三年ぶりの東京の空気は、ひどく乾いていた。大した荷物も無い俺は入国手続きを早々に終え、土産物が並ぶ空港内を速足で歩く。短いやりとりを済ませ、携帯は上着の奥にしまい込んだ。柱の電光掲示板に繰り返し映し出される桜の開花予想。今日明日は曇り時々雨、来週の半ばには気温が上がって東京の桜が咲き始めるらしい。明後日に帰る俺にとっては花見なんて関係のないことだ。それより俺の眼に留まったのは、天気予報の下で流れる芸能ニュース。「Over The Rainbow、ツアー中止を正式に発表」……その短い見出しであの一件が暗い影を落としているのが手に取るように分かった。
空港の端の小さなカフェ。そこにあの人は静かに座っていた。
俺の知る涼野ユウ、そしてセプテントリオンのイメージはそれだった。Over The Rainbowのその先を紡ぐ星座。新たなるスタァのユニット。新進気鋭、将来有望なメンバー涼野ユウが作曲を手掛け、アカデミーもストリートも融合した希望に満ちたショーを魅せる。ワールドニュースに流れてくる文字は期待感に満ちたものばかりだったし、彼らが順調に成功を収めているのだと認識していた。