後輩シルバーによる部活のマネージャーゴールド先輩についての日誌

わたしだけが楽しい文章。
後輩シルバー→先輩ゴールドなシルゴ。
矢印が強すぎてキャラが崩壊気味です。
ネタのほとんどがBlueskyでの呟きです。
(最終更新2024-12-19 3ページめ) 
 

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エースはいつも君の頭上

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オレの所属する部にはマネージャーが一人いる。
こう前置くと、期待する奴らは必ず問う。
「そのマネージャーは美人か」と。
だからオレは切り捨てるようにこう伝える。
「マネージャーはオレと同じ男だ」と。
途端に相手全員が、明らかに興味を無くした顔をする。
それでいいと思いつつ、しかし話したくて口をひらいたという面もあり、少しは話を聞けと言いたくなることもある。
けれどやっぱり、あのマネージャーの……先輩の魅力について知っているのは、オレだけでありたいとも思う。

オレよりひとつ年上の、ゴールド先輩。
オレはあの人に、密かに思いを寄せていた。



●月×日。
今日も先輩は体育館の入り口に群がる女子達を追い払っていた。
ぷんぷんしながら入り口で「ケッ」と吐き捨てていた先輩が面白かった。
名前を呼んだら先輩をつけろと叩かれたけれど、スコア表のクリップボードで軽く頭を叩いた程度で、全然痛くない力加減だった。ちゃんと配慮していて優しい。かわいい。
ドリンクもしっかりと先輩の手からもらった。嬉しい。

●月×日。
外周で手を抜いていたら先輩にバレた。
タイムはそれほど落ちていないはずなのに、そこも計算して手を抜いていることがバレたらしい。
ホイッスルを鳴らして「ラスト5周追加~」と無慈悲に真顔で先輩は告げた。
悲鳴をあげて「鬼~~!!!」と言ってる奴らもいた。
その鬼を目覚めさせたのはオレだ。
少し申し訳なく思ったけれど、先輩がしっかりとオレを見てくれるのは嬉しいな、と思った。
結局その後、3回に分けてトータルで12周追加された日だった。
少し脚が痛い。
先輩が軽いマッサージの仕方を教えてくれた。
分かりやすかったけど実際にやってみせてほしいと言って少しだけやってもらった。
しばらく脚を洗いたくなかったけれど、臭いとか言われるのは嫌だから仕方なく普通に洗った。


●月×日。
大声で「いいぞー!」とか、「ちんたら走ってんじゃねえ追いつかれてんぞ!」とか叫ぶ先輩の声が、今日も体育館に響いている。
部活中の先輩の声は、大体いつも大声だ。
毎日あれだけ叫んで、よく喉が潰れないなと思う。
考えてみれば中学時代に先輩を見かけたときもそうで、よく通る声はうるさくもあったけれどよく耳に残った。
休憩時間に同校のメンバーと話しているときも元気で、なおかつ「味方の気分を高揚させるのが上手い人なんだな」と思っていた。
実力はそこそこで、対戦で一度も負けたことはなかった。
けれど、こういう人がいるチームはきっと面白いと思って、スカウトなんかの諸々を蹴っ飛ばして先輩と同じ高校に進学した。
そしたらマネージャーになっていたから驚いた。

……先輩のことを考えているとどんどん話が膨らんでいってちっとも言いたいことに進めない。
今日あった出来事はその「声」だ。
先輩は新たな技をオレに披露してみせた。
試合の合間、すれ違うときに囁き声でオレを褒めてくれたのだ。「さっきの良かったぞー」と。
別に他の奴らに聞かれたくないような話でもないのに、口の横に右手を添えて、少し上目遣いで囁く先輩はとんでもなくかわいすぎて、その日のオレは連続得点の最高記録を叩き出したらしい。正直覚えていない。
試合のあとに先輩が「やるじゃねえか!!」と両手ハイタッチしてきたから全部ぶっ飛んでしまったんだと思う。
その両手を掴んで離さないでおけば良かった、と今振り返って少し考えた。


●月×日。
先輩が部室で何かの紙を丸めてゴミ箱に捨てていたので、気になって見てみたらマネージャー募集のポスターだった。
マネージャーが増えるのかと聞いてみたら「違う、諦めた」と返ってきた。
マネージャー希望の人間は結構いるらしいけれど、「真面目にやろうという奴がいない」と先輩が全てストップを掛けたらしい。
ギャル好きを公言しているんだから女子に手取り足取り教えようとかしないのかと思ってそのまま明け透けに尋ねてみたら、「みんなおめえにキャーキャー言ってる奴ばっかりじゃねえか。そういう奴らに優しくして得があるとは思えねえ」と返ってきた。意外と打算的に女子に接しているんだなと思った。
勝手なイメージで、チロルチョコでもいいからチョコを恵んでくれと2月に片っ端から見境なく頼み込むタイプのような印象があった。
一瞬で見抜かれて「失礼なこと考えてるな?」と言われたけれど。
意外と物事を察するのが上手くて驚く。


●月×日。
今日も先輩は「面倒くせえ」と言いながら雑務をこなしている。
それが口癖の先輩だけれど、だからといってマネージャーの仕事の手は抜かない。
へらへらと笑ってみせて、ちっとも大変そうな様子は見せないけれど、オレは……というか部員は全部知っている。(オレだけが知っている、と本当は言いたかった。)
各部員の細かい体調管理、栄養指導、トレーニングメニュー作成と評価・修整、対戦校の情報収集と整理、備品管理、他にももっともっと細かいところの雑務を抱えている。
補欠選手の力も借りていると話しているけれど、大半は一人でこなしているはずだ。
だから「面倒くせえ」が口から出ても全く不思議じゃない。
けれど、投げ出さない。
すごいなと思うし、一応尊敬もしている。
口にも態度にも、しばらく出すつもりは無いけれど、一緒に居たくてたまに手伝ったりもする。
少しでも長く先輩と居たいなと思ってわざと失敗を繰り返していたら、もう頼まねえと言われてしまった。
加減を覚えなくてはいけない。難しい。



●月×日。
練習中に選手同士の接触事故が発生、少し足首を捻ってしまった。先輩がテーピング固定をしてくれて、全然痛くなくて驚いた。
そのまま練習を続けようとしたら念のため病院に行くぞと先生に言われて、学校指定の整形外科内科医院まで連れて行かれた。
面倒だなと先輩のようなことを思ったけれど、その先輩がついてきてくれたのでお釣りが来るどころか儲かった気分だった。
骨に異常は無く、軽い捻挫で特に心配ないと医師に言われた。
「よかったな」と先輩は笑って言ってくれた。
オレは先輩と病院に来れた上に「よかったな」の笑顔まで頂戴して、明日死ぬかもしれないなと思った。
けれどとりあえず今のところは普通に生きている。



●月×日〜×日。
部員の体調管理だのトレーニングメニュー作りだの、散々やっているくせに(むしろそのせいなのか)、テストが近くなるにつれて先輩の顔が強ばってきていた。
同級の人間に教わろうとしているようだったけれど、先手を打ってオレが先輩の学年のテスト範囲を聞き出したあと、教科書をうんうん唸りながら見ている先輩にそれとなく「そこはこの公式を使って……」などとちょっかいを掛け続けて数日、やっと勉強会に持ち込むことが出来た。
年下に教わるなんてと、初めは悔しそうにしていたけれど(かわいかった)、次第に抵抗なく質問を重ねてきた。こういう素直なところも好きだ。
そして理解力も意外とあった。
マネージャー能力を考えればそれも当然のことで、むしろ本気になれば頭脳を生かすほうがこの人には合っているのかもしれないとさえ思ってしまう程だった。
でも先輩はケアレスミスも多かった。適度に抜けているところが先輩らしくて安心した。
自分の成績は以前と変わらずだった。
貼り出された成績表を見たらしく、先輩が何故かびっくりしていた。


●月×日。
先輩が部長と一緒に、別の部の女子部長と何やらいろいろ話していた。体育館の使い方の交渉をしているようだった。
同じ学校の人間として上手くやっていくために、まるっとこちらに有利にしてしまう、というわけにもいかないらしい。かといって不利な条件をつけられてもたまらないと、部長は先輩を交渉場面によく連れて行く。

たとえば毎年行なわれる予算折衝会、いわゆる生徒会との部費交渉会議でも、先輩のそれは遺憾無く発揮される。
先輩のストッパー役として平部員である自分も駆り出されているけれど、先輩を適度に宥めながら内心「もっとやれ」と思っている。
悪巧みをしているときの先輩の顔は、悪戯好きの子供のようでもあり、ちょっと小悪魔のような妙な色気もあり、結構好きだ。


それはともかく女子部長との交渉話が長すぎる気がして、決してそんなつもりは無かったけれど、オレは味方のボールを取り損ねてしまい、話し合ってる最中の先輩達のほうへ飛ばしてしまった。
女子部長が目を瞠っていたけれど、先輩は背中を向けていてたぶん気づかなかった、はずだった。
けれど先輩は素早く振り返り、ボールをいとも簡単に片手で受け止めてオレ達を睨みつけて「くぉらテメーら!!! 危ねえだろうが気ィつけろァ!!!」と叫んでボールを投げ返した。
言葉と共に投げられたボールは力強く的確にオレの手に来て、すぐに周りの奴らが大声で謝る声が響き、オレも慌てて頭を下げた。
腕がじんじんとして痛かった。やっぱり、先輩はすごい。
でも少しだけ女子部長の顔が赤くなっている気がしてむかついたから、休憩時間になってすぐに先輩のところに行き、二人を引き離してやった。
交渉は上手くいったらしい。
よく分からなかったけど「おめえが来たらコロッと態度変えやがって……あーイヤだイヤだ」とぶつぶつ言っていた。
でもあの顔は本気で怒ってはいなさそうだ。
先輩の役に立てたなら良かった。
でも貸しひとつ、と言ったら叩かれた。

●月×日。
文化祭が近い。自分達のクラスは高校の歴史展示をやることになった。
クラスの代表がくじ引きで負けてしまったからそうなったのだが、「つまらなそう」と同学年別クラスの奴らにも部長にも言われた。
面倒事が嫌いなオレでも正直そう思う。
けれど当日ほぼ自由に動けそうなのはいいことかもしれない。適当にサボっていられる。
「下級生クラスってやること制限されてるもんなあ、飲食は3年だけだし」
先輩がフォローのつもりなのかそう言ってくれて、少し嬉しいと思っていたら、展示テーマを見てしっかり「うわ、つまんなそっ」と発言していた。やっぱり先輩は先輩だ。
でも「おめえ、分析シート読み込んで上手く取り入れんの早えし、調べ物得意そうだよな。頑張れよ。一応見に行くから」と笑って言ってくれたので、手を抜くわけには行かなくなった。
先輩のクラスは何をやるのかと聞こうとしたら、何故か用事があるとかではぐらかされた。


●月×日。
言うつもりがなかったのに、口からうっかり「先輩かわいいですね」と漏れてしまった。
しっかり聞かれていて、どう言い繕うべきか迷っていたら「馬鹿にすんな」と少しムッとした顔で言われた。
普段の行ないから、先輩は揶揄われたとか蔑まれたとかそういう方向に捉えたらしい。
助かったといえばそうなのだけれど、悔しくて先輩を後ろから抱き締めた。
暴れる先輩を押さえ込んで、頭に顔を押し付けてぐりぐりしてやった。
「背が縮む」と叫んでいたのが面白かった。
制汗剤の匂いが汗の香りと混じって、いろいろとまずいなと思って離れた。すぐに頭を叩かれた。
「なんで叩いてねえ顔が赤いんだ」って聞かれて、誤魔化せずに黙り込んだら「おめーもなんか今日はかわいいな!」って笑われた。
かわいいのに男前とか、勘弁してほしい。

●月×日。
先輩が突然「おめえ彼女出来たってほんとか?」と聞いてきた。
寝耳に水にも程があるその問い掛けに固まっていると、「なんだ、やっぱりデマなのか」とつまらなそうに先輩が言ったのでどういうことか問い詰めた。
なんでも、オレがスマホの待受画面をとろけるような笑顔で見つめていたとかで、「あれは絶対好きな子の写真に違いない」と目撃者からどんどん噂が広がっていき、それが先輩の耳にも入ったらしい。
噂には尾鰭が付きまくっているようで、金髪の帰国子女だとか大人しめの社長令嬢だとかさまざまなことが語られているらしかった。
「んで、どうせあれだろ、事の真相はおめえんちの黒猫だろ。前に見せてくれたやつ」
入部したての頃、雑談の中でほんの一瞬写真を見せただけのうちの飼い猫のことを、先輩は覚えていてくれた。
恐らくそうだと思うと返すと、先輩は「んなこったろーと思ったぜ〜!彼女とか作ったらマジぶっ殺してやろうと思ってたわ」と嬉しそうに物騒な発言をしていた。
今の御時世によくそんな乱暴な発言が出来るなと思いながらしっかりと録音しておいた。
あとで発言を切り貼りして、いざという時に「先輩に脅されました」という既成事実を作って強請るのもありかもしれない。

さて本当の真実はというと、飼い猫ニューラの写真は確かにスマホには入っているけれど、最近そこまで写真を撮ってはいないし見てもいない。
最近オレがよく見るフォルダは恐らく、先輩の写真フォルダだろう。
笑っている写真だけで数十枚、机に伏して涎を垂らし寝ている写真も十数枚、そして部活中の作業姿も着々と増え続けている。
もっと増やしていければ、と思っている。
目標は常に高く持て、と先輩も言っていたし、頑張って集めていきたい。
ひとまず今日は、オレに彼女が出来たわけではないと心の底から喜んでカッカッカッと笑う先輩に向かってシャッターを切った。
シャカシャカ鳴る音をカメラとは思わずに大丈夫かと尋ねる先輩はやっぱり優しい。
連写で、近寄ってくる先輩のぱらぱら漫画みたいなものが撮れて嬉しかった。