enoki181
2024-10-07 12:54:27
2181文字
Public ごだが如く班
 

シルくんとの同人誌

イフカプ…未満くらい。注意書きは1ページ目。


▼シルくんの発狂を平手打ちで解除するアイザイア


 レオンハルト殿が狂気に振れたらしい。前も見えない様子である。
 副官に隊を任せ、大股で近付いた。俺の武器が床を擦る音がするだろうに、気にする素振りも見せない。

「失礼」

 手袋を脱ぎ、平手で頬を打った。
 視線が交わる。怒りの色に貫かれ、ゾッと肝が冷えた。
 しかしそこは流石レオンハルト殿。一瞬の後に正気を取り戻したことがわかった。

「轢き殺すならあちらを先に」

 後でいくらでも怒られますので、とは冗談で付け足す。これで怒る人でないと知っているので、伝わらなくてもいい。
 視線が俺から逸れる。そうだ、貴方は前を向いているのが貴方らしい。

 ――その後はレオンハルト殿の活躍により、無事勝利を収めることができた。

 引き上げようとしていたところ、レオンハルト殿から声がかかる。礼を告げる声に、いいえ、と振り向いた。

「私の方が助かりま……あ」

 言葉が止まる。
 レオンハルト殿の頬には、真っ赤な手形の跡がくっきりと残っていた。
 下手な加減をしないほうが正気に戻るだろうと、手袋も脱いだし、包帯のない側に張り手をしてしまったのだが……ここまで鮮やかだと、痴話喧嘩で女に叩かれたみたいにも見える。そんなことをする人ではないが、拾い上げて騒ぎそうな面々の顔が何人か浮かんだ。

「すみません……何か言われたら俺の名前をだしてください」

 眉間に寄った皺を指で伸ばしながら伝える。
 怪訝な顔をするレオンハルト殿に詳細を伝える前に、互いに部下に呼ばれ、それきりになってしまった。

 まあ、真っ赤なのは今だけだろう。

 そう楽観視してしまったのがよくなかったかもしれない。
 あの後、レオンハルト殿の頬は思い切り腫れた。
 周りが騒いでちょっとした噂になるとは、この時の俺には思いもよらなかったのだ。