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ツキシキ
2024-09-19 20:13:00
2434文字
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PIERROT+まとめ
2作品。二次創作。コウ×カナ、アオイ×ユエ。
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アオイ×ユエ
死んだ命の瞳は濁る。光を当ててもぶよぶよとした球体のままでいる。
人形の瞳は煌く。光を受ければ相手を貫く。
仮面越しの瞳はよく見えない。『アオイ』は濁っているのか貫いているのか。
誰も『アオイ』には語らない。
「いやよ、いやだわ。おねえちゃん、あんな姿になってまでキラキラしてるのよ。あたしなんてこうなのに、ずるい」
「
……
」
ユエは喉奥から絞り出すように声をあげる。
ユエは嫌だとよく言う。
ユエはずるいとよく言う。
『アオイ』は頷かないし否定しない。どちらも慰めにならないからと、ユエが望んでそうさせた。
「ずるい。おねえちゃんの目玉なんて抉り取ってやりたい」
「
……
命令なら、行く」
「あらアオイ。いたの」
アラームが鳴って初めて気づかれる時計のようだった。ユエが求める時だけ姿を現すかのように。ユエの無関心は『アオイ』の出来の良さを暗に示している。けれども『アオイ』は報われない。できて当然が境界線だ。
「首でも、目玉でも。要るのなら」
「うふふふふ。カナちゃんの首すら持ってこれないくせに。役立たずねぇ」
「
……
」
『アオイ』は許しを請わない。『アオイ』は言い訳を口にしない。ただ事実がそこにある。
ユエ自身がそうありたかったらしい。ぼたぼたと淀みなく零れ出る呪詛は、翻って彼女の罪過を示す。泣いて、わめく、そんな自分とは異なる何かをユエは求めていたらしい。『アオイ』がそれを求められたのだから。
「目玉なんかいらないわ。人形の目玉なんて冷たいばっかり。みんなあたしのこと見下すんだもの」
「
……
」
「あたしのことなんて見なければ良いのよ、誰も」
ぽつんと小さく響く、ユエの声。仮面に籠った小さな嘆きは不思議と耳によく響く。
ユエの瞳は仮面に隠れて、誰をも映すことはない。代わりに仮面の影に反射する、自分の過去を延々と映しこんでは傷つけている。だから彼女の瞳こそが、彼女を責め苛む人形の瞳に近いのだろうと、ぼくは、ぼくは思って、
……
想うという思考を壊す。
「ああ、アオイは別よ。安心してね?」
「
……
安心
……
」
「ふふ、やぁだ。おまえは心無しの死体だったわね。あはは!」
そう在れとあなたが言うのなら。
ぼくの死体があなたの安らぎになるのなら。
そう、胸中で呟いたぼくを幾度目かの自殺に追い込んだ。『アオイ』の瞳はいっそう濁る。濁って濁って濁って濁って、闇ですらない不透明の地に自ら投身する。
だからこそ『アオイ』はいつまでも、濁った瞳でユエを見つめ続けることを許されるのだった。
~END~
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