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木蔦(キヅタ)
2019-05-26 01:58:05
5339文字
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愛妻家本歌【ちょぎくに】
1
2
ちょぎくに
(以前似たネタを書きましたが、違うバージョンで書きたかったので。)
まんばは顕現すると大歓迎された。
写しをこんなにまで歓迎してくれるなんで
…
と嬉しく思う。
しかし何故か兄弟達は嬉しくなさそう。
兄弟なら喜んでくれると思ったのに、とんだ自惚れだって思ってしょげる。
「漸く来てくれたんだね、待ってたよ」
と初期刀である歌仙が言う。
すると扉から己の本歌が鯰尾に引っ張られて現れる。
「ジャーン!山姥切国広さんが顕現しました〜〜!おめでとうゴザイマース!」
みんな口々に本歌におめでとうと言い始める。
本歌と写しとは言え、何故本歌におめでとうと告げるのかわからず、まんばは「???」と思う。本歌は歌仙に
「案内は俺がするから」
と告げて、まんばに向き直る。
優しげな笑顔で「おいで」と手を差し出す。
まんばは本歌に見惚れて自然とそれを取ってしまった。
女でもあるまいし、エスコートみたいなことしてもらう必要もないのでは、と思う。
すると堀川が慌てて「きょ、兄弟の案内は僕達に任せてもらえませんか!」と言い始める。
「これから余り一緒にいられないと思いますし、少しでも兄弟と話したいんです!」
「別に好きな時に会いに来ればいいんだよ。同じ本丸内だし、兄弟なんだから。」
「それは、そうですけど、えと、
……
ほら色々と身内で用意もさせたいですし!」
「準備なんていらないよ、身一つあればいい。堀川派は律儀だな。」
そう言ってまんばの手を引いて本歌は外へ出る。
本歌は丁寧に本丸内を案内してくれた。
口調も優しくて、わからなくなったら何度でも聞けばいいと言ってくれる。ずっと手を引いてくれて、幾分か距離も近い気がする。眼差しも暖かくて甘い。
(俺の事を我が子のように思ってくれてるんだろうか
…
)
小田原時代、保護者のように接してくれた本歌を思い出し、そう思う。
「さあ、ここが俺達の部屋だよ。」
「俺達?」
個室じゃないのか、と残念に思う一方で、本歌と一緒なら気心知れてるしいいかも知れないと思う。
本当は同室になるなら兄弟が良かったが、どうやらここの本丸では嫌われてるらしいから難しいだろうと思う。
夜、お風呂に入り、さあ寝ようと布団を二つ敷いたところで、本歌が優しげな瞳で見つめてくる。
「?」と思い見つめ返してると、押し倒されて「アッー!」な展開になる。
もちろん本歌はめっちゃ優しくて写しも初めてなのに気持ちよくなったりするんだけど、なんでこんなことに??と。
朝起きるととろとろに甘い眼差しで本歌が見てる。
「つらいとこはないかな?」って優しく聞かれて、ないって答える。
朝ごはんは部屋で取ろうかって言ってわざわざ二振り分のご飯を持ってきてくれる。
結局兄弟に会わずに数日間過ごす。
嫌われてると思ってるので自分からは会いに行かない。
それでなくても本歌が四六時中べったりしてるので他の刀と接する時間はほぼない。
本歌が写しのために外に連れ出してくれる。万屋へ。
その日は客が多くて写しは人酔いしてしまった。
外のベンチに座り、本歌が何か飲み物を買ってくる、と離れる。
そこへ他の本丸の山姥切国広が近づいてくる。
「山姥切と一緒なのか?」
「ああ」
「あんた大変だな」
「どういうことだ?」
話を聞くと、山姥切長義は普通、写しのことを『偽物くん』などと呼んで、嫌悪しているらしい。口を開けば嫌味ばかり。
だから自分達を見て、荷物持ちなどで無理矢理連れ出されたのでは、仲良くさせる目的で審神者におつかいを頼まれたのでは、などと思ったらしい。
「本歌はそんなこと一言も言ったことはない!」
そういうと山姥切国広は驚いたようだ。
本歌は優しいし、まんばのことを一番に考えてくれる。
今だってまんばのために飲み物を買いに行ってくれた。
「国広、遅くなってすまない、混んでいて
……
どうかしたのか?」
本歌が戻ってきて、他の山姥切国広と一緒にいることを不審に思ったらしい。
相手のことを睨みつけている。
「えと、ただ世間話をしてただけだ!」
「
…
そうか。」
いまだに相手のことを睨んでいるので、もう行こうと本歌を引く。
本歌と二振りで帰路に着く。
まんばは先程言われたことを考えていて、いつか自分も偽物くんと呼ばれる日が来るんじゃないかと恐々していた。
本歌に見捨てられたらどうすればいいのか、心細くなった。
「国広、どうかしたのか?」
心配そうに本歌が覗き込んでくる。
その瞳は慈愛に満ちていて、まんばは急に恥ずかしくなり目を伏せる。
頬は赤い。
だけどこの眼差しもいつしか向けられなくなると思うと血の気が引いた。
「本歌、は、なぜ、こんなにも俺に、良くしてくれるんだ
……
?俺は何にも返せないのに
……
。」
すると本歌はきょとんと目を丸くした。
そしてくすりと笑い、答えた。
「何言ってるんだ、夫たる者、妻を大事にするのは当たり前だろう?」
夫?妻??
いったい誰が妻で誰が夫なんだ
…
と大混乱を起こす。
そんなものになった覚えはない。
聞くと、まんばが顕現する前から夫婦になることが決まっていたという。
本人の意志無視でそんなこと決められていいのか、いや写しの意志など確認するまでもない小さな事だ、何も問題はない
…
。
そんなことを思いつつ話を聞く。
国広が選ばれたのは本歌たっての希望だった。
堀川派は最後まで反対していたが、説得()したらしい。
てっきりまんばに誰かが話してると思っていたため、本歌はまんばが知らないとは思ってなかった。
「でもあの夜、愛し合ったのだから、俺の自惚れじゃないよな?」
と言われる。
まんばはその時のことを思い出して真っ赤になる。
確かに嫌じゃなかった。
「で、でも他所の本歌は俺を嫌ってるって
…
。偽物って呼ぶって
……
。」
「まさかさっきの山姥切国広に聞いたのかな?」
「ああ。」
「妻である前に、お前は大事な俺の写しだ。写しに偽物なんて言うわけがない。写しと偽物は違うからね。それにこんなにも愛しい写しをどうして嫌うだろうか。」
そう言って抱きしめる。まんばはドキドキバクバク。
「小田原で見た時からお前を伴侶にと決めていた。俺の唯一になってくれないか。」
とプロポーズされる。
※補足
この本丸の山姥切長義は山姥切国広よりも先に顕現しているため、山姥切の名前は山姥切長義のものとなっている。そのため、他の本丸の山姥切長義の気持ち(偽物くん呼び)は微塵も理解できない。だから「写しと偽物は違う」発言に至る。
真剣な表情で見つめられてまんばは身体中が熱くなる。
手をぎゅっと握られてる。
「ほ、ほんか
……
」
どう答えれば正解なのかわからず、困り顔で本歌を見つめ返す。
「俺の事が嫌いじゃなければ、一緒にいてくれないかな。お前の事は大事にするよ。」
嫌いなわけない。むしろ好きだ。
「お前はうんと頷いてくれるだけでいい。俺と一緒になってくれ。」
「そんなの、だめだ。」
まんばは困った顔で一生懸命伝えようとする。
「俺は本歌の言葉に頷くだけじゃだめだ。ちゃんと気持ちを伝えたい。あんたの言葉に流されただけだと思われたくない。」
本歌は目をパチクリしながらも、まんばの言葉に聞き入ってる。
「俺は、あんたのこと好きなんだと思う。でもそれが同じ気持ちかわからないし、同じ分だけ返せるのかわからない。それにあんたにああいうことされるのも、嫌じゃ
……
なかった
………
。本歌は優しくて、俺の事を一番に考えてくれて、俺となんて恐れ多いとは思う。だけど、もしあんたに嫌われたらと思うと怖かった。だから俺が相応しくなくても、どんなに他に本歌に理想的なやつが現れようとも、譲れそうに、ない
……
。」
そこまで話して、自分がなんて恥ずかしい事を言ってるのか自覚したまんばは、エンストを起こしてしまう。プスン。
そして我に返って「ひやぁぁぁぁ///」ってしゃがみ込むので、本歌が嬉しそうに布饅頭を抱きしめる。
「じゃあ俺たちは晴れて夫婦だね。」
設定
愛妻家本歌の口癖
・夫たる者、
……
・だってお前は俺の妻だからね。
・俺の妻だから当たり前だろう。(※第三者に自慢してる時)
本歌は写しにゲロ甘。
まんばが自分でできることも先回りしてやっちゃう。
朝ごはんとかいつの間にかお茶碗よそってくれてるし、写しの今日の予定とか把握してフォロー入れてくれたりする。(ただしスパダリではない。本歌には理想の夫像があり、それの一つが妻を大事にすることなので。)
妻の事を愛してるので、出陣のお見送りとお出迎えをすると大層喜ぶ。(命掛けて戦ってるわけなので、今生の別れになるかもしれないから。「気を付けて」って切に願って見送ってくれるのと、「帰ってきてくれてよかった」って心底ほっとしてる写しがいると大層嬉しいでしょうよ!)
これはまんばは知らないんだけど、主には、まんばだけで戦場に送らないでほしいと本歌が伝えている。
妻を守ってあげたいし、もし折れてしまうにしても、自分の知らない所で折れるなんて嫌だから。
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