トニー
2024-07-30 19:33:22
1923文字
Public 感想・紹介
 

成化十四年(原作)の紹介と感想(ネタバレ配慮あり)

梦溪石先生著「成化十四年」の紹介と感想(ネタバレ配慮あり)

成化十四年を読了したので紹介と感想をば。


■ストーリー
成化十四年、唐泛(タン・ファン)は推官(裁判官)に任命される。
唐泛は持ち前の鋭い知性と話術で事件を解決に導き出世していく。

■キャラクター
唐泛(タン・ファン)
 科挙の成績が1位だったと噂される秀才。
 若く美しく優雅で賢く、それでいてフレンドリーなので皆に好かれるが、実は高い志を持っていて誰にも屈しない人物。
 鋭い知性と観察力、度胸と話術で様々な困難をくぐり抜ける。
 受け。

隋州(スイ・ジョウ)
 錦衣衛(秘密警察)に所属する強面の男。強い。
 唐泛の大親友となる。
 「寡黙」「誠実」「包容力」のような性格だが、案外茶目っ気があり、唐泛に想いを伝えた後はセクシーにからかったりする。
 攻め。

汪直(ワン・ジー)
 皇帝の寵愛を受ける万貴妃から引き立てられた宦官。
 20歳にも満たない若さで高官となり、特務機関「西廠」を設置した。
 横暴で傲慢だが能力は高い。後に唐泛と友情を築く。

■概要
明代を舞台にした1話完結型の推理小説であり、唐泛の波乱万丈の官僚人生を描いたお仕事小説であり歴史小説。
もだもだした恋愛模様は楽しいが恋愛は中心要素ではなく、あくまで唐泛の官僚人生を通した歴史小説。

恋愛小説ではない理由(ネタバレ)
なぜならもだもだした煮えきらない恋愛(未満)を散々見せつけた後にぷっつりそのパートは終わり、数年後のエピローグですでにセックスしている関係であることが明かされるからです。
当て馬も登場してこれからってとこだったのに!
こんな小説初めて見た・・・。^^;
まあ、そうでなかったとしても、二人は恋人というより親友の要素が強い描かれ方をしてますしね。



■感想
古代モノなのにすっっっごく読みやすくて、サクサク読めました!
文章も読みやすいですし、1話完結型の事件捜査をメインとしていて理解しやすいです。
それに、毎章次の章への引きもすごくて、ぶっ続けで読んでました。
最初の方は正直言って地味なんですが、小説としての安定感は抜群で、新聞の連載小説を読むような気持ちで読んでいました。
だんだんユーモアも出てくるし、色んな事件があるし、もだもだした恋愛模様も面白いですよ!
一応BLなのですが、単なる友人の汪直が攻めの隋州と同じ比重で描かれているのも珍しくて面白いです。
汪直はどうやら実在の人物みたいですね。
成化十四年は恋愛小説というより歴史小説なので、そのせいもあって彼が目立っているのかも。

ただし、最後の方の事件が駆け足なのと少し盛り上がりに欠けたのがちょっと残念でした。
まあこれ、无双と比較してしまっているせいでもありますが。(无双は傑作です)
読みやすさで言えば成化十四年の方が上かなと思いますが、胸に迫る感動やメインストーリーの力強さは无双の方が大分上でした。
无双のほうが数年後に書かれているので、梦溪石先生の経験値がその分アップしているんだと思います。

いやーでも、隋州が意外とセクシーなので、恋愛に比重が置かれてないのがもったいなかったなあ。
悪い男の素質があるよ隋州。
唐泛は唐泛で鈍感で逃げ回ってるくせに、いざ迫られたら「どうしたらいいかわからない」って顔して真っ赤になりつつ抵抗しないのが色っぽいし。
恋愛に対するアプローチは千秋の二人にちょっと似てます。
唐泛は沈嶠と違って口がうまいし、晏無師と隋州は性格そのものはぜんっぜん違うけどw


以下、ネタバレです。
ネタバレ感想(ラストらへんのぼやきとか)
隋州と陆灵溪が唐泛を取り合って激突するのかな?と楽しみにしてたらそんなことなく駆け足で事件が終わっちゃって、次の章に行ったら数年経っててびっくりしました。
読者の知らないところでハチャメチャに出世するわ、恋愛が進展してるわ・・・(汗)

ラスト近くの話はもっと膨らまそうと思ってプロットを用意していたけど、書いてるうちに気が変わったのか、書いたけど削除したのかな?っていう感じがしました。
梦溪石先生って必要のないキャラクター描写はしないので、今までの陆灵溪関連の仕込みはなんだったんじゃい?と。
それまでが全て小説のルールをきれいに守って書かれてて、すごく気持ちよかっただけに残念でした。
もしかすると、歴史小説じゃなくて恋愛小説になっちゃうとかコメディ寄りになりすぎちゃうから方針転換したのかなあ。

まあでも、エピローグで一応の決着はあったし、気になっていた阿冬の結婚問題とかも書いてくれたのでよかったです。
汪直は元寇討伐で死ぬだろうと思ってたら死ななかったw
良かったけどw