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Hizuki
2016-04-21 20:58:58
4451文字
Public
FF14
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スウィート&サーヴァント
【FF14】オル光。メイド服の売り込みに行って寄り道する話。他NPCもちょこちょこ出てきます。前半はオルシュファンのオの字もありませんがオル光です。
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数度目のイシュガルドでの仕事を終え、クルザス中央高地に出た。
グリダニアに向かうならテレポで飛べば一瞬だし、雪原で仕事になることなんてほぼないだろうとは思ったけれど、いつどこで宣伝になるとも限らない。
…
というのは建前で、少し寄り道をしようと進路を東に向ける。
その先にあるのはキャンプ・ドラゴンヘッド。
宣伝に回っただけだったにも関わらず服の評判はよく、さらにターゲットが貴族だったおかげか、お菓子やら何やらをお礼にといただいてしまった。
このいただきものをどうしたものかとレドロント・ローズさんに確認すると、『あなたが受け取ってちょうだい』と言われ、ありがたく受け取ることにした。
とはいっても、流石に一人で消費するには量が多すぎた。
それなら以前お世話になったドラゴンヘッドの人達の差し入れにしよう、と寄り道を決めたのだった。
「こんにちは」
キャンプの台所に顔を出せば、そこで腕を揮うメドグィスティルさんの姿があった。
「あら、いらっしゃい
…
ってどうしたのその服?」
「ちょっと頼まれごとで着てます」
「かわいくていいじゃない。メイドさんみたいね」
そして立ち寄った理由を告げて品物を渡すと、それはもう喜んでくれた。
冒険者さんからの差し入れだって聞いたら、みんなも喜ぶわ、と。
「あ、そうだ」
何かを思いついたようにメドグィスティルさんが手を叩く。
「これからオルシュファン様にお茶を届けるところだったの。よかったら持って行ってあげて。きっと喜ぶから」
「はい、行きます!」
断る理由なんてあるわけない。
用意していたティーセットにもう一脚カップが増え、私が持ち込んだお菓子が2つ乗せられる。
一緒にどうぞ、と勧められ、お言葉に甘えることにした。
ティーセットの乗ったトレーを受け取り、オルシュファンの部屋に向かう。
あぁ、何か本当にメイドさんみたいだなぁと思いながら、コンコン、と彼の部屋の扉を叩いた。
「どうした?」
ややあって中から返事が聞こえた。
「オルシュファン様、お茶をお持ちいたしました」
普段より声のトーンを落とし、あえて私だと分からないようにしてみる。
扉越しではまず気付かれないだろう。
内側からノブを回す音が聞こえ、目の前の扉が開く。
「あぁ、すまない
…
」
声が徐々に小さくなっていった。
ちらりと様子を窺えば、呆然とこちらを見るオルシュファンの姿。
何が起きているのか分からないといったように、ただ私を見ている。
その姿に思わずくすりと笑みが漏れる。
「と、とにかく中へ!」
私を隠すように部屋に促し、数回辺りを確認してから扉を閉めた。
こんなに動揺しているオルシュファンなんて珍しい。
いいものが見れたな、なんて思いながら暖炉の前のローテーブルにティーセットの乗ったトレーを置いてお茶の準備を始める。
「一体どうしたんだその格好は
…
」
「ギルドから依頼を受けまして」
事の経緯を簡単にオルシュファンに説明する。
もう少しいつもと違う様子を見ていたくて、口調は崩さない。
ポットの中身を注ぐと湯気と共に紅茶のいい香りが漂った。
「ええと、いつものお前に戻ってくれないか
…
私の方がどうしていいか分からなくなる
…
」
口元を覆いながら視線を逸らす。
この辺にしておいた方がいいかと頷いた。
「ごめんごめん」
いつものトーンに声を戻す。
暖炉の前のソファに腰を下ろしたオルシュファンの前にカップをソーサーに乗せて置く。
自分の分の用意をすると、彼の隣に座った。
「ということは、イシュガルドで噂になっていたのはお前なのだろうな」
「あ、噂になってたの?」
「詳しい話までは聞いていないが、使用人の服を着て宣伝をしている人物がいたと」
この格好でイシュガルドに入った途端、一気に視線を集めていたようなのは何となく感じていた。
宝杖通りで許可を得て仕事を始めるや否や物珍しさからか多くの人に囲まれ、初めてイシュガルドに持ち込んだ分の問い合わせカードは1日も持たずになくなってしまい、何度か補充にウルダハに戻らなければならなくなるほどだった。
その人だかりの中に少年の従者を連れた何やら見覚えのある黒髪の人物がいたような気がしなくもないけれど、あれだけの人ではあまり記憶も定かではない。
「こういう服かわいいし、いいなぁって思ってたんだ」
ふわふわと膨らんだ袖に、飾りのリボン。
ひらひらと動きに合わせて揺れるスカート。
「やっぱり戦ってることの方が多いでしょ?だからあんまりこういうっての着る機会ないしさ」
戦うための装備に動きを妨げる装飾は必要ない。
後衛職ならまだしも、前衛職にはほとんどない。
「確かにイイとは思うが
…
しかし
…
それでは完全に使用人ではないか」
「見た目だけだよ」
本当にただの外見だけで、実際に仕事をしている人達と同じように動けるわけではない。
普通に自分一人が生活していくだけのスキルはあると思うけれど、それを他の人のためにとなれば話は別。
自分が冒険者を辞めたとしてそういった仕事に就けるかと聞かれれば難しいだろう。
そもそも誰かに仕えて働けるかどうかさえ怪しい。
「
…
ねぇ」
たった一人だけ、思い当たる人物がいた。
「それなら私をオルシュファン専属のメイドにして?」
もし、私が仕えられるとすれば、この人しかいない。
手をソファにつき、彼の方に身体を寄せた。
視界に真っ直ぐオルシュファンを捉える。
「何を言い出すかと思えば
…
」
オルシュファンが困ったように笑う。
けれど本当に困っているようには見えない。
どこか嬉しそうにさえ見える。
「ダメかな?」
「嬉しい申し出だが、それ以前にお前は私の『恋人』だろう?恋人に使用人はさせられないな」
そっと彼の右手が私の左頬に触れる。
あぁ、そうだった。
私、オルシュファンの恋人なんだった。
「さぁ休憩にしよう。折角お前が淹れてくれた紅茶が冷めてしまう」
そう言ってカップを手にして口を付ける。
「お味はいかがですか、ご主人様?」
途端にオルシュファンが大きく咳き込んだ。
カップを受け取ってソーサーに戻して背中をさすり、彼の息が整うのを待つ。
味はそう大して変わりはしないだろう。
悪戯っぽく笑うと、オルシュファンの手が髪を撫でた。
「
…
全く、いけない使用人だ」
タイミングが悪かったのだろう、私に合わせてか、主が窘めるようにそう言った。
これは依頼用のものだから、仕事が終わったら返さなくちゃならない。
それならいっそ自分用に買ってしまおうか。
確か手が出ない値段ではなかったはず。
たまに着て使用人ごっこをするのも悪くないかなぁ、なんて愛しい人を見ながら思った。
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