MN*B
2024-06-20 21:57:55
4271文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

探りか指導か休日か。【裏】

この小説は【蠱毒な夢術廻戦】シリーズの番外編です。
同じ番外編の『探りか指導か休日か。 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14973758 』の冒頭に入れそこなった部分になります。
結局番外編でしかないので、こんな雰囲気の会話が裏側であってたよーくらいのもんです。
もったいないんで勢いであげます。

表紙は、かんたん表紙メーカー様からお借りしました。



#オリ主 #夢術廻戦
2021年4月2日 23:33



 夜蛾学長のところからの帰り際、歩きながら悟は独り言のように話しかけてくる。

「衛は鏡に近いよね。相手が関わらないように接してくれば、そうするし。相手が会話してくる気があるなら、それに応える」

まぁ鏡っていうには返ってくるものが少なめだけどと、付け加えられた言葉に、確かにな。とそれとなく同意する。
悟くらい大袈裟に関わっていけば、彼から返ってくるものも人並みになるのだろうか。

「硝子が仲良くなれてなかったのって、それは硝子がそうだったんじゃない~?」

そんなふざけた態度で絡まれる。
彼を横目で見て、また視線を前に戻した。

否定はできないな。ある程度の関わりは持ったつもりだったが私たちは、いざとなったら"対処"しなければならない側だろう。情は持ち込めない」

しかし入学するまでの間、何も問題はなく彼自身が安定していて、無害なのがほぼ確定した。
彼の人間らしいところに触れて、気が緩んだのもあるか。

「それを言えば、お前の影響で彼も人間らしくなったんじゃないか。人もろとも死のうとしてたのに牛鬼の件じゃ、子どもをかばうまでしたんだろう?」

「えっ?衛が子どもをかばうって行動とれるようになったの、僕の影響じゃないよ」

いや全くないとは思わないというかあって欲しいけど?と、何やら言い出す。
それを無視して、私は話を続けた。

「じゃあなんの影響だ?」

それを受けて悟は、たぶんだけどさと、前置きを言って喋りだす。

「母親の影響だと思う。愛された記憶と、名前のおかげかなって」

私は黙って、先を促した。

「ちゃんとした家庭で育てられてるんだしその記憶があるなら、それに準ずるんじゃないかな」

「んー。言うなれば、子どもは守るべきものだっていう意識は、元からあったんじゃない?常識を知らないワケじゃないからさ」

常識であって、良識ではない。そうするのが当たり前だからその通りにする、そういう認識か。

「それはわかるけど名前のおかげとは?」

「守るって言葉にも種類があるでしょ。『衛』は、何かを守る側って意味合いが強いよね」

彼はそれを意識した行動になった、と。そう言いたいの?」

考えすぎじゃないか?
私がそんな言葉をこぼして彼のほうを見れば、少なからず影響ありそうだけどな~と返ってくる。

「名は体を表すともいうし、在り方を示されたともいえると思うんだけど。それに、彼の成り立ちとしても、その傾向は含まれる可能性はない?」

解離性によって生まれた副人格。
精神を守るために、記憶と意識を分ける。それにより生まれた、別の精神。
ほかの人格を守るために生まれたのに、その対象がいなくなったのならヤケにもなるのだろうか。彼が死を恐れないのも、その辺りに関係するのかもしれない。

「可能性はあるな。守る対象が自分の内側から、外側へ向かったのかもしれない」

「彼の母親も無意識なのかな。元が産まれる前に考えられた案とはいえそれにしたって、知れずに呪いをかけてそうなんだ」

これで呪術師の家系じゃなかったら逆にビックリだね。と、軽く話す悟。
この場合の呪いとは、呪力云々の話ではなく、『まじない』という意味合いか。
だが、それだと不安が残るな。

『衛』が、守る側の意味合いならば彼は、彼自身を守る気があるのか。