Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
でがらし
2022-12-24 14:13:25
13857文字
Public
【吸死】ドラヒナ~童話パロディ~
Clear cache
【ドラヒナ童話パロディ】金平糖の夢
クリスマス記念作品。くるみ割り人形のお話のパロディです。
おとぎ話なドラヒナを書こう!と思いました。糖度高め。
ドラルク=ドロッセルマイヤー、ヒナイチ=クララなイメージです。
初投稿2022年12月24日→加筆修正版に変更しました(Twitter投稿:2023年12月)
1
2
3
数か月後。桃の花がぽつぽつと咲き始め、北風に混じって南風が木々の枝を揺らす季節がやってきました。夜空にスピカが輝く今日は、ヒナイチの誕生日。兄カズサの主催で毎年この日には盛大なパーティーが催されていましたが、今年はさらに一味も二味も違います。広間にはピンクを基調とした甘い香りの花々が飾り付けられ、お花畑のようになっていました。
「ヌヌー、ヌー、ヌン!」
「わあすごい、手の中でコインが増えた!」
広間の片隅では、アルマジロのジョンが子供たちに手品を披露しています。技が決まるたびにわっと歓声が上がり、ジョンは得意げに小さな胸をヌン!と張りました。丸々と可愛らしく賢いジョンは、今やすっかり街の人気者です。
「
……
にぎやか」
「もぐ
……
お前も見に行くか、ヒマリ?」
「
……
ん
……
」
遠くでジョンの様子を見ている銀髪の妹に、ロナルドが声をかけます。兄であるロナルドと同じ青空を映したようなヒマリの瞳がぱっと見開かれました。初めての豪華なパーティーに少々戸惑っているようで、ワンピースの裾をぎゅっと握っています。一方、会場の警備を任されたロナルドでしたが平和な空間にすっかり気が緩んでいるのでしょう。手にはビュッフェで取ってきたご馳走が山のように盛られていました。そんな二人の間からひょっこりと顔を覗かせ、ヒヨシは笑います。
「おみゃあ、いざという時に脇腹が痛くなっても知らないぞ? ヒマリ、遠慮せんと見てこい。折角のパーティーじゃ」
「んぐ、分かってるよ兄貴」
「
……
ん!」
微笑んでジョンの元へ行く妹を見届け、二人の兄
……
ヒヨシとロナルドは目を合わせます。
「いやぁ、まさかこんなに早くこの世界とあちらが繋がるとはな。この屋敷の主は中々敏腕なようで
……
敵には回したくないもんじゃ」
「あの集団を相手にしてあの顔だもんな」
視線の先に映るのは、黒いマント姿の数人と朗らかに話すカズサの姿。相手にしているのはいずれも「あちらの世界」の住人でした。カズサと言葉を交わし微笑む国王夫婦の隣では、辺境伯が苦々しげな顔をしています。カズサが一筋縄ではいかない相手だと分かっているからでしょうか。自分の側でわくわくした顔を隠さない元国王に困っているからかもしれません。ともかく、一応は平和な外交関係が築かれるようでヒヨシはほっと息を吐きました。
「まあ、あの男が居れば大丈夫そうじゃな。給仕係のねずみたちも一応大人しくしているようだし。
……
わしもパーティーを楽しむとするか!」
あくせく働く変わった格好の給仕たちを横目に、ヒヨシは華やかなドレスに身を包んだ女性たちの元へと歩んでいきます。そんな大人な兄を見ながら、ロナルドは皿に盛られた唐揚げをもう一つ口に頬張りました。時刻はまもなく夜の八時です。
「そろそろ来るかな。
……
まさかあいつが、あの子と
……
」
広間から漏れ聞こえる賑やかな声。扉の向こうでは、今日のパーティーの主役が緊張した面持ちで立っていました。真っ白なロングドレスに肘まで覆う長いサテンの手袋を身にまとい、ヒールの付いた靴でしゃんと立つヒナイチ。今日彼女は一人前のレディとして
……
隣で微笑む王子の婚約者として、社交界にデビューするのです。
「
……
ドキドキしてる?」
「っ、その
……
いや、大丈夫だ! ただ、少しお腹が空いただけ、で
……
」
首元で輝く紫の石に触れ、ヒナイチは呟くように答えます。心臓が痛いくらいに鼓動を打っていますが、これが緊張なのか嬉しさからなのかも分かりません。無事にお披露目が終わったら、何か甘いものが食べたいな。そう思っていると、隣に立つ王子がくすりと笑います。
「大丈夫。今日のための特製クッキーも用意してあるからね」
「な、なんでドラルクはいつも私の心を読むんだ!」
「だって顔に描いてあるんだもの!
……
ほら、今はこれで我慢して」
ヒナイチの顎をそっと持ち上げ、ドラルクは自分の唇を寄せます。チュッと軽い音が二人の間に響き、ヒナイチの頬が薔薇のように色づきました。口の中で転がるのは、小さく甘い金平糖です。
「お披露目のダンスが上手くいくおまじない付き。沢山練習したんだ、今日は思いっきり楽しもうじゃないか。
……
さあお手をどうぞ、お姫様?」
「
……
ああ!」
二人の手が重なりあうと同時に、広間の古時計が鳴り響きます。大きく開かれていく扉のその先、二人は揃って光の中へと歩き始めました。
ドラルクとヒナイチの夢の続きは、まだ始まったばかりです。
1
2
3
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内