草枕
2024-11-07 13:19:48
1234文字
Public PBD
 

PBD二幕・海底天端探索


『「美しいものを、美しいと感じた時の心ごと、しまっておけたら素敵じゃない?」

美しい物を美しいまま、じゃないんだ。つまり、いつか美しさを感じられぬように移ろいでしまう心のことも観測する、そういうややこしい話をね、割合と好んじゃうんだよね、僕。

と、快活に笑うおじさん』というのはどうだろう。……どうかな?! ちょっと素敵じゃない?
こんな絶景、流石に話題に登らない訳もあるまいと、会話をシミュレーションする。若人の感動体験に水を差す無粋はしたくない。というか、彼らの感性を以て、美しいものを美しいと、楽しいものは楽しいと、美味しいものは美味しいと、日々を謳歌してほしいよなあという、夢の押し売りに近い。実際問題、そういう幸福度が高い場所というのは、得てして治安が良くて安全だし。身近な人が健康で幸せに過ごしているというのは、心の安定に繋がるんだろう。もれなく僕もそういう性質だ。だって、そういう、毎日が輝いてる健全な心の人たちが社会を回してくれるの、良いじゃんね〜!!
……うーん、思考が逸れた。これじゃあ若人に小粋なトークを聞かせられない、と頭を働かせようとした所に出会ったのは──

「やあ!レヨンさん」

結局、若人たちではなくて、元同窓生の飲み仲間だった。