木蔦(キヅタ)
2019-06-19 07:32:15
9308文字
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ゲームの世界に取り込まれたまんばくんの話【ちょぎくに】※現パロ注意







長義はまんばのことをじっと見てきて、居心地が悪い。
しかも彼はまんばを「偽物くん」と呼んでくる。

「写しは偽物とは違う」
「そんなことは知ってるよ。だけど君は偽物くんだ。」
「違う、俺は偽物なんかじゃないっ」

長義はたびたびまんばに絡んでくる。



ある日、まんばが眠れなくて、厨に水を飲みに行くと長義に会う。
気まずくてすぐに立ち去ろうとするが、「お前も水を飲みに来たんじゃないのか?」と話しかけられる。帰れない。
用を済ませてすぐ帰ろう、と思う。
長義がいつものようにじっと見てくる。居心地が悪い。

「似てるな」
「写しなんだ、当たり前だろ」
「いやそうじゃなくて」

言葉に迷っているように、長義は詰まる。

「お前は俺の大事な子に似てる。だから放っておけない」

いつもと違い、優しげな眼差し。それは現代の長義でもゲームの長義でも見たことがない表情だった。

(大事な子……?)

意味深な発言に「もしや現代の長義と同一人物ではないか」と思ったが、現代の長義はそんな顔しない。
まんばに対しいつもバカにしたような顔で見下ろしてくる。
そんな愛おしげな眼差しをさせる子がまんばは純粋に羨ましいと思った。
でも放っておけないと言いつつ、マウント取ってくるのはどうなんだと思う。
もし好きな相手にそんな態度を取ったら嫌われてしまうのでは。

「あんまり俺に構わないでほしい
「いやだね」
「な、なぜだ!あんたの大事な子を構ってやればいいだろ!」
「今は側にいないからできない。」

そしてまんばをじろじろ色んな角度から見る。

「うん、お前を代わりにしてやってもいいよ」
「はぁぁぁ??」
「俺に構ってもらえるんだ、光栄に思うといいよ」
「いやいやいやいや!」

まんばは正直勘弁してほしい。
まんばは強引に押し切られてしまう。
次の日から長義くんに絡まれることになる。

「偽物くん、おはよう」
………おはよう、俺は偽物じゃないが……
「うるさいよ。それよりここが空いてるから座りなよ」
朝食の席を指定されてしまう。



「今日は非番だろ?俺の部屋においで」
「え、なんで」
「俺がおいでって言ってるんだからお前は何も考えず来ればいいんだよ」
部屋に行ったら餌付けされて、他愛もない嫌味に付き合わされる。



「偽物くん、少し飲まないか」
……俺は未成年なんだがあと偽物じゃない。」
「この世界に法律があるのかい?固いね」
結局長義の晩酌に付き合わされる。(まんばは注ぐだけ。あとおつまみをもぐもぐ)





まんばは長義との距離を計りかねているものの、長義は気にせずまんばのパーソナルスペースにズカズカ入り込んでくる。
まんばは嫌だなという思いがありながら、なし崩しで許してしまい、そして絆されて行ってしまった。



ある日長義がまんばに言う。
「偽物くんを見てると俺の大事な子かと錯覚しそうだ。外見だけじゃなく、仕草や声、表情もそっくりだ」
と言い始める。
あの夜以来、話題に上がらなかった『大事な子』にまんばも興味津々になる。

「その子は今どこにいるんだ?」
「ここじゃない世界に生きてる。俺は別の世界から来たんだよ」

まんばはそれを聞いてこれは自分の知る長義ではないかとほぼ確信する。
そして、長義が指してるのはもしや自分ではないかと思う。

「あ、あんたは、その子の事が、好き、なのか?」
「そうだよ、小さい頃から愛してる」

まんばはショックを受ける。
長義は「姿が似てるというだけで、なんでお前にこんなにも話してしまうんだろうね」と言ってる。
まんばには話しやすいらしい。



それ以降、まんばはその事を思い出し、長義の顔がまともに見れなくなってしまう。
そして長義を避けるようになる。



「偽物くん、ここにお……!」
朝、ご飯を食べに大広間に来たが、長義が呼び寄せようと声を上げたのに気づき、聞こえなかったフリして踵を返す。



「偽物くん、万屋に買い出しに行くから、付いてきなよ」
「すまない、今日は加州に内番を代わってくれと言われて、非番じゃなくなったんだ」
急に用事を作り、誘いを断る。



「偽物くん、今いいかな……あれ?いない?」
部屋に訪ねてこられ、咄嗟に居留守を使う。(隠蔽能力を舐めてもらったら困る)





そんなこんなで、まんばは長義を避けに避けた。




まんばはある日御手杵から「堀川がお前のこと探してたらしいぞ、南棟の方に行ったとよ」と言われる。
礼を言い兄弟を探す。しかしそこで腕を引かれ強引に部屋に連れ込まれる。
引いた犯人は長義で、まんばはここは長義の自室だったと気付く。
迂闊にものこのこと近くまで来てしまった。



「偽物くん、何で俺を避けるのかな」
「さ、避けてない!」
「俺が気づかないと思ったの?そこまでされたらわかるよ」
「そ、それより兄弟が探してるみたいだから、早く行かなくては!」
「嘘だよ」
「は?」
「お前の兄弟が探してるなんて真っ赤な嘘!お前をここに来させるためだ」
長義の計画的な犯行だったと知る。
「なんで避けるのかな?」
まんばはだんまり。言いたくない。
「偽物くんのくせに反抗するのか?」
長義が不機嫌そうな顔で言う。さらに「言わないなら辱めを受けても文句は言わないよね?」って言い始める。
まんばは驚いて、慌てる。
「俺は、その、あんたと同じ世界から来た、国広、だ……!」
それだけ言って真っ赤で黙り込む。
「え゛……
二振りして真っ赤で黙り込む。

それまで長義に押し倒されてたのに、急に距離を取られる。
そして目が泳いでる。まんばは確信してしまう。

「すまない、恥ずかしくて、あんたの顔見れなかったんだ。だから避けてた」
「偽物くん……いや、国広、もう俺の気持ちわかってるなら答えろ」
長義は再びまんばに近づく。
「俺の事が嫌いか、そうじゃないか」
長義にしては控えめな質問だなと思う。長義は何でもできて、自信満々で、みんなから認められてて、比べ物にならないくらいの存在なのに、今はただ恐々と返事を待っている。
まんばは従兄弟の長義にコンプレックスがあった。
だけど同時に彼自身にどうしようもなく惹かれていた。
そしてそんな自分自身が嫌いだった。長義と比べると何もできなくて、努力しても追いつけなくて。
「俺は、………好きだと思う」
そんな言葉が口から突いて出た。嫌いじゃないと言うはずが、今までの事を思い出し、思わず言ってしまった。
慌てて口を押さえるが時すでに遅し、長義はびっくりした顔で見下ろしてる。
「本当か?」
まんばは目をそらす。沈黙が降りる。
「別にいい、答えなくても。言いたくしてやる」
「!?」
その後二人は結ばれて、無事現代に帰宅し、ちょぎくにハッピーエンド!
お疲れ様でした!

気づいてたと思うけど、長義くんは「(俺の従兄弟の)偽物くん」って呼んでます。