もう何としてでも手に入れようとしますね。
・運命の番いとかではないです。長義くんが勝手に言ってるだけです。
・まんばはβです!!!
④
⑥
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