Hizuki
2017-09-20 20:07:09
8295文字
Public FF14
 

誰のせい?

【FF14】オル光。男ヒカセンで妖怪ウォッチコラボの話。ふせったーに上げた話を手直ししたもの。いつもの如く捏造とアニメ版から拝借した設定があります。異邦の社長と某白い妖怪の出番多め。妖怪のせいです。


「これで全部、か」

テーブルの上に並んでいるのは13本の武器。
氷の結晶をモチーフにした呪術用の杖。
納刀するとまるで幽霊の頭の形になる弓。
連打を繰り出す赤い猫が彫られている斧。
それ以外の武器もエオルゼアにあるものとは意匠が異なっていた。
これらはゴールドソーサーにいる『ノッヒー』と名乗った人物から、各地で拾った怪しいメダルと交換で譲り受けたものだった。
異邦の社長、とも呼ばれるそのアウラ族の男性は、何やら異邦の詩人とも知り合いらしい。
もちろん、まだ自分の技量では扱えないものもあるが、そのうち使える時が来るだろう。

「さて、こいつはどうするかな

絵柄の描かれていた13種のメダルは武器と交換してしまって残っていないが、何も描かれていない妖しい気配のするメダルは大量にある。
全部の武器をもらうまでに一体どれだけ集まるのかと興味本位で溜め込んでいたものだ。
その数およそ700枚。
社長の友達を紹介してもらうのに70枚ちょっと使ったが、それ以外に使い道はないようだ。
かといって、折角集めたものをそのまま捨ててしまうのはもったいない気がする。
まとめて入れてある袋の中から数枚取り出す。
これがアラグ貨幣なら売って金になるんだが。
考えを巡らせるも、これといった妙案は思い浮かばない。
壁に掛けられた時計をちらりと見れば、既に日付が変わっていた。
何だかんだとここ数日はずっとメダル集めに動きっ放しで、宿の柔らかいベッドはしばらくご無沙汰だった。
今日は久し振りにゆっくり休める。
手の中で弄んでいたメダルを親指で弾けば、キンといい音を立てて宙を舞う。
目の高さに落ちてきたそれを掴んで元の袋に戻し、最後に駆け回っていた外地ラノシアはもうしばらくはいいかな、と思いながらベッドに潜り込んだ。





「あっ、キミ!」
「ん、俺?」

ゴールドソーサーで声を掛けてきたのは、例の異邦の社長だった。
声が聞こえた方を向くと片手を上げて合図され、軽く周りを見回すも俺以外にいたのはゴールドソーサーのスタッフだけ。
やはり自分のことを呼んでいるのだと分かった。
彼に寄るやいなや、渡しておきたいものがあってね、と小さな青い箱が手渡される。

「何ですかこれ?」

指輪でも入っていそうな箱に俺の疑問は深まるばかり。
開けて箱の中身を確認しようとすると、彼の手がそれを制した。

「特別なものが入っているんだ。一人になれる場所で見て欲しい」

会って間もない人だ。
物と引き換えとはいえ自分の友達を紹介してくれたり、特別な武器を融通してくれたりと好意的ではあるが、怪しくないとは言えない。
加えてあの異邦の詩人とも知り合いなのだ。
そもそも何故俺に、という疑問も沸いてくる。

キミにも素敵な友達がいるようだね」

普通を装いながら真意を探っているとハッと意識を引き戻される。
その言葉に雪国にいる友の姿が思い浮かんだ。
彼らが教えてくれたんだ、と社長の隣にいる猫と幽霊の妖怪が大きく頷く。

俺の自慢の人です」
「そうか。その人を大切にな」

自分が思っている以上に、相手は俺を大切にしてくれる。
一体どこまで妖怪達は俺達のことを知っているのだろうか。

「忙しいだろうに引き止めてすまなかったね」
「いえ、俺の方こそありがとうございます」

受け取った箱を大事に鞄の中にしまった。
社長に別れを告げると、直通の飛空艇でウルダハに戻る。
宿屋で部屋を取り、ついさっき受け取ったばかりの箱を取り出した。
慎重に箱を開ければ、そこには見覚えのあるデザインのメダルが入っていた。
けれどそこに描かれていたのは、妖怪ではない。

描かれていたのは俺の友、オルシュファンだった。

ミニオンのようにデフォルメされてはいるが、紛れもなくオルシュファンだ。
銀色の髪に、蒼い瞳。
剣と盾を構えたかわいらしくも勇ましい姿。
どうやってオルシュファンの姿をと思ったが、それもきっと妖怪達が彼に伝えたのだろう。
中にはもうひとつ四つ折になった紙が入っていて、メッセージが書かれていた。

『キミとともだちの関係が長く続くことを願って、この蒼天メダルを贈ります』

以前社長から聞いた話では、メダルを妖怪ウォッチにセットすると友達になった妖怪を時間、場所を問わず呼び出せるのだという。
そしてそれを実際にやって見せてくれたこともある。
ということは。

いやいや、そんなわけないだろ」

思考の端を掠めたそれを大きく頭を振って吹き飛ばす。
そもそも妖怪じゃないし。
けれど気になるとやりたくなってしまうのは人間の性だ。
誰かが見ているわけでもない。
この部屋には俺一人。
まだ日の高い時間、隣の部屋に誰かがいる気配もない。
妖怪ウォッチを腕に付け、蒼天メダルを手に取った。

俺の友達、出て来いオルシュファン!」

社長がやっていたように、そのメダルを指で弾いて宙に打ち上げる。

「蒼天メダル、セットオン!」

落ちてきたメダルをしっかり掴むと、妖怪ウォッチに開いているメダル用の窪みにそれを差し込んだ。
どこからともなく聞こえたボフンという大きな音と共に煙が湧き出す。
続けて勇ましい音楽がどこからともなく聞こえ、人のような影が現れる。

「えっ、マジで?」

我が目を疑った。
剣を天に掲げて盾を構え、ポーズを取って見せたその姿は紛れもなくオルシュファンだった。

「呼んだか、我が友よ!」

まさか本当に?





っていう夢を見たんだ」
「ほう、そんなことがあったのか!」

ところ変わってクルザス中央高地、キャンプ・ドラゴンヘッド。
興味津々な様子で、実際にあった異邦の社長や妖怪達の話と今朝見た夢の話を聞いていたオルシュファンの目が輝いた。
目覚めた拍子にベッドから転げ落ち、床にぶつけた頭にはまだ鈍い痛みが残っている。

「しかし妖怪、か」

間もなく、キャンプの司令官としての顔に戻り、何か気がかりがあるように呟いた。

「どうかしたのか?」
一度お前に確認してもらいたいものがあるのだが、頼めるだろうか」
「確認?あぁ、いいよ」

オルシュファンの先導で表に出る。
薄日が差しているとはいえ、やはりクルザスは寒い。
何の対策もなしに来たならば凍えてしまうだろう。
雪を踏み締め、彼の隣を歩く。
向かった先はキャンプ北東の門の内側、その左手の外壁沿いの草の中だった。

「これだ」

示された場所には不自然な塊がひとつ。
表面にはうっすらと雪が積もっている。
もしもドラゴンヘッドに害をなすようなものであれば、即座に処分しなければならない。

「昨日報告が上がってきたのだが、顔のようなものが見えるのだ」
「顔?」

塊の前にしゃがみ込み表面の雪を払ってみると、どうやらそこにあるのは氷の塊のようだ。
確かに氷の塊の中に顔のような白いものが見える。
よく見れば青い唇に、足のない胴体から伸びる手。
白目をむいているが忘れようのない顔。

「ウィスパー!?」
「知っているのか?」

間違いない。

「知ってるも何もこいつがその妖怪だよ
「何と!」

頭が痛い。
一体何故ウィスパーがクルザスに。
思わず頭を抱える。

悪い、とりあえず溶かしてもらってもいいかな」
「もちろんだとも」