しゃどやま
2024-11-21 21:45:47
4188文字
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洗脳高塔家

洗脳された高塔家同士のバトルと言うかなんいうかの場面を三つ書きました。
洗脳宗雲と正気の戴天(+雨竜)
洗脳雨竜と正気の戴天
洗脳戴天と正気の雨竜(+宗雲)
となっております。お好みの方のみどうぞ! 洗脳だ〜いすき!

洗脳宗雲と正気の戴天(+雨竜)

「あなたが、どうして……!」
 雨竜は槍を地面につき体を支える。戴天もまた、光線をチャージしながら苦しげに表情を歪めた。普段なら苦戦しないはずのガオナたちの動きが違う。隊列を組み速攻で距離を詰める。中距離、遠距離を保って戦うタワーエンブレムにとって、最悪の戦法だった。
 今のタワーエンブレムにとっては。
「弱点も知り尽くしているというわけですか……
 囲まれ、ダメージを受けた戴天が苦々しく言う。本来ならば探査と光線で一瞬で消滅させられるガオナが、戴天の隙を狙い距離を詰める。僅かなラグを理解した作戦だった。
――宗雲さん」
「お前たちに勝機はない。大人しく屈服しろ」
 ガオナとガオナクスを指揮する、宗雲――カオスライダー宗雲は、レイピアのように剣を構え言った。
「正気に戻ってください……! あなたは、そんな人じゃない!」
 雨竜が槍を構え、ガオナを切り払う。すぐに補填される。戴天は攻撃するまえにガオナクスに接近され、チャージを止めながら蹴りで撃退する他無い。雨竜は汗を流す。負担の大きいライズに、長期戦は向かない。接近され休む間もなく攻撃される戴天には、大技を使うことができない。二人は疲弊していく。
 白と金の、優雅ささえ感じさせるライズを纏い、三日月のような仮面を捨て。虚ろな瞳の宗雲は言う。
「俺の何を知っている? 真実を暴くことなど、お前にはできなかっただろう」
 宗雲の、緑の目が冷たく光る。雨竜の瞳に似た、けれど全く異質な光。
「お前たちは真実にたどり着けなかった。俺はカオスイズムこそが真実だと判断した」
 指揮をするように剣を振る。ガオナクスが雨竜と戴天へ襲いかかる。腕を捻り上げ、大地に押し付けられる。
「ぐうっ!」
 雨竜の腹にガオナクスの巨大な拳が突き立てられる。唾液が悲鳴と共に口からあふれる。
「が、あぁ……!」
 戴天は頭を掴まれ、何度も地面に叩きつけられる。

「終わりだ」
 宗雲が出るまでもなく、戦いは終わった。

「雨竜は連れて行け。正統後継者だ。洗脳し手駒にする」
「ぁ、雨竜、くん!」
 弟への情は僅かにも残っていない。ガオナクスが気絶した雨竜を抱えあげ、異世界への扉に消えていく。押し付けられたまま手を伸ばし逃れようとする戴天に宗雲が近づく。
 黒い手袋に覆われた戴天の指先。その手を、踏みにじった。神経をすべて痛めつけるように、丁寧に。
「ぐ、ゥ……ッ」
「お前はここで殺す。生かしておけば必ず敵対するだろう」
 宗雲の剣が、戴天の首筋に当てられる。戴天は睨みあげるが、組み伏せられて動くことはできない。
「お前は、俺の人生に何度も立ちはだかった。だが――宿命と呼ぶべき縁はない」
 見下ろす瞳に、戴天は映っていない。言葉はただ、眼の前の相手の心を折るためにだけ発声されている。戴天がどのような言葉を言われれば折れるか、宗雲には理解できていた。
「お前の代わりはいくらでもいる……死ね」
……っ」
 戴天が唇を噛む。指が拳を握ろうとして、また開いた。脱力し、戴天の瞳もまた濁っていく。絶望に蝕まれていく。宗雲は剣を引き、振り上げる。
……むら、くも……
 短く、戴天が名を呼んだ。
……くッ」
 宗雲の頭が痛む。奥歯を噛み締め、取り落としそうになる剣を持ち直す。
 宗雲とは関係のない男だ。だが――叢雲とは。
 苦痛で意識を失った戴天から目を逸らし、宗雲は背を向ける。
「本部に連れて行け」
 ガオナクスは命令の変更に困惑しながらも、素直に戴天を担ぎ上げた。宗雲は苛立ちに一人呟く。
「調査が終われば殺す……脱走しても殺す」
 カオスライダー宗雲はそう心に決める。この思考に走るノイズの正体を解明するまでは、戴天を殺せなかった。