Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
ムクロジカ
Public
文字/雑多
【■望】
『ことぜめ』現行未通過×
それぞれの望みに関するアレコレ
1
2
3
恋人が、遠くに浮くのを見た。考えるより先、全身を使って彼女を抱きしめる。そのまま空に堕ちていくのを知覚しながら、全てが終末を受け入れていく光景が広がる。言葉通り、世界が幕を閉じていく。
それでも彼女と離れたくない。分かたれるのは嫌だ。その一心で、腕の力を緩めず彼女を抱える。ふと、自分たちがピタリと静止しているらしいことを知る。不可解な感覚に状況を確認すれば、人でなしの何かが自分たちを見つめていた。そのうちの一つが、自分に微笑む。
「それ、こっちに渡してくれないかな」
手放してもらわないと困るんだよね、と一言を付け足した。意味も正体も分からないまま、恋人を引き渡すなど考えられない。無言でそれを拒否すれば、悩んだ風にそれは唸る。そうして伝えられた、一つを犠牲に全てを救う手立て。彼女を依り代にした宇宙の再構築。
「器というのは、彼女以外では駄目なのか」
ピタリと、それは一瞬だけ固まった。しかしすぐ感心したように声を漏らし、そう間を開けず許可を出す。正しく自分の意図を理解し、周囲に指示を出していく。滞り無く進む準備に、少しの嫌悪感を抱いた。それでも感謝を示せば、それは愉しそうに笑う。
恐らく彼女は、この決断に難色を示すだろう。穏やかな恋人は、他が害されることを良しとしない。そんな彼女だから、自分は助けたいのだ。例え、許されない手段だとしても。
「すまない、くらげ」
その頬を撫で、触れるだけのキスをする。柔らかい唇は、何も答えない。それでいい。きっと彼女に今止められれば、自分は共に居たいという願望を吐露してしまう。だから最期に、明確な本音を溢した。
「愛しているぞ」
1
2
3
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内