木蔦(キヅタ)
2020-08-29 23:11:19
4533文字
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内緒話をするちょぎくに【ちょぎくに】


ちょぎくに

【秘密の共有】
大して親しくない相手でも秘密を共有すると距離が縮まる。これは親しくないのに秘密を打ち明けられたという矛盾があり、それを正当化させるために、脳が錯覚を起す。錯覚により相手が特別な人だと認識する効果がある。

「あんたにだけ話すが、俺、実は女なんだ」

偽物くんがそっと耳打ちする。言葉を返す間もなく、彼は『内緒だぞ』と言っていなくなってしまった。

思い返してみれば、彼を風呂場で見かけた事がない。着替えている所に出くわした事もない。彼は既にカンストしているからあまり戦場に出る事もなく、真剣必殺を見たことがない。

本当に女性なのだろうか。

我々はその秘密を探るため、アマゾンの奥地……ではなく偽物くんの部屋に向かった。

本当なのかと迫ると顔を真っ赤にさせ、『目を閉じててくれないか』と言った。素直に閉じると、そっと手を導かれ、温かくて柔らかい物が触れる。思わず揉んだ。

「主には黙ってて欲しい」

「どうして俺にそれを?」
「誰か共犯が欲しかった。一人で隠し続けるのはつらかった」

写しにとって自分にだけが弱みを見せられる特別な存在なのかと考える。やはり本歌だからか。求められたら応えたい。

「わかった、お前の好きにするといい」

今まで偽物くんのことは生意気で憎むべき相手だと思っていたが、急にかわいく思えてくる。もっと甘えればいい。

「嬉しい」

そこからの展開は早かった。彼、いや彼女の相談を受けるたびに、かわいく思う気持ちが、愛おしさに変わり、自然と恋仲になっていった。

「あ長義、明かりは消して欲しいその、恥ずかしいから……

恋仲であるため、そういうことだってした。
彼女は明かりを付けるのはとても嫌がった。女性だというコンプレックスがあるためかもしれない。

「わかった」

素直に受け入れると彼女はホッとした顔になる。女性だろうと男性だろうと気にしないのに。
女性経験はなかったが、彼女との相性がいい所為か、すんなりと致すことができた。

いつしか俺は彼女にメロメロになっていた。彼女の求めることはなんでも与えた。たくさん甘やかしてやるのが好きだった。

『秘密』が明るみに出るまでは。