著者: 雷歌/らいと
2018-11-29 16:02:55
3435文字
Public バンやろ
 

【bnyr / 宗翼宗】11月29日の小説用お題ったー。より

らいとの宗翼宗へのお題は『誰も知らない二人だけの秘密・罪なのか、それとも・好きだと言わせてみろよ』です。
https://shindanmaker.com/67048

※時系列は別。


2.罪なのか、それとも

 いつの頃からだろう。その気持ちに罪悪感を抱くようになったのは。
 女の子へ無条件に愛を説き、笑みを浮かべてその手を取る。いつものことだ。これ自体が悪いことなどとは思っていない。
 けれどそれが、囁く甘い言葉や態度が本当は嘘であるようになると、もう駄目だった。
 女の子は好きだ。ふわふわ可愛い系もキツめの美人系も性別イコール女性であれば大好きだ。親しい友人との話であれば、声を大にして女の子はすべからく好きだなどと宣えてしまう。
 けれど今は嘘だ。いや、語弊がある。女の子は相変わらず好きだ。けれど、本当に好きなのはそうじゃない。
 女の子じゃない。
 そのことに気づいてしまってから、自覚してしまってから、ずっと胸が痛い。
 女の子相手にも、そいつ相手にも。
 知っている。そういう人がいるのも知っている。けれど俺は、そうであってはならない。
 だってこれは、この俺の気持ちは、BLASTを壊してしまうかもしれないから。
 でも時折、あいつなら許してくれるんじゃないか、なんて思ってしまう。
 傍若無人で無鉄砲で、けれど俺のベースの腕を信じてくれて。それを俺自身にも向けられていると勘違いしてしまいそうになる。
「あ? んだよ」
 目の前で、ギターのチューニングをしている宗介をまじまじと見る。すると、眉をひそめてこちらをにらみ返してきた。
 こちらがこんなにも悩んでいることなど知らないのだろう。だがそれで良い。何も知らなくていい。
「別にー?」
 こんなにもいい男を悩ませるのだ。まったく、罪な男である。
 けれどだからこそ好きになったのかもしれない。俺とは違って自由で縛られてなくて、自分の好きなことになりふり構わず突っ走れて。俺の憧れをすべて詰め込んだようなこの男に惹かれるのは自然で、抗いようがないものだったのかもしれない。
 そうやって自分に何度も言い聞かせ、罪悪感から逃げようとする。
 一生この気持ちを口にすることはないだろうが、せめて逃げることは許して欲しい。罰を受ける罪人のように、いもしない何かに懺悔を繰り返す。
 女の子を軽く扱ってきて誠に申し訳ありませんでした。だから、どうか、この気持ちがバレることがありませんように。



end.