澄ひろえ
2021-07-25 20:37:52
6400文字
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希有な再会と決闘と

ククゼシ2人旅ツイート小説「海賊の洞窟編」を加筆、修正した物です。 ログ見逃した人どうぞ。最終ページは後書きです。


「・・・さてと、今度は俺達の番かな」
 俺の言葉にゼシカは頷いた。俺達はクロウの前に立つ。
「汝らも我が財宝を求める者か?」
「ああ」
 クロウの言葉に俺は答える。
「ならば、我と戦い、その資格を示すがいい」
「それじゃ、行かせてもらうぜ、キャプテン・クロウさんよ!」
 俺達は武器を構え、キャプテン・クロウと対峙した。
 斬りかかってきたクロウの剣を俺は剣で受ける。力は強いが凌げないほどじゃない。こっちは危険じゃない・・・危険なのは。
(奴の気が高まった・・・)
 限界点を超えた、気の流れが可視化できるほど高まっている。
 クロウはふわりと俺から離れて距離を取ると、構える。
(来る!)
「ゼシカ!防御しろ!」
 盾を前にかざしながら俺は叫ぶ。強力な真空波が唸りを上げて俺達を襲った。強風が吹き付けてくる。吹き飛ばされないように両足に力を込めて踏ん張った。
「ぐううっ!」
 真空の刃が服を、肌を切り裂く。やがて風が収まる。あちこち切り傷はあるが、致命傷は無い。なんとか耐えきってみせた。
(ゼシカは!?)
 同じように盾をかざしていたゼシカも傷だらけではあったが、両足で立っている。よし。
 俺はほっと息をつくと、まずはゼシカにベホマを唱える。続いて自分に。驚いた表情のクロウに俺は素早く斬りかかった。
 俺とクロウはひたすら剣で斬り結ぶ。そうしながらもクロウの気が高まっていくのは見逃さない。
 ゼシカも隙をみて、呪文で援護してくれる。
 そして、クロウが真空波を撃つタイミングで俺達は防御に専念する。そして、耐えきった後に呪文で二人とも回復させる。
 これを繰り返して、俺達は徐々に奴を追い詰めていった。
(絶対の奥義に自信を持ってたのが逆に仇になったな・・・キャプテン・クロウさんよ)
 おそらく、この方法で倒れなかった相手はおらず、勝利し続けてたのだろう。だから、耐えきれる相手への対抗手段を持っていなかった。
 この状況を逆転する手段を持たなかったクロウはついに地面に膝をついた。


「我を倒すとは、見事な戦いぶりよ。汝らを資格持つ者と認めよう」
 クロウの体がふわりと宙に浮く。
「どうか、我が財宝を引き継ぎ、我の果たせなかった夢を果たしてくれ・・・」
 そして、そのまますうっと消えていく。もう、奴の気配は感じられない。どうやら成仏したらしい。やれやれ、もう決闘は勘弁して欲しいぜ。
 ゲルダはまだ意識を失っているみたいだ。一応、この女盗賊との勝負も俺達の勝ちって事だよな・・・?俺達は宝箱に近付いた。
 宝箱の蓋を開ける。中に入っていたのは一枚の海図。俺はそれを箱から取り出した。この箱に入れてかなりの月日が流れているはずだが、その海図は色褪せてもおらず、朽ちてもいなかった。
 宝箱の力なのか、海図そのものの力なのか、あるいはその両方か・・・。分からないけれど使い物にならなくなっていなくて助かったぜ。
「これが光の海図か・・・!」
 俺は思わず声を上げる。と、意識を取り戻したゲルダが頭を振りながらゆっくり立ち上がるのが見えた。
「ちっ、みっともないところ見せちまったね・・・お宝も先に取られちまったし。で、お宝ってのは?」
 こちらにやってきたゲルダは海図を覗き込む。みるみるその顔が歪んでいく。
「こんな紙切れ一枚だけなのかい?うわ、しょっぼーい。こんな物だと知ってたら、アタシはこんな所まで来なかったよ」
 ゲルダはお手上げのポーズをして、やれやれと首を振る。
 俺達は苦笑する。まぁ、この海図に価値を見出す必要があるのは俺達くらいだろうしな。譲ってくれと言われても困るわけだが。
「ま、今回は道中で手に入れた1万ゴールドで我慢しておくことにするさ」
 ・・・流石、女盗賊ゲルダ。転んでもただでは起きないと言ったところか。抜け目が無いというか、何というか。ある意味感心するぜ。


 光の海図には世界地図の一部が描かれていて、周りを岩礁に囲まれた地点に×印が付けられていた。
 ゲルダと別れた俺達は船に戻り、机の上に世界地図を広げて光の海図と見比べる。どこかに海図が示す場所があるはず・・・。
「ククール、ここ!」
 ゼシカが世界地図の一カ所を指差す。そこは聖地ゴルドから南西にある岩礁。
「隔絶された台地からも近いな・・・」
 どうやらここで間違いなさそうだな。
「よし、今日はもう休んで、明日ここだな」
 地図を片付けながら言った俺の言葉にゼシカは頷く。
「うまくいくといいわね」
「まぁ、この海図の効果に乞うご期待・・・って所だな」
 俺達は船を出発させ、海賊のアジトを後にした。
 神鳥レティス・・・彼の大陸で何か手がかりがつかめるといいんだが。