【歌舞伎鑑賞】#34 第九回 翔之會


第九回 翔之會

国立能楽堂
2024年8月12日(月・祝)
夜の部 16:00開演

二人三番叟
  監修:野村萬斎
舞踊振付:藤間勘十郎

 三番叟:中村鷹之資
 三番叟:野村裕基

   笛:竹市学
小鼓頭取:飯田清一
  脇鼓:曽和伊喜夫
  脇鼓:森貴史
  大鼓:亀井広忠

  後見:深田博治、中村修一


ー尺八・琵琶弾き語りー
長須与佳

・尺八独奏「繚悠の月」
 作曲 長須与佳

・琵琶独奏「醒」
 作曲 長須与佳

・琵琶弾き語り「扇の的」
 作詞 田中濤外
 作曲 長須与佳


案内人:葛西聖司


棒しばり
指導:尾上松緑

 杵屋巳之助 連中
  柏要二郎 連中
田中傳左衛門 社中

 次郎冠者:中村鷹之資
 太郎冠者:尾上左近
曽根松兵衛:中村錦之助

後見:尾上緑、尾上まつ虫

*・*・*

当方、能楽も歌舞伎も観る人間ですが、歌舞伎役者の自主公演というものを観るのは初めて。しかも、それを通い慣れた国立能楽堂で演るというのだから、今回はとても貴重で不思議な体験をさせて貰いました。

ちなみに鷹之資くんの自主公演(勉強会)ということで、この感想文は歌舞伎鑑賞の括りにはしてますが、内容は能楽ベースの二人三番叟に、尺八と琵琶演奏などバラエティに富んでおり、どちらかというと伝統芸能を観てきた、という感想に近いです。



二人三番叟

今回のお目当て。我が推し、野村萬斎師が企画した金沢公演の映像は観たが、実際の公演は拝見出来なかったので、生で二人三番叟を観るのは今回が初。

鷹之資くんと裕基くんの三番叟が都内で観れるだけでも嬉しいのに、番組を見たら一流のお囃子(てか、お囃子の推し💕)が揃っていたので、更にテンションが上がる(笑)

てか後見含め、舞台上には能楽サイドの人間しか居ない。三味線も無い。裕基くんにとっては完全ホームの状態なら、鷹之資くんにとってはアウェーな状態じゃないのか。だけど、敢えてそこへ一人挑んでいく彼の意気込みに、勉強会の意味を感じ感服する。

揚幕から鷹之資くんが摺り足で出てきた時、上半身がブレない美しさと凛としたオーラに思わず見惚れてしまった。少し遅れて裕基くんも出てくる。鷹之資くんを観た直後だと、狂言師の立ち方(ジグザグ立ち)って、やっぱ独特だなと改めて感じた。

裕基くんはいつも三番叟を舞う時と同じ、橋掛かりの所定の位置につき、鷹之資くんは翁が座る場所につき、そこから二人の三番叟が始まった。

狂言師の三番叟は踏む動作が多いので、三番叟を“舞う”ではなく、三番叟を“踏む”と良く言われてるのだが、まさにその通りで、力強く直線的な動きが特徴だ。一方、歌舞伎の三番叟は舞踊に近く、まさに“舞”だ。

一見バラバラで合わなそうに感じる、この剛と柔の対照的な舞のコントラストが観ていて妙に心地よかった。烏飛びや足拍子など、所々揃える部分はピッタリ揃っていたので、終始二人の呼吸が合っていたのだと思う。また、見慣れた裕基くんの三番叟には安心感を、見慣れてない歌舞伎の三番叟には新鮮さを感じていたので、その効果もあるかもしれない。

あと橋掛かりも使う事で、ホールと変わらない広さを保てていたことも印象的だった。2人とも広々と伸び伸びと舞っていたように思うし、客席が三方向にあることで、ホールの時よりも動き(演出)に立体感が出て良かったんじゃないかと思う。

他の方の感想を見ていても、脇正面、中正面席の観客からの満足度も高いように思えた。私も脇正面後方からの鑑賞だったが、死角はなく、二人三番叟の素晴らしさを充分に堪能することが出来た✨
観え方に不満がなかった辺りは、萬斎さんと藤間勘十郎さんの演出力によるものだろう。流石です!👏👏👏

(次頁に続く)