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Hizuki
2016-10-24 20:29:06
5791文字
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FF14
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昔話は蜜月を語る
【FF14】エス光。3.3メインシナリオの軸から大きくズレた上で、3.4IDグブラ幻想図書館ハードの内容を含む話です。注意書きをご覧になった上でどうぞ。
1
2
3
「大変くぽ~!大変くぽ~!」
静寂を破る間の抜けた声。
言葉の割に切羽詰った感じがしないのはその声のせいだろう。
「エスティニアン、大変くぽ!」
「一体何の騒ぎだ」
ドラゴンズエアリーの広間に姿を見せたのは、一体のモーグリ族だった。
慌てて来たのは本当のようで、随分と息が上がっている。
俺の姿に動じることもなく、呼吸を落ち着かせると口を開いた。
「冒険者さんが
…
!」
何故ここであいつが
…
と首を捻っていると、空に複数の影が浮かぶ。
側には護衛用なのかワイバーンの姿も見えた。
さっきの奴とは違い慎重にこちらへ向かってくる。
「どうしたって言うんだ
…
」
俺の前にそっと相棒の身体が寝かせられた。
布に紐を結び付けて担架代わりにして連れてきたようだ。
ちゃんと呼吸はしているが、顔色はあまりよくない。
相当急いできたのだろう、同じように連れてきたモーグリ達も地面に倒れ、青褪めている。
「わからないくぽ
…
。白亜の宮殿の修復をしているモーグリから連絡があって、行ってみたら倒れてたくぽ
…
」
「神殿騎士団の奴らはどうした」
ふと騎士団の兵がいたことを思い出した。
白亜の宮殿の近くに技術協力として駐屯している兵達がいたはずだ。
「本部への報告と、素材集めの手伝いに行ってていないくぽ
…
」
「ドラヴァニア浮草も効果がなかったくぽ
…
」
タイミングが悪すぎる。
俺がこの身体でないのなら自分で対処ができるのだが、命を繋いでもらった手前、そんなことを言っても仕方ない。
幸いなことにはこいつらがいる。
あの時散々あいつを使った分、働いてもらうとしよう。
「よし、俺が指示を出す。その通りに動け、いいな」
「わかったくぽ!」
浮草を一振りして綿を浴びせると、倒れていたモーグリ達が起き上がった。
10体を超えるモーグリに役割を振り、水や食料、薬といった必要な物資の調達を頼んだ。
そして、広間に残した奴らには風を防ぐための簡素な壁を作らせた。
ふと相棒に目をやると服に真新しい紅が滲んでいる。
恐らくこちらに運ぶのに動かしたことで傷が開いてしまったのだろう。
出血を止めなければ命に関わる。
運んでくるのに使っていた布を広げ、モーグリ達にピンと張らせると、それを爪で切り裂いた。
布を血止めにきつく巻くと、痛みに顔を歪ませた。
騎士団と合流した奴らが持ち帰ってきた薬で、でき得る手当てを施し、作らせた壁の裏側に清潔な布を敷き相棒を寝かせる。
一通り落ち着いた頃には空に月が浮かぶ頃合になっていた。
「これならひとまずは大丈夫だろう。助かった」
「お安いご用くぽ!また明日来るくぽ!」
夜空に小さな白い影が飛んでいく。
姿が見えなくなったところで、視線を相棒に戻す。
「
…
ん
…
」
「気付いたか」
足元で小さな声が聞こえた。
声がした方に顔を向けると、ゆっくりと目を開ける相棒の姿。
状況を把握しようとしているのか、辺りを見回している。
「あれ、エスティニアン
…
?あ、ドラヴァニア雲海に飛んだんだっけ
…
」
しばらくして俺に気付いたようで名前を呼ぶ。
記憶を辿るように再び目を閉じた。
「白亜の宮殿で倒れてたらしい。モーグリ達がここまで連れてきた」
「そっか、今度お礼しなきゃな
…
っ!」
「まだ動くなよ。傷が開くぞ」
身体を動かそうとして痛みが走ったのだろう、言葉が途中で途切れた。
おとなしく身体を横たえると俺の方に視線を向ける。
場所が場所なだけに人間用の薬はほとんどない。
本当はすぐにでもイシュガルドに送り届けてやりたいが、それをしようものならまた皇都を混乱に陥れてしまう。
少なくとも相棒が一人で動けるようになるまではここで休んでいた方がいいだろう。
…
環境はあまりいいものではないが。
「お前がそこまでの傷を負うとは珍しいな」
「ちょっと冒険者ギルドの依頼でさ
…
」
話を聞くに、迷宮奥地に取り残された新米冒険者を助けに行って魔物の不意打ちを食らったというのが今回の結論らしい。
退路を確保しつつ中を進み、無事冒険者達と合流して、相棒を殿に戻り始めたまではよかった。
だが、新米達が倒したと思っていた魔物が生きていた。
暗い中で気付くのが遅れ、まともに一発を食らってしまった。
攻撃が飛んできた方向を頼りに飛び込んで魔物の息の根を止め、何とか全員で脱出。
そして、外で待機していた冒険者達をギルドの人間に託して見送った、と
―
。
「お人好しもほどほどにしておかないと、幾つ命があっても足らなくなるぞ」
「
…
覚えとく」
苦笑いしながら言った。
そうは言っても頼まれたら断らない性格のこいつのことだ。
今後もこういうことがないとも言い切れない。
それがいいところでもあるのだろうが。
「一つ聞いていいか」
「ん?」
「どうしてこっちに来た?」
どこか街中にでも飛んだ方がすぐに手当ても受けられただろうに、わざわざドラヴァニアに来た理由がよく分からない。
「あんまり記憶がないんだけど、気付いたら飛んでた
…
」
返ってきた答えはいまいち要領を得ない。
もう少し自分の身を気遣え、そう口を開こうとした時だった。
「多分エスティニアンに会いたかったんだと思う
…
」
付け加えられた言葉に言おうとした言葉を飲み込む。
そんなことを言われては何も言えなくなる。
「
…
まだ夜中だ。寝られるようなら寝とけ」
「うん、そうする
…
おやすみ、エスティニアン」
『会いたかった』と言われ心が騒いだ。
相棒の姿を翼で覆う。
自分の視界から遮るためでもあった。
これ以上余計なことを言われる前に寝かせてしまおう。
こいつは怪我人なんだ。
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