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Hizuki
2017-09-20 20:07:09
8295文字
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FF14
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誰のせい?
【FF14】オル光。男ヒカセンで妖怪ウォッチコラボの話。ふせったーに上げた話を手直ししたもの。いつもの如く捏造とアニメ版から拝借した設定があります。異邦の社長と某白い妖怪の出番多め。妖怪のせいです。
1
2
3
湯を張った桶を館の中の暖炉の側に置き、その中に外から回収してきた氷の塊を浸けた。
次第に氷は溶けてきて、元の白い体が見えてくる。
溶けるうちに湯が水になり、中身を入れ替えてはウィスパーが目を覚ますのを待つ。
「また冷えてきたな。替えの湯を持ってこよう」
「ありがとう、オルシュファン」
桶の中に手を入れて温度を確かめていたオルシュファンが、空になった桶を持って館を出て行った。
大方氷は溶けているがまだ意識は戻らないようで白目をむいたまま。
盛大に溜め息を吐き、カップに注がれていた紅茶に口を付ける。
目を覚ましたらどうしてこんなことになったのかきっちり説明してもらわなければ。
俺一人だけならまだしも、オルシュファンにも手間をかけさせてしまっているのだから。
「うぃす~!!」
テーブルに空になったカップを戻すのと同時、素っ頓狂な声が館の中に響く。
背後からの声に驚いてテーブルに勢いよくカップをぶつけてしまった。
声の方を見ればフワフワと浮かび上がる白い風船のような姿。
「はっ!ここは!?」
「やっと起きたか」
「はっ!冒険者さんじゃありませんか!どうしてここに!」
「そりゃこっちの台詞だよ」
辺りをキョロキョロと見回し、俺の姿を見たウィスパーが更に驚きの声を上げる。
起きて早々に賑やかなやつだ。
「どうやら目を覚ましたようだな」
俺達のやりとりを見ていたらしいオルシュファンが笑いながら声をかけてきた。
不要になってしまった桶を暖炉の側に置き、作戦卓の側の座っていた椅子に腰を下ろす。
「さて、どういうことなのか説明してもらおうか?」
説明を促せば俺とオルシュファンの間に浮かび、遠くを見ながら口を開く。
「ワタクシはノ
…
じゃない、とある人物からちょーっとした依頼を受けてクルザスに来たんでうぃす」
ついさっきまで話でしか聞いていなかった存在を目にしたオルシュファンはウィスパーの話に興味津々のようだ。
とある人物、というのは言いかけた言葉から察するにやはりあの社長だろうか。
「そうしたらこの寒さ!寒いとは聞いていましたけれどもね、寒い!寒すぎる!」
「第七霊災の影響で年中雪に覆われてしまったからな」
ころころと変わる表情に過剰にも見えるリアクション。
大げさに震えてみせるウィスパーにオルシュファンも笑みを零す。
「何とかここまで辿り着いて依頼を果たすべく動き出したはいいものの、段々体が動かなくなってきて気付いたらカッチコチ!」
「で、あそこで白目むいて固まってたってわけか」
「ワタクシ死ぬかと思いました
…
」
空気が抜けた風船のようにしぼみ、地面に引き寄せられるように落ちていく。
妖怪もやっぱり死ぬ時は死ぬのか、なんて考える。
「申し遅れました、ワタクシ妖怪執事のウィスパーと申します!」
しぼんだ体がひゅっと元の大きさに膨らんだかと思うと、丁寧にお辞儀をして名を名乗った。
「私はここを治めているオルシュファンという。話は友から聞いているぞ」
「ほほう、なるほどこの方が
…
」
「何か言ったか?」
「いえいえ、こっちの話でうぃっす!」
オルシュファンの名前を聞いたウィスパーが一瞬顔を逸らし、何か板のようなものを覗き込んでいたようだが、何なのかは分からなかった。
一体どこからそんなものを。
その口ぶりは少なからずオルシュファンを知っているかのよう。
依頼に関係することなのだろうか。
「お二人には何とお礼を言ったらよいやら!オルシュファンさんには初対面だと言うのにこんなに親切にしていただいて!冒険者さんには一度ならず二度までも!」
「気にする必要はない。彼の友人であるならば手を貸すのに理由は要らないからな」
「何と心の広い
…
!」
そういえば初めて会った時も角尊に悪霊と間違えて封じられてしまったのを俺が助けたんだった。
ほろりと涙を流すウィスパーを見ながら、ドラゴンヘッドでよかったと実感する。
ここでなければそのまま放置されているか、それこそ不審物として廃棄されていたかもしれない。
「依頼っていうのは?」
「あ、そっちはもう既に済んでいまして。あとは戻るだけですから」
「そうか、それは何よりだ」
依頼というのが気になっていたが、済んでいると言うのなら問題はなさそうだ。
「なら、こいつは俺が連れて行くよ。また帰り道で固まられても困るしさ」
「冒険者さんと一緒なら安心でうぃす!」
着てきたニット帽をウィスパーに被せ、帰り支度を整える。
随分気に入ったようで、顔の横にぶら下がっている毛糸の紐を結んでみたり、髭のようにしてみたりと何度も触っている。
「ありがとう。色々騒がせちゃってごめん」
「たいっへんお騒がせしました!」
「こちらこそイイ経験をさせてもらった。またよければ友と共に顔を見せてくれ。しっかりと防寒対策をしてな」
オルシュファンに手を振ってドラゴンヘッドを後にする。
自分一人ならテレポで飛んでいってもよかったけれど、ウィスパーにまで効果が及ぶかどうかが分からず、チョコボに乗ってグリダニアを目指すことにした。
ひとまず黒衣森まで戻れば凍りつく心配はなくなる。
「って何で俺のフードに入ってんだウィスパー」
「また凍ったら冒険者さんが困るでしょう?」
首の後ろがくすぐったいと思ったら、コートのフードの中にすっぽりとウィスパーが収まっていた。
何となく重いと感じたのはそのせいか。
「いやぁ本当暖かいですねぇ
…
」
ウィスパーの言う通り、また凍られても困る。
とはいえ今は雪も止んでいるし、ニット帽もある。
「
…
お前覚えとけよ」
楽をしたいというのが見えていた。
社長への報告事項に追加だな、と考えながら雪原を駆ける。
「そういや聞いてもいいか?」
「何でしょう?」
クルザスを抜け北部森林に入ってから、チョコボを休ませるためにフォールゴウドに立ち寄った。
あと少しでグリダニアに着くが、もう一息チョコボには頑張ってもらわなくてはならない。
防寒用の上着を脱ぎ、俺達も水分補給がてら軽く休憩を入れた。
折角の機会だからと、ちょっと気になることをウィスパーに聞いてみることにした。
「結局妖怪メダルって何なんだ?」
エオルゼアでそんなものは初めて見た。
アラグの貨幣とも違うから、店で買い取ってもらえるわけでもない。
「あれはワタクシ達の身分証明証みたいなものなのでうぃす」
「ほー、そうなのか」
きっとウィスパーが言っているのは、絵柄の描かれていたレジェンドメダルのことなのだろう。
確かに姿と名前が書かれていて、誰なのかというのはそのメダルを見れば分かる。
「んじゃ妖怪メダルってどうやって作ってるんだ?」
「作ってるというか発行してもらってるんでうぃす」
「発行?」
「メダル局、という場所がありましてね、そこで発行してもらうんです」
俺の知らない世界にはそんなものがあるのかと感心したのも束の間、はぁ、と小さな溜め息が隣から聞こえた。
「どうかしたのか?」
「ちょっと前に急に社長に呼び出されたと思ったら、ともだちに会いに行くから一緒に来て欲しいと言われたわけですよ」
そちらを見ればしょんぼりとうなだれるウィスパーの姿。
「初めて見るものばかりで、見ているだけでも楽しい。でも、見知らぬ土地ですからね、やっぱり迷うんですよ
…
」
「だよなぁ」
今でこそもうほとんど迷わなくなったが、エオルゼアの各地は入り組んでいる場所もある。
見知らぬ場所を見つけて好奇心で進んでみたはいいものの、奥地にいた魔物に襲われ慌てて逃げ帰ってきたなんてこともあった。
「道を探しているうちに気付いたらメダルがなくなってるっていうことが何度もありましてね
…
」
「もしかしてあれは妖怪達の落とし物
…
?」
ウィスパーがこくりと頷く。
あぁ
…
なるほど
…
。
各地でメダルを拾った理由はそういうことか
…
。
身分証明代わりだというのだから、それを失くしたなら探す必要がある。
妖怪達も大変なんだなと、ちょっとだけウィスパーに同情する。
…
何故そんなにいっぱい持ってきていたのかという疑問は置いておいて。
「
…
ウィスパー、今度何かうまいものでも食べに行こう」
「いつでも呼んでください
…
!」
背中をぽんと叩くと、声が涙混じりになった。
飯ついでにちょっとした観光案内くらいなら俺にもできるだろう。
遠路はるばるエオルゼアまで来たのだ、どうせならいい思い出を持って帰って欲しい。
ところで妖怪って一体何を食べるんだという疑問が湧いたが、それは追々考えることにしよう。
気を取り直してもう一度チョコボに乗り、何だかんだと話しながらグリダニアに着いた頃には日は傾き、空にはうっすらと月が見えていた。
新市街から旧市街に抜け、カーラインカフェ地下のグリダニア・ランディングを目指す。
「ゴールドソーサーでいいんだろ?」
「ええ
…
って何故そこだと!?」
「
…
冒険者の勘ってやつかな」
「恐ろしい
…
!」
道すがら聞いてみると、やはり当たりだったようでそのまま搭乗の手続きを進めた。
直近の便に乗ってゴールドソーサーに向かえば、軽快な音楽と人々の声が俺達を迎える。
いつもの場所に社長の姿はなく、少し周りを見回すとエーテライト・プラザの方からエントランススクウェアに歩いてくるのが見えた。
特徴的な髪色の背の高いアウラ族を見間違えようがない。
「ここでいいか?」
「大丈夫でうぃっす!ほんっとうにありがとうございました!」
確認すると、ウィスパーが改めて頭を下げる。
依頼が、と言っていたから報告しなければならないこともあるだろうし、無関係の俺は社長に気づかれないうちにゴールドソーサーを離れようと思っていた。
「気にしなくていいからな。俺ももう少しメダル探してみるよ」
きっとウィスパー以外にもメダルを探している妖怪がいるのだろう。
妖怪達はまだもうしばらくエオルゼアにいるようだし、もし見つけることがあれば彼らの元に戻してやりたい。
「ああ、これもお返ししなくては!」
ウィスパーが慌てて被りっ放しだったニット帽を脱いで手渡してきた。
「よかったら持ってけよ」
「いいんですか!?」
「ないとまたクルザスで固まるぞ」
「ヒイイイ
…
ではありがたく!」
固まっていた時のことを思い出したのか、ガタガタと震えだした。
帽子は本人も気に入ってくれているようだし、またクルザスに行くことになれば必要になるだろう。
オルシュファンにも防寒対策はしっかりするように言われている。
「じゃ、また今度な」
「ハイ!」
別れを告げると帽子をかぶり、すぐさまウィスパーは彼の側に飛んでいった。
色々言っていてもやはりちゃんと心が通じ合っているのが分かる。
2人が話し始めたのを見届けてからゴールドソーサーを後にした。
妖怪達との出会いから始まり、大量のメダルを集めて、特別なものをもらう夢を見て。
夢でよかったと思う反面、あのメダルはちょっと欲しかったなと思う自分がいた。
…
何であんな夢を見たのかということについては、『妖怪のせい』ということにしておこう。
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