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君とワルツを 4

幼いヒースクリフと触れ合う囚人たち。
メインストーリー6章の内容を含みますのでご注意ください。

 
 
 
  イサンの記録
 
 
 
 今、私の目の前に小さきヒースクリフ君とロジオン嬢が睦まじく会話せり。
 いと微笑ましき光景なり。みそかに聞き耳を立てつつ、以下に私の見解含め、記しゆく。

 ヒースクリフ君の邸宅に起こりし騒動のおほかたは覚えたり。
 なればこそ疑問ありき。何故、彼は『ワザリング・ハイツ』に帰らばやと言ひけむ。

 されど、そのよし分かれり。ヒースクリフ君には会はまほしき人ありけり。
 名をキャサリンといふ。

 小さきヒースクリフ君はキャサリン嬢に呼ばれたりと言へり。
 されど『ワザリング・ハイツ』の主に追い出され、二度と屋敷へ戻るべからねばと言う。
 さりとて彼は邸宅へ戻るつもりのごとし。
 それが叶はずとも、せめて己の口より別れを告げまほしき、といふことならむや。

 いとほしけれど、そは叶はじ。この現象はあくまでかりそめなるものならむ。
 このヒースクリフ君は、あくまで彼の思い出を模倣せる何かに過ぎず。私はそう思ひなせり。

 すると別の疑ひいできたり。キャサリンとは誰ならむや?
 『ワザリング・ハイツ』にキャサリンといふ名の令嬢なぞあらねばなり。
 もとより我々と会ひしためしもあらずべし。ほんの数日前、『ワザリング・ハイツ』に赴きしばかりの我々が。

 ……思えば、何故彼は身なりを整へむと躍起になれりや。
 我々がU社の巣——海上にて中指の者と相対し、死にかけしは何故なりや。

 知るべしと思ふ。けれど、そこに求めしものなどないとも思ふ。
 あやしき感覚なり。
 
 報告は以上なり。