Hizuki
2016-01-11 01:54:24
3995文字
Public FF14
 

竜眼の誓い

【FF14】エス光。3.xどこかで来るであろうエスティニアン救出を捏造した話。




「随分遅かったな」

その一言に不機嫌さを感じた。
それは私がすぐに来なかったことに端を発しているのだと察しはついた。

「アルフィノの方が早いとは思わなかったぞ」
「えっと、あのごめん
「とりあえず入れ」

ここまで来ちゃったらしょうがない。
言われた通り、病室の中に入る。
さすがは蒼の竜騎士に宛がわれた部屋と言うべきか、他の病室とは設備や装飾が全く異なっている。 私も最初はこんな感じの部屋にいたけれど、あまりに落ち着かなくてすぐに普通の病室に変えてもらったのを覚えている。
エスティニアンに促され、病室に備え付けられたソファの彼の右隣に腰を下ろした。
会話がなくてもどうということはなかったはずなのに、今は酷く居心地が悪い。
原因が私自身にあるというのが分かっているからこそ、余計に身動きが取れない。
ただ床に視線を落としてじっとしていた。

お前が止めてくれるんだろうとは思っていた」

沈黙を破り、エスティニアンが口を開いた。

「声が聞こえたからな」

うん、と小さく頷く。

「その時にはもう俺の命はないものだと覚悟を決めていたんだが、こうやって生きてる」

少し視線を上げてエスティニアンを見ると、彼の左手が包帯に閉ざされた左目を覆った。

「片目だけで済んだなら安いものだ」

身体が、手が震え出すのが分かった。
邪竜の眼に槍を突き立てた時の生々しい感触が蘇る。

私が、彼の目を奪ったのだ。

「やっぱり私が
「気にするな。眼を狙ったのは正しい選択だったんだ」
「でも

それが最善の手だと思った。
けれど、もしかしたらもっといい方法があったかもしれない。
エスティニアンを無傷で助けられて、邪竜を仕留める方法が。

「湿っぽい声を出すな」
「いたっ!」

私の額をエスティニアンの指が弾いた。

「お前のおかげで俺は生きてるんだ」

多少手加減されていたとはいえ、じんじんと痛む額を押さえながら涙目で彼の様子を見る。
途端に視界が大きく動き、耳にはとくんとくんと脈打つ音。
エスティニアンに抱き寄せられている。
布越しに彼の温もりが伝わってくる。

おかえり、エスティニアン」
ああ、ただいま」

ずっと言おうと思っていた言葉。
ずっと待ち望んでいた言葉。

「見えなくたって分かるものは分かる。お前だって、分かる。」

それに、両目が見えない訳じゃない、と付け加えて。
蒼の竜騎士同士、以前からあった。
特に何かを合図したわけでもないのに、ぴったりと息の合うことが。
同じようなものなのだろうか。

「まぁ、まずはこの状態の生活に慣れないとな」
「うん、そうだね」
「しばらくはお前が俺の左目になってくれ」
「うん、もちろん」

私が彼の左側に立って、その手を引けばいい。
今ならきっと文句は言われない。
危ないから、で封じられる。

「槍が持てるようになれば大丈夫だろ」
「えっ?」

言葉に耳を疑い、勢いよくエスティニアンを見上げると、さも当然と言わんばかりの顔でこちらを見る。
何を言っているのこの人。

「俺が竜騎士を辞めるとでも思ったのか?」

邪竜の姿は既になく、彼が戦う理由を私は知らない。
この状況でエスティニアンが槍を握る理由なんて、一体どこに。

「無茶する相棒を止めるくらいのことはできるさ、片目がなくてもな」

柔らかい感触を額に感じて目を閉じる。

「もう無茶はしてくれるなよ」
うん、しない」

こくりと頷いた。
彼の左目に誓いを立てて。