木蔦(キヅタ)
2019-06-19 07:32:15
9308文字
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ゲームの世界に取り込まれたまんばくんの話【ちょぎくに】※現パロ注意





彼がまんばの従兄弟なのかはわからないが、長義は優しくて徐々にまんばは惹かれていく。
まんばのキャラは比較に対してコンプレックスがあるが、それを理解したうえで「お前はお前だよ」と言ってくれる。
それはまんばのキャラが言ってほしかった言葉というのと同時に、まんば本人も認めてほしかった事だった。
従兄弟がまんばを見る目はいつも冷え冷えとしていて、見下されているような気分だった。(実際優劣はあったので見下されていたのだと思う。)

だけど顔のよく似たゲームの長義はまんばに優しい。
自分を「長義の比較対象」「長義のコピー」として見ず、個として認めてくれる、まさにまんばが求めていた存在だった。

そしてまんばは恋を自覚してしまう。
告白はしないが、長義もまんばのことを特別扱いしてくれるので、脈があるのでは、と思ってしまう。
しかしゲーム上、二振りは本歌と写しの関係のため特別扱いは当然だ、平常心平常心と言い聞かせる。

「お前は仕方ないな
ヘマをするとくすくす笑いながら、小言を言いつつもフォローしてくれる。眼差しは甘い。距離も近くてよく頭を撫でられる。スキンシップは多い。
「うすまない
「今度から気を付ければいいよ」
ふと手が触れ合って、バチリと目が合う。
長義の瞳は澄んだ青色で、吸い込まれそうになる。目が離せない。

「国広」

彼の手が頬を滑り、顔が近づいてくる。
身体は動かせない。


「国広!!」



バタバタバタというけたたましい音と共に、障子が勢いよく開く。
そこには長義がいた。
切羽詰った顔をしている。思わぬ第三者の乱入で、咄嗟に身を離した。

「ええ??な、長義??なんで?うちには一振りしかいないはず!」
「国広!!こんなところで何やってるんだ!!帰るぞ!!」
突如現れた長義は、まんばの手を引く。まんばは座ったまま前のめりになる。

それをゲームの長義が止める。
まんばを庇うように間に入る。

「いきなり君は何なのかな、国広が驚いてるじゃないか。」
「お前こそプログラムの分際で、邪魔するつもりか?」

まんばは目を回している。

「国広、助けにきたんだよ、おじさんもおばさんも心配してる。さあ俺と一緒に帰ろう。」

乱入してきた長義が言う。
ようやくそこでまんばは彼が従兄弟の長義だと気付く。

「なんであんたここに?」
「お前がゲームに取り込まれたことに気づいて、プログラムをいじって介入したんだ。戻れるように設定を変えたからもう大丈夫だよ。こんな所とはさよならできるよ」

従兄弟の長義が優しい表情でそう言う。
まんばはそんな顔見たことがない。
いつも突き放したような馬鹿にしたような冷たい視線だった。

まんばはちらりとゲームの長義を見る。
彼は悲しげな表情をしている。

「国広?」
確かにまんばは帰りたかった。
方法も色々探した。
学校の友達にも会いたいし、家族にも会いたい。家に帰りたい。

だけど、まんばはゲームの長義のことを好きになってしまった。
だから帰りたくないと思ってしまった。

まんばは黙って俯く。帰ると言えない。

「国広、帰ろう?」
手を引かれ、まんばは従兄弟をちらりと見る。

なぜ長義はここまで助けに来てくれたのだろうか。
彼とはあまり話したことはない。
いつも距離があった。
嫌われてると思ったし、彼のことは苦手だった。

「国広、どこかへ、行くのか?」

まんばはゲームの長義を見る。
一緒にいたい。

「すまない、帰れない。まだここにいる。」
「はぁ??お前何バカな事言ってんの!」
「バカなのは自分が一番わかってる!だけどここにいたい!」

まんばが譲る気がないとわかった従兄弟の長義はなぜだと問い詰める。
「えっと、その……
まんばがチラチラと長義を見て、頬を染める。
従兄弟の長義はそれで察する。カチンと来ている。

「あーそう!なら俺も当分ここにいさせてもらおうかな!💢」
「え!?なんで!」
「なんでもだ!」

まんばの本丸に居候が増える。


以降、表記
従兄弟の長義くん→『従兄弟くん』
ゲームの長義くん→『本歌さん』


従兄弟くんは何かと本歌さんに突っかかる。
本歌さんは相手にしない。

朝から二振りでやってきて、あやこや言い合ってる。
国広を見つけると本歌さんは爽やかに微笑む。
従兄弟くんは胡散臭そうに本歌さんを見た後でまんばに挨拶する。(まんばは従兄弟くんが挨拶するなんて思いもしなかったから最初の頃大層驚く。というかまんばに話しかけてくる事自体信じられない)

まんばが本歌さんと一緒にいると必ず従兄弟くんが割り込んでくる。
まんばの推測だが、自分と同じ顔のキャラがまんばなんかと仲良くしてるのが気にくわないのだろうと思う。


一応従兄弟くんは刀剣男士の設定でゲーム世界に入り込んでる。
だから一応戦える。
けど従兄弟くんは「俺は頭脳派だからね、野蛮な事はしない」と言って戦場に出ない。
ただまんばも戦場に行くと聞き、負けていられないと思ったのか進んで出陣するようになった。



(視点変えます)
従兄弟くんはまんばがいなくなったと連絡を受け、家に駆け付けた。
まんばの部屋は特に変わったこともなく、PCが付けっぱなしなことくらい。PCにはゲームが表示されており、まんばによく似たキャラがいることに気づく。
しかもPCに触れてもないのに勝手にゲームが進んでいく。
いろいろ調べて、信じがたいことだが、まんばがゲーム内に取り込まれてしまったのではという所まで突き止める。
ゲームに干渉するプログラムを施し、自分もゲーム内に入る。

従兄弟くんは昔からまんばに惚れていた。
まんばを一目見た時から、なんて美しい子なんだ、天使みたいだと思っていた。
従兄弟くんはまんばの前では良い格好を見せたくて、クールな自分を装っていた。
その所為で幼少期から高校まで、まんばと会話をしたのは数える程度だった。


ゲーム内に入ると、自分によく似たキャラがまんばを口説いていた。
従兄弟くんは悟った。

これはまずいやつ。

まんばも満更ではないようだ。

本歌の性格は従兄弟くんとまったく違った。
所謂スパダリキャラだった。
まんばはああいうのがタイプなのかと思って、優しくしようとするが、今までの事もあって上手く行かない。
さらに本歌とまんばが二振りきりで仲良くしようとするから焦る。
邪魔するために乱入するという流れだった。

従兄弟くんはこのままだとまんばが取られてしまう、長い間好きだったのは自分なのに、と考える。
そして二振りがくっつけば、まんばはもう現実世界に戻ると言わなくなるだろう。
まんばのいない世界で生きて行くなんて嫌だ、と思う。
何としてでも連れ帰ろう、そうするには気持ちを自分に向かせればいいと考える。

本歌さんがいない時を狙って、まんばと二振りきりになる。
まんばは目を合わせようとしない。
そわそわと居心地悪そう。

そんなことを気にせず、従兄弟くんはまんばに迫る。

「国広、昔から俺はお前に惹かれてる。愛してる。ここまで追ってきたのだってお前が何よりだいじだからだ」




(視点変えます)
まんばは従兄弟くんの告白を受け、困ってしまう。
まさか彼がそんなことを昔から思っていたなんて考えもしなかった。
嫌われてるとばかり思っていた。

「返事は今はいらない、今されたら断られるってわかってるから。だけどお前に知っておいた欲しかった。そしてチャンスが欲しかった」

まんばは今までの従兄弟くんの態度を思いだし嘘だと思うが、その告白以降、従兄弟くんのことが気になってしまう。
そして従兄弟くんも隙あらばまんばに迫る。

すぐに本歌さんも気付いたのか、従兄弟くんの事はライバル認定して警戒してる。
まんばの隣を陣取ることが多くなる。
負けじと従兄弟くんもまんばにくっつく。
ご飯の時はW長義に挟まれてる。まんばは居心地が悪い。


執務室でまんばが仕事してると今まで見向きもしなかった従兄弟くんが入ってくる。
そして手伝ってやるから貸せ、と言う。
まんばは「あんた非番だろ?休みの日までそんなことしなくていい」と断る。
が、

「お前は俺の気持ち知ってるだろ、下心があることくらいわかれ」

と言われる。
まんばはそれで真っ赤になってしまう。
言った長義も真っ赤で書類に集中してるフリしてる。
好かれたいからちょっとでも点数稼ぎしようとしてるってことなんだけど、まんばは

(それって下心なのか……?///)

って思ってる。
まんばの中では親切って分類される。

微妙な空気の中、お互い意識しつつ、仕事を終える。
気恥ずかしい空気だった。








ある日まんばが重傷で帰還する。
まんばは隊長だし、みんなの中心だから、本丸中大慌てになる。
この本丸には審神者はいないので、いつもまんばがみんなの手入れをしてあげていた。
今回はまんばが怪我しているので別の誰かがやってあげることになる。

本歌さんがまんばを姫抱きにするのを見て、従兄弟くんが食ってかかる。
「俺がやる」
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ、どけ!」
「やっぱり俺は反対だ!こんな所に国広を置いておけない!俺達は刀じゃない、人間なんだ、こんな戦い無理だ!」
「いいから退け!」

本歌さんはまんばを抱きかかえ手入れ部屋へ行く。
本歌さんはまんばがやっていたように資材を用意し、まんばの手入れをする。
まんばは気を失っていて、血の気はないが、確かに生きてる。

『こんな所に国広を置いておけない!』
『俺達は刀じゃない、人間なんだ!』

従兄弟くんの言葉が頭に響く。
戦いに身を置いている以上、こうした怪我も覚悟しなくてはならない。
今回それを思い知った。
眠るまんばの顔を見て、愛おしさが募る。
まんばを守りたい、離れたくない。

:
:

まんばが目を覚ます。
そこにいたのは従兄弟くんで、「良かった……」と抱きしめられる。
恥ずかしい。従兄弟くんがまんばに言う。

「もうこんな想いをしたくない。お前の傷つく姿を見たくないし、こんな不安な想いを抱えたくない。だから国広、俺の事を好きじゃなくていい、いや嫌いになっても構わない。どうか俺と一緒に帰ってくれないか。」


従兄弟くんの真摯な態度にまんばは心が揺れる。
だけど、まんばは従兄弟くんの言葉にすぐに答えられない。

まんばがいなくなったらこの本丸はどうなってしまうのか不安だし、ここで投げ出すなんて中途半端は嫌だと思う。
しかし従兄弟くんの言うこともわかる。
自分だって他の誰かが怪我したらつらい。

「か、考えさせてほしい……









まんばは夜風に当たろうと外へ出る。
病み上がりのため今日一日休んでしまった。
みんなには迷惑を掛けた。

従兄弟くんの言った事を一日中考えていた。

そうすると本歌さんが現れる。
どうやら部屋を抜け出したまんばを心配して探していたらしい。

「無事で良かった」
「そんな大袈裟な
「大袈裟なんかじゃない、何があるかわからないからね。」
あんな事があった所為で過保護になってるのかなと考える。

「国広、元の世界に帰るのか?」
「え、」
「戦うのは怖いだろ?」

なんと言えばいいかわからない。
前々から戦場は怖かった。(現代っ子なので。)

だけどそれを理由に逃げるのも違う気がする。
自分はここの隊長なのに、指示だけして皆に戦ってもらうのは卑怯だ。

「俺は怖い」

まんばは驚く。
刀剣達は恐怖心はないと思っていた。

「お前が折れるんじゃないかと思うと怖い。安全な場所で笑っていてほしい。」

本歌さんは困った顔のような悲しい顔のような変な表情をしている。

「俺はお前が好きだ」

まんばは再度驚く。
本歌さんは優しいが、誰にでも分け隔てなく優しいし、写しだから少しだけ特別扱いしてくれてるんだと思ってた。
好きだなんて言ってもらえるなんて思いもしなかった。

「だからお前が傷つくのは耐えられない。元の世界は平和だと聞いた。だから帰ってほしいと思った
本歌さんはつらそう。
まんばはそんな表情は見ていたくないと思う。
本歌さんには笑っててほしい。
だけどそんな顔をさせてるのはまんばの所為。

「だけど」

まんばはぎゅっと抱きしめられる。

離したくない」

耳元で囁かれてまんばはどぎまぎしてしまう。
心臓はバクバクしてて、顔もきっと赤い。
まんばは本歌さんの事が好きなので、そんなことを言われて嬉しいと思う。
そして従兄弟くんに言われた言葉を思い出し、決意する。


「俺は長義のそばにいたい」


本歌さんがまんばの顔を覗き込む。

「長義ってどっちの?」

どっちも長義だし、まんばは呼び分けてなかった。
まんばは慌てる。

「自惚れてもいいのかな?」


まんばは何も言えず真っ赤になりながらコクンと首を振る。








従兄弟くんはまんばの様子を見に来たが、部屋にいないことに気づく。

慌てて探しに出ると、庭にまんばがいるのを発見する。
そして隣に本歌さんがいることもすぐ気づく。
二振りが抱き合ってるのを見て、不快な気持ちになり、駆け寄ろうとする。

本歌さんと目があった。
本歌さんはくすりと笑う。

二振りとも夜着だったはずだが、本歌さんは戦闘時にいつも身に纏ってる布をどこからともなく翻し、まんばを包み込む。

そして、従兄弟くんがまさかと思った時には既にそこに二振りの姿はなかった。

それ以降、本丸に二振りは戻って来なかった。








後味悪い終わり方でしたが、まんばは幸せに暮らしてます!!
お疲れ様でした!