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草枕
2024-11-07 13:19:48
1234文字
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PBD
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PBD二幕・海底天端探索
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美しいものを、美しいと感じた心ごとしまっておきたいと思うのは、美しいものを、もう美しいと思えなくなってしまった、空しい経験があるからだ。大層に表現したけれど、このくらいの年になったら、そんなものかもしれない。彼女だって、あるいは。ケレウスとレヨンは愉快な会話を楽しむことが多いから、聞いてみたことはないけれど。
でも、それでも、彼女の絵は、煌めいている。
光そのものの閃きであるような、光を見た時に感じる眩しさという暗闇であるような。分からないけれど、『自分とは全く違う世界が見えている』と確信できる絵。それは若きケレウスに、自他の境界と他を愛することを教えた尊い思い出だった。──だった? 今も思いは変わらない。ただ、今は。『彼女が見ている、違う世界』に余分の夢と希望を抱いている。
言うならば、自分には感じられなくなった世界の美しさが、彼女の絵の中で眩しく輝いていたら良いのに、という自分勝手な願いだ。レヨンが何を思って、何を感じて光と影を描いているかも知らず、彼女にとっての美醜の基準も価値も知らず、ただケレウスが美しいと思いたい景色が、キャンバスの中で輝く様を夢見ているのだ。彼女の目を借りて見た風景なら、今だに美しく在るのではないかと。そういう罪悪をひと握り隠しながら、「楽しみにしてる」とは、ひどいやつが居たものである。震える左手を、抑えようとして失敗した。
あぶくが、やたらに光を弾いて天へと向かっていく。本当に、絵になりそうな絶景だった。
画像内セリフ:葬式(@So_KZ_kyozyu)さん
画像内写真:Unsplash
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