空が落ちて、足が浮く。倒れた幼馴染へ手を伸ばし、なんとか掴んで引き寄せる。周囲がボロボロと廃れて、急速に滅んでいくのを感じる。都市、なんて小さな規模じゃない。惑星が、宇宙が、世界が結末を迎えていく。
浮遊感に目を強く閉じれば、突然それは緩やかな静止を始めた。恐る恐る視界を開けば、自分をぐるりと囲む存在たちが映る。それらは人間ではなく、もっと高等な他の何か。漠然と理解すれば、その集団から一つが前に出て言葉を伝えてくる。
「それ、こっちに渡してくれないかな」
何を指しているのかなんて、聞くまでもない。大切で掛け替えのない、唯一無二の幼馴染。反射的に抱きしめれば、それは困ったように笑う。そうして語られたのは、終末を回避する方法。彼女を永遠に使う、自分にとって最悪の最善。
「代わりになれませんか」
するりと出た提案に、その存在が驚いた風の反応をした。数拍の沈黙後、返されたのは肯定。想定外だと言いながら、不思議なほど自然に準備を進めていく。この手段に誘導されていたとしても、他にできることは無い。
彼女は、この選択を怒るだろうか。優しい幼馴染のことだ、きっと自己犠牲的なこの行為を否定するだろう。それでも自分は後悔しないと、何処か他人事のように確信する。
「ごめんね、ヨルちゃん」
零れた涙が、彼女の頬を濡らす。それを拭って、無理矢理に笑顔を作る。見ていない、見せるつもりもない表情。それでもこの絶望に立ち向かいたくて、口角を引き上げた。
「大好き」
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