compound_dashi
2022-05-22 11:33:36
3184文字
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偏光

日曜朝の悪の組織の幹部な典ソハ。典視点、双子設定。

 気を失っている間に夢を見た。この組織に入るより前、故郷にいた頃の記憶。
『双子とは目出度い、丁重にお育てせねば』
『あんな力……見たことない。あれでは最早、呪い──』
『今年も災いは訪れなかった! なんと素晴らしい御力!』
『聞いた? あの二人、兄弟同士で……
『あのくら、すっごいかみさまがいるんだよね!』
『絶対にあいつらを外に出すな!』
 ……今思い出しても吐き気がする。俺達二人を神と崇める者もいれば、忌み子と蔑む者もいた。
そしてどちらも、俺達を人として扱うことはなかった。人らしく生きるのも惨めに死ぬのも許されなかった。
……疲れるよな、兄弟」
 揃いの装束を着せられ隣に座る兄弟は、今にも崩れそうな幼い笑みを浮かべていた。

 十四歳を迎えてしばらく経った頃。故郷が滅ぼされ蔵から引きずり出されたあの日、心の底から安堵したのを覚えている。
 他の何かに救われるのなら俺達は神ではなく人なのだと、そう信じていられる理由を俺達は手に入れたのだ。
 俺達が人かどうかは今でも確証がないし、組織の思惑もそう高尚なものではなかったかもしれない。しかしそんなことは気にもならなかった。救ってくれた分の恩を返せばいいだけなのだから。