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Hizuki
2016-01-11 01:54:24
3995文字
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FF14
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竜眼の誓い
【FF14】エス光。3.xどこかで来るであろうエスティニアン救出を捏造した話。
1
2
3
扉の前で私は立ちすくんでいた。
皇都イシュガルドの病院のとある一室。
片手の指で数えるほどしかない特別な病室の前で動けずにいる。
この扉の向こうに彼がいる。
邪竜ニーズへッグから解放した、私の大切な人が。
中に入ろうか、それとも帰ろうか。
頭の中で選択肢がふらふらと揺れている。
…
やっぱり帰ろう。
そう決めて来た道を戻ろうとした瞬間、目の前の扉が開いた。
「何やってんだ」
「エ、エスティニアン!」
ずっと聞きたかった彼の声に思わず大きな声が漏れてしまった。
静かな廊下に自分の声が響き、慌てて口を塞いだ。
久し振りに見た彼にもう目立った傷は見えない。
―
ただひとつ、左目を覆う包帯を除いては。
その包帯にズキンと心が痛む。
原因を作ったのは他の誰でもない、自分自身なのだから。
互いに次の一撃が最後だろうというのが分かった。
自分も相対する黒竜も満身創痍だった。
今一度槍を握る手に力を込める。
殺るか、殺られるか。
竜が大きく息を吸い込む。
「
…
エスティニアン」
邪竜と同化してしまった彼の名前を呟く。
瞬間、ピクリと竜の動きが止まった。
その隙を突いて空中へ飛び上がる。
狙うは一点、禍々しい魔力を持つ左眼。
吐き出された炎は空を焼き、巨体は地に倒れた。
飛んだ勢いと重みを利用して竜の顔へ突っ込む。
動かない身体に狙いが外れることはなく、槍は眼を貫いた。
竜の赤黒い血が周囲に飛び散り、鼓膜を破りそうな断末魔の咆哮が谺する。
「回復部隊、前へ!」
自分の体力も限界で、槍を引き抜くと竜の身体の側に倒れ込んだ。
すぐさま回復魔法の光に包まれ、誰かに身体を起こされる。
灰色のカーバンクルが目に入り、その主が誰なのかを理解した。
「ご苦労様」
「
…
アルフィノ、ありがとう」
彼の肩を借りてヤ・シュトラを中心に据えた術師部隊の後ろに下がる。
「お疲れ様。あとは私達に任せて」
ヤ・シュトラの労いの言葉にこくりと頷く。
竜を取り巻くように術師が位置取り、陣を展開していく。
問題はここからだった。
消失する邪竜のエーテルの中から彼のエーテルだけを繋ぎ止め、体内に残っているはずの肉体に定着させなければならない。
そこは私には手出しできない世界。
協力を申し出てくれたヤ・シュトラと神殿騎士団の魔術師達の力を信じて祈ることしかできない。
「邪竜のエーテルが思った以上に濃いわね
…
このままでは
…
」
同化していた時間のせいか、難航しているようだ。
苦々しいヤ・シュトラの声が聞こえた。
「エスティニアン殿
…
!」
黒いエーテルの中にぼんやりと淡い光が見える。
今にも消えてしまいそうなそれが、彼なのだと分かった。
「
…
エスティニアン
…
」
先ほども口にした彼の名前。
形を成していないだけで、確かにそこにいる。
「光が強くなった
…
?もしかして
…
」
私の名前をヤ・シュトラが呼んだ。
「彼の名前を呼びかけて。あなたの声に反応しているみたいだから」
アルフィノの回復のおかげで多少は動けるようになっていた。
陣のギリギリまで近付いて名前を呼ぶ。
あの時から今まで、何度呼んだだろう。
黒いエーテルが徐々に晴れていき、光の玉が次第に大きくなっていく。
そして、頭の角の折れた紅の竜騎士の甲冑を纏ったエレゼンの身体が姿を現した。
それは紛れもなくエスティニアンの身体だった。
邪竜の体内で装備の手入れができるはずもなく、傷だらけになっている。
一際目を引いたのは真新しい兜の破損、ちょうど最後の一撃を突き立てたところだった。
竜の血に浸けた竜騎士の装備が砕けている。
その下は、もちろん生身。
破損の隙間から紅く流れているものが見えた。
「あ
…
」
手が、足が、身体が震える。
邪竜への攻撃が、すべて彼に伝わっているとしたら。
あの一撃が兜を破壊していたとしたら。
彼を傷つけていたとしたら。
膝から崩れ落ちた。
その間にも彼を取り戻す術式は進んでいく。
強い輝きを放つ球体が彼の体内に沈む。
同時に回復魔法の光が身体を包んだ。
「これで大丈夫なはずよ」
「よし、応急手当の後、皇都に帰還する!各自警戒を怠るな!」
ヤ・シュトラの報告に続いて、ルキアさんの指示が飛んだ。
そこからの意識は飛び飛びで、はっきりと目を覚ました時には皇都の病院のベッドの上だった。
私が目を覚ました、という知らせが伝わると、タタルさんをはじめ暁のみんなが駆けつけてくれた。
それだけではなく、フォルタン家の面々やアイメリク卿やルキアさんまで足を運んでくれて、現状の話を聞かせてくれた。
あの戦いから3日後、予断を許さない状態だったエスティニアンが普通の病室に移ったことを聞かされた。
私はといえば持ち前の回復力もあって、もう傷は癒えているのに何やら検査に追われ、結局退院できたのは戦いから1週間経った日のことだった。
退院した日はタタルさん達がささやかなパーティを開いてくれた。
その最中、エスティニアンの意識が戻ったと連絡があったことを神殿騎士団の方が伝えに来てくれた。
ただしばらくは検査が続くため、面会はできないとのことで。
面会ができるようになったら知らせますね、と言い残して帰っていった。
意識が戻ったというだけで、身体の具合は聞いていない。
暗いものがじわりと広がっていく。
一体どんな顔をして会えばいいんだろう。
そういう意味では今すぐ会えないということが、逆に時間を作ってくれてよかったとさえ思える。
会いたい、けれど会いたくない。
相反する感情がせめぎ合っていた。
面会の許可が下りたのは更に2日経った日のこと。
そして、私が彼の部屋の前に足を向けたのは、許可が下りた日から2日が過ぎた今日だった。
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