だごまる
2024-11-27 02:21:43
9205文字
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とあるメイドとバーテンダーの裏仕事

現パロ/剣と伊織が怪異退治をする話(剣伊剣かも)
気持ち頭緩めでお読みください。ツッコミ入れたら負けです。
おまけはギルエル(次ページ)



タイトル:いつもふたりで(ギルエル)


 伊織とセイバーが出て行った店内にはギルガメッシュとエルキドゥの二人きりだ。薄い照明に落ち着いたクラシック音楽が鳴る中、伊織が出て行く前にグラスに注いだ橙黄色のショートカクテルを飲みながら二人は語らっていた。
「ギルが誰かを気に入るなんてね」
「そんなに意外か?」
 カウンターテーブルにカクテルグラスを置いてエルキドゥがギルガメッシュを見た。中性的な顔で「うん」と微笑む相手にギルガメッシュはルビー色の瞳をしばたたかせた。さきほど出て行った伊織とセイバーの顔を思い浮かべたギルガメッシュが小さく口角を上げる。なぜ自分が彼らを気に入っているのか、その問いに対する答えはすでに得ていた。
「ギル?」
 首を傾けるエルキドゥの萌黄色の髪が肩を流れるのをギルガメッシュが目で追い、その髪を手で掬う。
「我の従僕だからな」
「そうかい? 僕には彼らが昔の僕たちのように映ったけど?」
 友人の胸の内などとっくに見通していたのだろう。エルキドゥの青緑色の瞳がギルガメッシュを見据えた。その瞳にギルガメッシュは指先で遊んでいたエルキドゥの髪を解いた。さらさらと絹のような髪が流れていく。エルキドゥの言う通り、伊織とセイバーは遥か昔、現代に転生する前に二人で旅をしていた頃の自分たちを見ているようだった。ウルクの国の広場で拳を交え、長時間におよぶ激闘の末、結局雌雄を決することはなかったものの、最後は手を取り合い恋人のように抱き合った自分たちは後に唯一無二の友となり、兄弟のような付き合いをすることになった。
 エルキドゥの死を嘆く自分といつかの江戸で見た伊織とセイバーの末路を思い出しながら、喧嘩とまではいかない可愛らしい痴話げんかを始める伊織とセイバーに昔の自分たちの姿を重ねたギルガメッシュはカクテルグラスを傾けた。辛口ながらも柑橘系の甘酸っぱさが口の中に広がる。
「ほう、サイドカーとはなかなかやるではないか」
 感心するギルガメッシュを横目にエルキドゥも同じカクテルを傾けた。
「うん、美味しいねこれ」
 サイドカーをゆっくりと飲む友にギルガメッシュはもう一度手を伸ばした。顔を隠してしまう長い萌黄色の髪に触れ、そのまま相手の耳にかければ、隠れていた横顔がギルガメッシュの視界に映る。くすぐったかったのか、エルキドゥが微かに笑ってギルガメッシュを見た。
「どうしたのギル?」
「いいや」
 緩く首を左右に振り、離そうとした指をエルキドゥの頬に寄せる。アルコールで熱くなった頬を人差し指の背で撫でれば、ギルガメッシュの冷たい指が心地よかったのか薄い青緑色の瞳を伏せた。見えなくなるのも、自分を映さなくなったのも不満に思ったギルガメッシュが熱を帯びているエルキドゥの頬に手を添えた。冷たさに微かに肩を揺らしたエルキドゥがギルガメッシュの手に自分の手を添えて目を開けた。
「うん? どうしたの、ギル」
 答えの分かりきっている問いなど意味をなさないだろうに、エルキドゥはあえて手を重ねたまま問う。だからこそ、相手の予測していた答えとは違うものを口にしたくなる。
「いいや。こうして触れて体温を感じることができるとはな、と思っていた」
「ああ。そうだね、あの頃の僕は粘土の身体だったから」
 困ったように眉を下げたエルキドゥがもう片方の手をギルガメッシュへと伸ばした。自分の頬に触れられているのと同じようにギルガメッシュの頬に触れ、体温と感触を楽しむ。
「ギル、少し頬が熱いね。アルコールのせいかな」
……言うではないか」
「おや、図星かい?」
 互いに挑発的に見つめ返した二人はどちらともなく顔を寄せた。