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君とワルツを 3

幼いヒースクリフをケアする囚人たち。
メインストーリー6章の内容を含みますのでご注意ください。


 
 
 
  シンクレアの記録



 まさか僕の番が回ってくるなんて考えもしませんでした。けど小さなヒースクリフさんと接していて、僕なりに思うことがあったので……書いてみようと思ったんです。役立てるための記録とは思わないでください……

 実のところ、あの時のヒースクリフさんの悲鳴は廊下まで聞こえていました。何を言っていたのかまでは分かりませんでしたが……僕たちは丁度スープの支度が終わって休憩室へ向かう途中だったんです。その瞬間、ウーティスさんが休憩室のドアまで駆け出して――向かい側から歩いてきたイサンさんとはその時に合流しました。

 ベッドの上で蹲って震えてるヒースクリフさんを見て、もちろん驚きはしましたが……なんていうか、僕の知るヒースクリフさんの印象を全く違うものへと書き換えられたような心地がしました。それがものすごくショックで……すみません。僕、あまり気の利いたことが言えてなかったと思います。
 それと……少し意外だったのはウーティスさんの様子でしょうか。僕はてっきり、ヒースクリフさんを世話するのはウーティスさんなのだと思い込んでいました。

 少し話を戻しますね。ダンテさんもご存知の通り、僕には下の兄弟がいません。だから……昔、母や姉に看病してもらったときのことを思い出していました。それで感傷に浸っていたら、ヒースクリフさんが僕の顔を覗き込んできたんです。どうしたんですか? って訊いたらヒースクリフさんは首を振って悲しそうに言ったんです。その……僕のように、自分も金色の髪がよかったのだ――と。
 どうして? と尋ねたら、王子様の髪は金色だからと言うんです。僕は返答に困ってしまって、何も言うことができませんでした。けどそれと同時に……僕があの場において、彼に慰めの言葉をかける権利もなかったと思います。彼の生まれ持ったものと僕の生まれ持ったものが違っただけだとしても、それが決して欲すれど手に入らないものなのだとすれば、慰めることはむしろ亀裂を生んでしまいます。

 それに、僕は……抑えつけられた自尊心が自分自身を捻じ曲げて見せることを知っています。ヒースクリフさんのコンプレックスが容姿にまで及んでいることは、僕もなんとなく気付いていました。憎むべき相手と再会するためだけに、わざわざ着飾る理由なんてそう多くはないはずですから。

 それから、そのコンプレックスを抱いた相手にも察しがついています。自分よりも優れているように見える人物で、自分にはないものを持っていて……王子様のような金髪を? 金銭的な豊かさや力じゃなくて……
 ……すみません、きっと僕はおかしなことを書いていますね。

 ……天気がよくないせいでしょうか。明るい話題にはなりませんでした。
 けど、少しだけ嬉しかったのは……僕に弟ができたような気分になれたことです。彼と接していると、普段のヒースクリフさんには決して向けることのないような不思議な気持ちがします。ネリーさんがヒースクリフさんを愛らしいと言ったわけが、なんとなく分かりました。