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澄ひろえ
2021-07-25 20:37:52
6400文字
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希有な再会と決闘と
ククゼシ2人旅ツイート小説「海賊の洞窟編」を加筆、修正した物です。 ログ見逃した人どうぞ。最終ページは後書きです。
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ゲルダを追いかけてさらに奥へ進む。
途中、下へ降りる梯子を見つけたが、水が貯まっていて降りられそうにない。
「あそこに水門があるわ。あれを動かせばここの水が抜けるんじゃないかしら」
ゼシカが下を指さす。確かに水門があり、動かすハンドルも見えるが・・・。
「ここからじゃ届かないな・・・違う部屋から回り込まねぇと」
魔物達を退けながら、遠回りをしてどうにか水門へたどり着く。
錆び付いたハンドルを回すと、水門が開き、梯子のある通路の中に貯まっていた水がどんどん抜けていく。
「よし、これで先に進めるな」
その時、その梯子を降りてきたらしいゲルダが通路から出てきて俺達と目が合った。
「・・・」
俺達は唖然としてゲルダを見ていた。
「・・・なるほど、そこのハンドルを回すと水が抜けて、先へ進める仕掛けだったわけかい。でも、あんた達もついてないねぇ。その仕掛けを解いた瞬間にアタシに先を越されるなんてさ。じゃっ」
そう言ってひらりと手を振ると、ゲルダは奥へと進んでいった。
俺は肩を落として大きく息を吐いた・・・なんか、どっと疲れが出てきた。何やってんだか、俺達・・・。
「あーもう、どうやら勝ち目もなさそうだし。もう諦めて帰ろーぜ」
最初っからこんな勝負なんてどうでも良かったんだが。つい漏れる愚痴。
「な~に勝手なこと言ってるのよ!海図が無いとレティスの所へ行けないでしょ!?」
ゼシカが目をつり上げ、腰に手を当てて言う。まぁ、そう言われればそうなんだが・・・。とはいえ、こうやることなすこと全て裏目に出ると気力も萎える。
「私はまだ諦めてないんだから!あなたにも来てもらうわよ!」
が、どうやらこの火の玉弾丸お嬢様はやる気十二分らしい。まったく、その気力はどこから沸いてくるんだか・・・。
「ほら、早く!」
ゼシカが俺の腕を掴むとぐいと引っ張る。おっと随分大胆なこった・・・よし。ちょっとからかってやるか。
「分かったよハニー。そんなに俺が必要だって言うならお供させてもらうぜ」
ニヤリとゼシカに笑いかけながら言った俺の言葉に、自分がどういう行動をしているのか分かったのだろう。ゼシカはぱっと手を離した。その表情が固まる。俺はそこから放たれる怒号に備える。だが、
「もう、それでいいわ・・・」
ゼシカはそう言って、くるりと踵を返した。そのまま歩き出す。
・・・なんだぁ?何考えてるんだ?
俺はすっかり拍子抜けしてしまった。てっきり「誰がハニーよ!誰が!」とか怒鳴られると思ったんだが。ゼシカの考えが全く読めない。何なんだよ、調子狂うな。
・・・っと、まずい。ここは魔物の巣窟だ。ゼシカ一人先に歩かせるわけにはいかない。
俺は急いでゼシカに追い着き横に並んだ。
アジトの最奥に到着した。だだっ広い石畳の部屋の奥に台座があり、その上に宝箱が一つぽつんと置かれている。
案の定、ゲルダが先に到着していて、宝箱の前で勝ち誇った笑みを浮かべている。
・・・俺は職業上、こういった気配には敏感で。いや、もう職業病と言った方がいいのかねぇ。やれやれと息を吐く。
宝箱の側から感じる気配・・・それは生に未練を持った死者の気配。それが一人の男の姿を成した。
「我が名はキャプテン・クロウ。かつて世界の海を又にかけし海賊の中の海賊・・・」
男の声にゲルダははっと身構える。
「我が財宝を狙う者よ。汝はそれを手にする資格があるか?」
クロウは剣をすらりと抜き放った。ゲルダの眼前に突き付ける。
「あると言うのなら、我と戦い、その力を示せ。無ければ早々に立ち去るがいい」
ゲルダは後ろに立っている俺達を一瞬だけチラリと見ると、クロウに向き直り、短剣を抜いた。
「ちっ、アタシはあんまり戦うのは得意じゃないんだけどね」
舌打ちしながらそう言い放ち、クロウに斬りかかった。とはいえ、力の差は歴然。ゲルダは徐々に押されていく。
その時、俺はクロウの変化にはたと気づいた。眉を潜める。
(・・・奴の気が高まってきている?)
そして、気の高まったクロウが放った技は。
(真空波!)
真空波をまともに喰らったゲルダは弾き飛ばされた。短剣が手から離れ、床に落ちる。ゲルダもまた、床に倒れ込んで、動かなくなった。
幸い俺達は離れていた為、真空波に巻き込まれることはなかったが・・・。
(なるほどね。そういう戦い方ですか)
気を最大限まで高めて、そこから放つ真空波で相手を仕留める。確かに威力はかなりのものだ。
近付いてゲルダの様子を確かめる。どうやら息はあるようだ。倒れた拍子に頭を打って気を失ったんだろう。切り傷の止血だけする。
・・・悪いな。もう少し眠っててくれ。
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