MN*B
2024-06-20 01:37:38
12813文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

人生一年生、考察される。

シリーズ中第10話になります。
注意書きは1ページ目、もしくはシリーズ概要の方にあります。
このシリーズの閲覧、ブックマーク、いいね。…いつもありがとうございます。
先に言っておくと、4ページが特にシリアス…っていうか、オリキャラモブが出張ってる感じです。一応読まなくても通じると思うので、ジャンプ設置してみました。
今回重めの考察回です。
というか、青嶺はこういう風に見られてますよっていう説明回ですね。
青嶺が知らないこともあるし、逆に五条先生たちが知らないこともあるっていう…お互いの視点の違いがもちろんありますので…。
次回は、説明半分、ギャグ半分って感じの短い話になります。
おかしい…1話だったのが、2話に分割されたのに、結局3話になりました。
文章量えげつな…書いてる側としても削りたいんですが…まだまだ未熟ということですかね。
書いてる側としても面白いか?って感じの流れなので、バンバン続きあげたいところです。
そして序章と同じく6話で納める予定が、全8話になりそうです。
…まぁここが終われば原作時系列入りますし……。
原作軸に突入する前に、オリ主の説明はほとんど終わらせといたほうが、流れがスムーズになるはず…と思って、こんなことになってます。
もちろん伏線を張ってる意味合いもありますが…。
…ちなみにTOでラブるは漫画です。
 



#オリ主 #五条悟 #夢術廻戦 #家入硝子
2021年2月16日 23:46



「それは誰が悪いわけでもないな」

硝子は資料だけではわからなかった部分を知り、そう零した。

 誰かが悪いわけじゃない。
呪術師の素質を持って生まれたのだって、誰にもどうすることもできないことだ。

母親はすぐに母親になれるわけでもないし、ただの人間だ。
子どもだって、自分のことを上手く表現できず、言葉足らずだっただけだ。

 今だって、きっとそうなんだろう。
彼はほとんど自分のことを語らない。
話し出すときには、深く息を吐く。緊張の現れだろう。
人に心の内を話すことや、自分の事情を話すことに緊張を覚え、内容を整えててから言葉にする。

「衛はさ、自分の心を表に出すのが苦手なんだろうね。だから黙ったままでいることが多いんじゃないかな」

過去のことを聞くにしたって、まず彼が自分のことを表に出せるようにならなければきっと無理な話だ。

確かにな。と頷いた硝子は続けて話す。

「それに、他人への関心も薄い。人と関わる他人を知ることを、極力避けているな」

その言葉に僕は、ん?と首を傾げた。

「というか、相手に気を遣うタイプだよね、彼。配慮しすぎて黙っちゃうみたいだけど」

そうなのか?と硝子は不思議そうな顔をする。
そうだよ。と僕は肯定して、具体例を話す。

「そこ気になって質問するでしょ!ってとこで、彼は黙るんだ。僕の目隠しのことだって、僕が話題にするまで口にしなかったんだよ?」

いや~あのときの彼の反応も面白かったな~と、思い出すついでに、硝子にもそのときのことや、彼をからかったときのことなどを話した。
話し終わったときに、なんとも言えない顔をする硝子がいて、僕はまた首を傾げた。


 彼女は仕切り直すように、それにしてもと、口にする。

「名前の由来はわかるがなぜ彼は『青嶺』と名乗るんだ?」

硝子は不可解そうに話す。

「本名とは苗字も名前も被らない経歴を誤魔化すにはちょうどいいが、母親の旧姓を自ら名乗る理由がわからない」

 彼のカルテや情報を見る限り、家庭環境に問題がなさそうに見えていたし母親との関係性を聞いた今でも、だからと言ってその苗字を名乗るわけがわからないのだろう。
 父親は単身赴任がちだが家に帰らないわけではなく、母親も働いているが愛情を注げないほど忙しいわけではない。
兄が一人いて、実家を出て一人暮らし中長期休暇に入れば帰ってくる。
『青嶺』の家に一家が住んでいるのは、ほかに管理できる親戚がいないからだ。
 絵に描いたような、問題のなさそうな家庭。
それが彼を追い詰めているのかもしれなくて人から言われずとも、名前をすべて元から変えて名乗る理由なのかもしれなかった。

そうだとしても僕としては、それに対してそこまでの危機感を持っていなかった。

「彼たぶんあの町に住んでいる人に対しては、通じやすい名前を名乗っていたから、それの名残じゃないかな」

子どもに対して名乗るときも、言葉に少し詰まっていた。
それはおそらく、名前を名乗ることに慣れていないだけでなく、そのまま言ってもあの町では認知度が低いからだったんだろう。

「田舎だとさ、結婚した親の苗字を名乗るより、祖父の代の苗字を名乗った方が話が早いからね」

それに、彼が水神様と呼んでいた存在を埋めたのは『青嶺』だ。
その存在を忘れてしまっていた戒めとして、そう名乗るように決めたのかもしれない。

 硝子は、そういうものか。と一応の納得をみせて、そのあと思い出したように、また質問をする。

「母親が言っていた、幼児退行の心当たりっていうのは?」

それに思わず脱力しながら答える。

「話の流れ的に、さすがの僕もそこまでは聞けてないよ。それに結局、理由を知ってるのは本人それも忘れてるかもしれないし」

僕がデリカシーのない人間だって思ってない?と付け加えると、その通りだろ。と冷たく返される。


 そして今度は、僕が思い出したことを聞く番だった。

「そういえば、棘に呪言は使わせた?衛に対して」

その言葉に対して、硝子はぎょっとしながら返事をする。

「使わせるわけないだろ。何が起こるか予想できない、危険すぎる」

ま、そうだよね」

日常会話でも、その呪言が発動してしまう可能性がないよう、棘は語彙を害のない単語だけで話すようにしている。
意図を汲み取って、予想して話すならともかく単語にこめられた意図がそのまま聞こえるのは、耳が良いでは済まされない。

呪言師である棘の言葉は、どんなものでも微量ながら呪力が乗っている可能性は否定できないが
呪言として発動しない量の呪力と単語。そこから棘の言いたいことを聞き取っているのか。
衛が審神者の血筋ならありえなくもない現象か?


 僕は手に持っていた資料を机に滑らせる。
そして頭の後ろに手をやった。

「うーんわかんないことは仕方ない。今、衛は何やってんの?」

僕が軽く聞くと、硝子も軽く返してくる。

「学長の呪骸と特訓中。この間真希にシゴかれてから、あの呪具を扱えるよう頑張ってるみたいだな」

「何それ、僕聞いてないよ」

僕が任務へ行ったり、地道に情報を集めようとしている間に、いろいろと知らないことが起こっているようだ。
硝子は、誰からか話を聞いているかと思ったがと、意外そうな顔をした。

「青嶺は基本的に、人の言うことを聞くイイ子だろ。それが、初めてサボリなんてやった出来事があって」

その言葉が信じられなくて、眉をひそめた。
一応の報告では毎日毎日くっそつまんない、決まったことを繰り返すだけの日々。それを何も言わずに淡々とこなしていると聞いている。
そんな彼がスケジュールを外れるようなことをしたのか。
しかも、根が真面目な彼がサボリ?

「あのスケジュールにちゃ~んと従うっていう衛が?何があったの」

「真希が武器構えて、組手っていうか立ち合いみたいなことやりだしたんだって。そしたら青嶺が逃げ出して、医務室にも帰ってこなかったんだよ」

硝子はそこで一旦間を空けてから、少し心配そうな声色で話す。

「相当ストレスがかかったんだろうな。いつ呪具が出ててもおかしくない状態で、対人戦なんてしかも、バレちゃいけないっていう負い目もある」

それを聞いても、僕の疑問は晴れなかった。
彼の嫌がりそうなことではあるが逃げ出すというのはらしくないような気がする。
しかもそのあと、姿を晦ますなんて。まるで手負いの獣だ。

「怪我はなかった?」

「お互いともなかったよ。真希の攻撃を初見で躱してたってパンダが言ってた彼も反撃らしいことは、真希の武具を逸らしたときくらいしかやってないそうだ」

「そう

考えすぎだろうか僕も彼と長らく会っていないし、その間に何か変化するのもおかしい話ではない。

硝子は納得していない僕に対し、逃げた理由はそれだけじゃないかもしれないなと、口を開いた。

「彼のことは真希が連れて帰ってきたんだけどそのときに少し話をしたらしいんだが、やっぱり彼危なかっしいところがある」

危なっかしいのは元からじゃ?と僕が返すと、それはそうだけどと硝子は少し口ごもる。

「死ぬのが怖くないって言ってたんだと。でも明らかに何かを恐れてる、そんな感じらしい。そこにも逃げた理由があるかもな」

私のことは怖くないって言う割にビビってたって、真希が話してたよと、硝子は付け加えた。

死に対して思うところがなさそうなのは、僕も察していた。
好き好んで殺されたいとは思わないがとは、彼が言いかけていた言葉だ。
僕がそれを遮って話を続けたことで、先は聞けていない。けれど、その裏側とその先はわかりきっていた。
夜蛾学長もそこを警戒して、彼をわざわざ人の目の届く場所に置いていたのだ。
だけど、そんな彼が恐れるものとは一体


 硝子は黙って考えている僕を見て、確認するように尋ねてくる。

「彼、寮暮らしで本当に大丈夫か?しかも男子寮で」

「言いたいことはわかるけどでも今さら入寮させないわけにもいかない。部屋の仕掛けもバッチリだし、念のため周りの部屋は空室だし」

 彼がこの2か月と少しを過ごしていた救護室には、簡易的だが特殊な結界が張ってある。
衛が起床する前、その身から呪いの気配が発生するため、その気配を遮断するためのものだ。
実際のところ、朝目覚めるたびに呪いの気配を振りまいていたら、そういう術式だと通達でもしない限り寮内で騒ぎになる。
そうならないための仕掛けを、彼が住む予定の部屋に施していたというわけで。
 正式な学生じゃないからまだ寮には入れられないとか、事情のことでどうとか言っていたのを、彼は信じて救護室で暮らしていた。
実は彼の監視と、その仕掛けの時間取りのためだったわけだが。

硝子は二の足を踏むように、腕を組んで指でリズムを刻んだ。
いろいろと思うところがあるのだろう硝子は僕よりも彼と接している時間が長くなっているだろうし。
 彼に関してまだ不安が残ってますって態度の彼女に、僕は片手をヒラヒラと振りながら、どうしようもないことを告げる。

「彼を女子寮に入れるわけにもいかないでしょ。現状男の子だしこの数か月の間、身体が元に戻る様子もなかったんだよね?」

「ああ。彼自身も男として振舞ってる本人がいいならいいか」

そう話すと、硝子も迷っていたわりにはあっさりと意見を引っこめた。
僕らとしては男としての彼しか見たことないしね。


 話はこれで終わりだろうと、僕は伸びをしながら椅子から立ち上がる。
最初にまき散らした書類をほっぽりだして、彼の下へ向かうことに決めた。

片付けろよ。という声を無視して、僕はふと思いついたことを喋った。

「戻っちゃったら戻っちゃったで、恵とTOラブっちゃったりで面白そうじゃない!?恵って一昔前のラノベ主人公っぽいし!」

「ひっぱたかれるぞ」