バラ肉
2024-10-15 11:16:09
11034文字
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永遠を示そうよ!(🐞アリ前提のモブ→アリ)

モブ(スパイ)に引っかかって、強さの秘訣を語る筈が下品な話題をふられるアリスちゃん。

※モブ目線でモブ→アリ
※『永遠を誓おうよ!』の続編
※最後ははちゃめちゃにハピエン
(口調が迷子ですみません)



(蛇足)



「おーい、アリステラ!ブーケはこっちに投げてくれよ〜。ギヤマスターが絶対にほしいってよぉ」
そう言って隣のギヤマスターの背中を叩くヘイルマンに、当のギヤマスターは慌てたように彼の襟首を掴んだ。
「ギュイッ!? ヘイルマン、貴様変なことを言うな!」
しかし、当の本人は倍以上ある体格の相手に絞められてもまだ、へらへら笑うばかりで反省の色はない。
「えー!お前だって、早く嫁がほしいっていつも言ってるじゃないか」
むしろ更に焼け石に水を送る有り様だ。
「ばっ、こんなところでなんという失礼なことを……!!」
「カキカキ〜! こんなときだからこその無礼講だろ?」
ブンブン頭が揺られても尚ヘイルマンの軽口は止まらなかった。どうも、口から漏れる熱っぽい吐息からして、先が始まる前から相当飲んでいたのだろう。
「この酔っ払いが!!」
「はあ? めでたい日に飲まずにいつ飲めって? おーい、マリキータ〜! 早く出てきて俺たち寂しい男に幸せを分けてくれよぉー」
ぎゃんぎゃんと参列者の中でも一際騒がしい二人に対し、彼等とはやや離れていたところに居たルナイトとパイレートマンは呆れたようにため息を零した。

「ガウガウ……全く騒がしい奴らだ」
「ムマ……本当に。アイツらときたら」
「それに、ッこんな堅苦しい格好でよくやる……
そもそも慣れないスーツを無理やり着込んだルナイトにしてみれば、よくもあんな馬鹿をする余裕があると逆に感心してしまう。
ビシッと燕尾服を着こなしたパイレートマンとは対象的に、今も苦しそうに襟に指を突っ込んで喉元を広げている。
「ムマムマ! そうは言っても、ちゃんと正装して祝いに来たから偉いぞ!」
おかげで、心底おかしそうに頭の毛をガシガシ撫でられても今日は抵抗する気力もないようだ。



そしてそんな同胞達の様子を、バルコニーの上にいたマリキータは静かに見守っていた。
「ったく、こんな晴れの日にアイツらときたら」
これが地球侵攻前ならば、場を弁えずに騒ぐヘイルマンたちを二人仲良く空中に持ち上げて、そのまま地上へ叩きつけるくらい軽くしていただろう。馬鹿も休み休みにしろ!と、きっと怒鳴り散らしていたところだ。

しかし今は不思議とそんな気持ちは沸かなかった。

……一回死んだってのに、元気な奴らだ」

むしろ、以前と変わりない姿が嬉しくてならない。
一度失った同胞達に、人生最高の日を祝福される。
これほどの幸せがあるだろうか。らしくないと知りつつも、ついつい感傷に浸ってしまう。

———それは、バルコニーと併設する部屋のソファに座り込むアリステラも同じだった。



「まだ泣くには早いだろ。アリス……
……すまない。でもっ、この場にお前が居てくれるなんて……
丸くなった背中を撫でる優しい手に、ポロポロと涙が溢れて止まらない。泣き虫だった昔から当主となった後も、何度こうして慰められたことか。すっかり忘れかけていた手の温もりに、ますます心が張り裂けそうになる。

「キン肉マンには、感謝のしようもない……ディクシア。他の仲間だけでなく、お前まで生き返るなんてッ!」

『友への結婚祝いじゃ』
式直前。そう言って、かつての天敵であり今は良き友人である男は、その顔に秘められた奇跡の力を禁忌と分かった上で、アリステラ達オメガの民に贈ってくれた。
そうして見事復活した仲間たちと共に生き返った弟の存在は、片割れを失ったと思っていたアリステラにとっては何にも比べようのない喜びで。いまだ半ば信じられない気持ちで弟を見つめる目は、まさに宝石のようにキラキラと煌めいていた。
叶うならば、別れていた分のことを語り尽くしたい。オメガの呪縛が解放されたことを。オメガの未来に希望が見出せたことを。
そして自分が、愛しい男が決めたことを。
取り留めないのないほど、伝えたいことがあった。
しかし、今は自分たちの式の始まる寸前である。

「アリス。さあ、もう時間だろう?……マリキータのとこに行って来なよ」
濡れた頬を袖で拭いながら、ディクシアはどこまでも真っ直ぐな兄の肩を叩いた。

(でも……正直、まさか自分の居ない間にこんなことになっているとは)

復活して早々に聞かされた友と兄の関係に、流石に最初は驚いた。マリキータがアリステラに執着していたのは知っていたが、堅物で鈍感な兄がまさかその思いに答えるとは。
しかし、二人のことをよく知る彼にとって、この結末に対して全く違和感もなかった。

「マリキータ! オレのアリスを泣かすなよ!」

窓の向こうで伴侶を待つ男に、ディクシアは最後の発破をかける。
幸せにしないと承知しないぞ。言外に含ませた脅し。
だが、そんな言葉は相手にとっては当然でしかない。

……当たり前だ。あと、悪いがアリステラはもうお前のじゃないぞ? ディクシア。今は、”俺のアリステラ”だ」

胸を張って言いのける姿に、顔を真赤にするアリステラと反対にディクシアは呆れたように肩をすくめた。

「なら、誓ってこいよ。お前たちの覚悟を」

全く妬けるな。
そんな気持ちを込めてバンッ!と背中を叩く力は余りにも強く。
思わず前のめりになるアリステラを、素早く駆け寄ったマリキータは当たり前のように胸の中で受け止める。白と黒のタキシードに身を包み、寄り添う二人の姿はそれはそれはお似合いで。
眼の前に広がる光景に、ディクシアは満足げに目を細めた。

「オメガの未来に、光あれ」

そう呟く声に押され、マリキータは決意を新たにアリステラの腰に腕を回すと、そのまま皆が待つ会場へと足を向けた。


「アリステラ。ずうっと、お前と共に!」

「ああ。……オレも、永遠を誓おう」


祝福の鐘を聞きながら、二人の戦士はようやく番(つがい)になった。




ハッピーエンド!!!