MN*B
2024-06-20 21:57:55
4271文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

探りか指導か休日か。【裏】

この小説は【蠱毒な夢術廻戦】シリーズの番外編です。
同じ番外編の『探りか指導か休日か。 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14973758 』の冒頭に入れそこなった部分になります。
結局番外編でしかないので、こんな雰囲気の会話が裏側であってたよーくらいのもんです。
もったいないんで勢いであげます。

表紙は、かんたん表紙メーカー様からお借りしました。



#オリ主 #夢術廻戦
2021年4月2日 23:33



「夜蛾学長〜、もうそろそろいいんじゃないですかー?」

もう一人の一年もやっと入学するしとこぼす悟。
それを無視して、人形をチクチク製作している夜蛾学長。

「バレるのも時間の問題でしょ。ってかそうなっても大丈夫になるまで待ってたもんじゃん」

うちの生徒に上へ告げ口するような子いないですって~。と、気軽に話す彼。


 夜蛾学長のところを訪ねたら、悟がウザ絡みしているところに出くわしてしまった。
素知らぬフリをして踵を返そうとすれば、その前に、あっ!硝子お疲れー。と声をかけられてしまう。
私はため息をついて話に混ざることになった。


 青嶺衛。彼は呪いに成りかけの身だが、彼自身は無害な存在だ。
彼について何も知らないころにそのことを伝えられるのと、知ってから伝えられるの関わり方接し方が確実に変わっただろう。
彼と関わる人間が増えれば、事情を隠し通すのも難しい。だが彼は人と関わるべきだった。それによって、彼の味方が増えるのも想定の内か。


「悟時期を早める気だろう。それも任務に関して勝手に組み替えたりして、わざわざ関わり合いを増やしたな

呆れた様子の学長。
彼の事情を明かすタイミングは、京都の姉妹校との交流会前の予定だ。
今年は、東京側は一年と二年での参加になりそうだから、その辺りが妥当だとみたはず。
それなのに悟は、勝手に何かしら画策していたようだ

「いやー良い子たちばっかりだ!後輩のこと気にかけてくれて、先生嬉しいなー」

白々しい
悟を白けた目で見たあと、結局ため息をつくだけで話を流すことにする。

早める気だったのはわかった。でも、またなぜこの状況で?」

私が悟に向かって尋ねれば、彼が答える前に夜蛾学長が口を開いた。

「虎杖悠仁両面宿儺の器、か。それは事が重大すぎて隠すことは不可能だったがこのことがあって、青嶺衛の開示も早めてもいいと思ってるんだろう」

「その通りですよ。悠仁が受け入れられるのであれば、衛くらい大丈夫でしょ」

図らずも、事の重大さが上回るものがやってきたというわけか。
危険度でいえば、明らかに両面宿儺のほうが上。
今のところの青嶺衛は、その気配を抑えることができているし、死にさえしなければ状況が悪化することもないだろう。むしろその場合の時のことを考えればというのは、さすがに酷か。

悟の言い分も納得できます。と、私は話しながら頷いた。
夜蛾学長は考えるように黙ったまま。しばらくしてやっと口を開いた。

「周りへ話すタイミングは任意にする。だが、できることなら青嶺衛本人の口から話させたほうがいい」

私は意図を尋ねる意味で、夜蛾学長のほうを黙ったまま見つめた。

彼が自分自身のことを、どう認識しているか。改めて確認することにも繋がるそれに、彼は意外と警戒心が強いだろう」

周りへの開示を無理強いするなと、夜蛾学長は話す。

自己認識の確認。確かに必要かもしれない。
やっと自分のことについて情報を集め始めた段階だが、それを知って心境が変化してもおかしくはない。
だが、警戒心?
同じように疑問を持ったのだろう悟が、首を傾げている。

「衛ってそんなピリピリしてます?まぁ初対面だとそんな感じでしたけど

「夜蛾学長へは、面接のせいでそうなってるんじゃないですか?」

私の言葉に、学長はグッと痛いところを突かれたような反応をした。
それもあるかもしれないがと、学長は苦々しげに前置きをして話す。

「こちらをずっと見てくるだろう警戒の意思があるからじゃないのか

「あー僕も目隠ししてるのに見てくるんで、癖か素直な子どもみたいなもんだと思ってました」

人の目を見て話しなさいってヤツかなって。と、悟は言うが立ってたら見上げるのも苦労する高さだろ、お前の顔。

「リーディングじゃないですか?心理学的な」

相手を観察することで情報を得る技術。だからまず、わかりやすい顔を見てくるのではないかと思っていた。
無意識に人を知ろうとしてる動きかとと呟けば、意見が分かれるなと学長はこぼした。

「でも人を知ろうとする動きにしちゃ、質問とかしてこないし踏み込んだ話はしなくない?」

それこそ、自分が踏み込まれたくないからじゃないのか」

そういう線引きだろうと、夜蛾学長は冷静に話す。

「しかも、彼の元の事情も事情だ。この歳になるまで、本当に呪術や呪いに関わっていなかったのか隠している可能性もある」

「えぇ?忘れてるのほうがあり得そうですけど」

隠し事とかできるタイプかなぁと、悟は不思議そうに呟く。
それに対して私は少し考えて、意見を言う。

思い出しても話す気がない場合はあるかもな。彼、聞かれないと話さないだろう?」

「あーその傾向はあるね。逆に、聞けば答えてくれると思う」

「彼が今まで非呪術師として生きてきたのにも、何か明確な理由があるはずだ。術式にも関わる事柄だろう。できれば探っておきたいところだができるか?」

夜蛾学長はそう言ってこちらを見てくる。学長の言うことは、尤もな話ではある。
今まで彼のカルテなどから推測こそすれど、直接尋ねることはしていない。それこそ、推測できる事情が事情だからな
私はカウンセラーではないし、そもそも彼がそこまで自分のことを話してくれるだろうか。

「難しいのでは?さすがにそれには、話す相手との信頼関係が必要だと思いますよ。そこまでの関係性を築けているといえる人物なら、まぁ

いけるかもと考えるが、それに値する人間がね
私は横目で、その可能性が一番高いであろう人物を見た。

「僕のほうから探ってみますよ、それとなく。忘れてても、話してれば思い出すこともあるだろうし

でもタイミングがなぁと呟いた悟は、困ったように頭を掻いた。
それを見た学長は一つ頷いて、私のほうに視線を戻した。

「それで硝子。彼の状態はどうだった?」

夜蛾学長に尋ねられて、本来の用事を思い出した。
そういえばその話をしに来たのだったと思いながら、私は口を開く。

「何も問題ありませんでした。呪符の消耗具合も想定内で……