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MN*B
2024-06-20 01:26:01
13571文字
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蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
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人生一年生、先輩たちと出会う。
シリーズ中第9話になります。
注意書きは1ページ目、もしくはシリーズ概要の方にあります。
このシリーズの閲覧、ブックマーク、いいね…いつもどうもありがとうございます。
今回4パートあるので少し長めです。
閑話が続くと言いながら、文章量が徐々に戻っていっていますね…。
本誌に乙骨が登場していらっしゃるようですが…この話の時系列的には、0巻から2か月経ったか経ってないくらいの時期なので、0巻終わりに近い性格の乙骨として描いてます。
あと、狗巻先輩の言動の表現?方法は、どこかで見たことあるようなないような…って感じがしますが、長々と台詞を追加して書いたり、口調の模造は難しいと思い、この形にしました。二文字縛りなのはたまたまです。
次回は主人公不在のターンになります。
ここからまた話のトーンが激重になる予定です。…今回もまぁまぁ重かったといえばそうですね。
もうほとんど内容は書いてしまっているのですが、矛盾と設定ミスないかの確認とか、話重すぎだろ…など試行錯誤を繰り返しているので、上げるのを迷っている状態です。
実は今回の話も一旦休憩入れている頃に、大まかにですが書き上げてました。
没になったシーンが多いのが、次とその次の話になります。…元々同じ話にしようとして、長くなり過ぎたので分けて書いてるんですけど、たぶんどっちも1万字いきますね。
暗い重い長いの三重苦になります。最悪一気に3話投稿して、途中読まなくてもある程度大丈夫…くらいにしようかと思ってます。
一気投稿だと期間が開きます。一話ずつなら3日ごとって感じです。
#オリ主 #夢術廻戦 #家入硝子 #乙骨憂太 #禪院真希 #パンダ(呪術廻戦) #狗巻棘
2021年2月13日 22:30
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禪院 真希の場合
俺は、ただただひたすら、運動場を走っていた。
短距離ではなく長距離で、体力の限界をある程度把握するためのものだ。
…
最初よりはマシになったが、未だに俺は、走るときの踏み出しが速すぎるとコケそうになる。
始めてから何周したかは数えていないが、もうすぐ1時間は走っていることになるだろう。
…
正直、体力より飽きが限界だ。
風景は変わらないし、俺以外誰もいない。
疲れたら休んでいいとも言われてるが、疲れているのかも微妙だ。
イマイチ休むタイミングがわからないまま、走り続けている。
無心で走っていると、視界に見慣れない人が映った。
制服を着て、何か細長い荷物を持っている。そしてその隣にはパンダ。
…
パンダ!?
一定を保っていた速度が落ちて、歩きになる。
人の方はともかく、パンダが気になって仕方ない。
着ぐるみか?二足歩行だし
…
。
思わず立ち止まって見ていると、パンダが一緒に行動している人をつついた。
そして、二人?でこちらに向かってくる。
長い髪を上の方でくくった女性と、デカいパンダ。それが俺の目の前までやってきた。
「おいお前、もしかして来年入学するやつか?」
彼女は威圧を与えるような態度と口調で、俺に話しかけてくる。
「
…
その予定、です」
俺の返事を聞いた彼女は、パンダの方を向いて喋り始める。
「こいつがあのバカが言ってた、憂太に似てるってやつかよ。どこがだ?」
「まぁ憂太は第一印象が激ヤバだったからな、それに比べると普通。っていうか一般人」
…
!?
パンダが喋った
…
?
着ぐるみにしては本物っぽいが
…
でもパンダは話さないよな、普通
…
。
二人は当たり前のように会話しているので、それが当然のように見えてしまう。
戸惑う俺を置いてけぼりに、彼女は自己紹介をしてくれる。
「私は真希。苗字は聞くな、それで呼んだら殺す」
物騒。知らないのに呼べないだろ
…
。
彼女は続けて、パンダを指差して紹介する。
「で、こっちはパンダ。私らは今一年だが、お前の先輩になるな」
「よろしくな」
朗らか?に、手をあげて挨拶をしてくれるパンダ
…
先輩?
…
なんか聞いてもさらに混乱しそうだから、質問はせずに俺は挨拶を返した。
「よろしく、お願いします。俺は青嶺衛
…
です」
「それで、お前今何やってたんだ?鍛錬か?」
「まぁ
…
持久走的な」
それを聞いたマキ先輩は、眼鏡の奥の目を細めた。
「一人で?
…
呪術師も人員足りてないんだから、実戦に放り込んだ方がはえーだろ」
「そう言うなって。なんかワケ有りなんだろうし
…
すぐに戦えるような人間ばっかりじゃないだろ」
パンダ先輩はマキ先輩を宥めると、俺へ補足するように話をしてくれる。
「すまんな。悟が話してたんだよ、憂太
…
あ、知ってる?あいつに似てるって。それで、どんなやつか一年の間で話題になってて」
五条さん
…
!!
あの人のせいで、なんかめっちゃ俺のこと話題になってる
…
。
というか、それでなんで話題になるんだ?
…
たぶん見た目の話じゃないだろうし。
「あの
…
乙骨先輩に似てるとなんかあるんスか?」
「なんかあるっていうか
…
なぁ?」
パンダ先輩は、意味ありげにマキ先輩の方を向いた。
「憂太は特級呪術師だ。それと似てるって言われたら、どんな強いやつかと思うだろ」
そういえば、呪術師と呪霊には階級があって、それの一番上が特級だったか。
基礎知識を勉強してるときに、五条さんもそれだって家入さんから聞いたな
…
。
…
え、乙骨先輩ってそんなすごい人だったのか。
強さの尺度は置いておいて、彼から聞いたことを踏まえて誤解を解く。
「俺、強くないっス。
…
雰囲気が似てるって話らしいし」
「雰囲気?
…
あいつは善人面してたけど
…
お前はイジメられそうになったら、ゴミを見る目で相手を見るタイプだろ」
俺って、初対面でそんな感想持たれる顔してる?
…
よくわからなくて、眉を寄せた。
「真希~
…
言いたいことはわかるけど、その表現はどうなんだ?」
わかるのか。
どういうことか俺にはサッパリわかんねぇ
…
あ、目つき悪いってことか
…
。
俺がちょっとだけショックを受けている間に、ここにいない五条さんへ流れ弾が飛ぶ。
「あのバカ。目を隠し過ぎて、視力悪くなったんじゃねーか?
……
時間もあるし、確かめてみるか」
そう言うと、マキ先輩は荷物を肩から下ろして、中身を取り出し始める。
「えぇ
…
やめとけって。怒られるぞ」
「いいだろ、別に。先輩から後輩へのシゴキってやつだ
…
走ってるだけよりマシだろ」
俺の目の前に突き出されるのは、布が巻かれた状態の
…
おそらく刃物。
薙刀のような形状のそれを、マキ先輩は構えている。
「殺す気でやるから、死ぬ気で避けろよ」
殺気。
布が巻かれた状態でも感じる、鋼特有の寒気を、俺は間一髪で避ける。
それに遅れて、風を切る音が耳に入る
…
当たってたら骨が折れる速度だ
…
!
「ッ!」
喋る余裕もないまま、次々と薙ぎや突きが、俺に向かってくる。
学長の呪骸よりずっと速い
…
というより、技術的なものが高いのか。
彼女が繰り出すのは、戦いに慣れてる人間の動き。
「お~、真希の攻撃を避けるとはな」
「避けるだけかぁ!?」
その言葉に、手が反応しそうになる
…
いやダメだろ。
俺は家入さんに言われたことを思い出す。
「君の事情は一部の人間にしか知らされていない。その腕から出る呪具のこともだ
…
通常では見ない状態だから、そこから君の事情がバレるのは避けたい」
あの刃は運動時に出やすい傾向があるが、なんとなく出し入れのコツを掴んできたところだ。
今も気を抜くか入れすぎるかすると、たぶん出てしまうだろう
…
反撃すれば、絶対出る。
悩んでいると、彼女の武器が首の横を切り裂くように通り過ぎていく。
あっぶね!!
思考するのは俺の悪いクセだが、今は仕方ないと思うッ
…
!
俺は脚に力をこめて、グッと後ろへ飛びさすった。
とりあえず距離を取って
…
ぇ。
大きく開いたはずの距離を、一気に詰められた!
繰り出される突きが、俺の胸に向かって
…
キン
…
と甲高い金属音が鳴った。
俺は相手が追撃してくる前に、急いでその場から離れる。
あ
…
危なかった。
背筋が冷え、胸に氷を差し込まれるような感覚が、今も俺を襲っている。
相手にバレず、怪我もさせないで、俺があの攻撃を避けるには
…
相手に見えないスピードで武器をはじく。
今が冬で良かった
…
拳まで長袖に隠れた状態で刃を出し、それを打ち付けて軌道をそらした。
できるだけ、刃は打ち付ける一瞬にだけ出すことを意識し、そして俺が出せる最高速度で腕を振っておいたが
…
見られていないことを祈る。
俺は二人に声をかける余裕もないまま、逃走した。
「真希
…
やりすぎだ。ビビッて逃げ出しちゃったよ」
顔色真っ青だったぞ
…
と、パンダは咎めるような声を出す。
それに対し、不機嫌に返答をする。
「ちゃんと寸止めする気だったっつーの
…
つか、何やったか見えたか?」
「んー
…
よくわかんね。真希がなんかされたっぽいのはわかるけど
…
武器の軌道がちょっとズレたっぽいし」
自信なさげにパンダは頭をかいた。
「たぶん武器を隠し持ってたな。暗器か?
…
それで弾かれた」
最初見た感じだと、何もなさそうだったのに
…
と、少しの違和感を覚える。
「ほー
…
こりゃ期待の後輩だなぁ。
…
とりあえず医務室へ事情を説明しにいった方がいいぞ」
「わかってる」
…
肩に担いだ武具の刃から、巻いていたはず布がバラリと解けて落ちた。
何やってんだろうな、俺
…
。
見上げる空は色が変わり始め、気温も下がってきていた。
俺はあの二人から逃走したあと、医務室に戻ることもせずに、よくわからない建物のそばでうずくまっていた。
さぼりだと思いながら動くこともできず、建物の壁に背を預けている。
俺は一度死んでいる。
俺の認識上は、そう思ってる。
殺される前の俺は、人格というには朧気な
…
頭の中に居るだけのイマジナリーフレンド。意見を求められるお人形。
必要だったから生まれたはずなのに、他人から【それって変だよ】と言われるだけで捨てられた。
頭の中にいる存在をなかったことにしようとしたアイツ
…
主人格が、俺らを消すために選んだ凶器のイメージは、包丁。
俺の死因は刺殺
…
胸を刺されること、計12回。
俺が心から消え失せるまで、それは続いた。
消えてくれと願いをこめて、何度も向けられるそれ。
どうして俺は一回で消えないんだろうという疑問。
…
俺らにとっての他殺とは、存在の否定に他ならない。
なのに、俺だけは
…
幾度存在を否定されても、彼女の前に立っていた。
精神状態の違いもあるのだろうが、実際に腹を切り裂かれたときよりも、胸に刃物を突き付けられることの方がずっと怖かった。
俺を産み出しておきながら、殺してきたヤツのことを思い出すから。
だから、刃物は苦手だ。
自分を殺すものだという認識が強い、といってもいい。
…
見ていて、気分がいいものじゃない。
なんで俺の腕から刃物なんて生えるんだ
…
そう思いながら、腕をさすった。
そうしていると、少し離れた位置から足音が聞こえた。
その方向を見れば
…
マキ先輩がこちらへ近づいてくる。
俺は立ち上がることもしないまま、彼女を見つめた。
彼女も俺の目の前まで近づいて、じっと見てくる。
「こんなとこで何やってんだ」
その質問に、俺はさっきも思ったことをボソリと呟いた。
「
……
何やってんだろ」
「私が聞いてんだろーが」
彼女は苛立ったように、腕を組んでこちらを見下ろす。
「さっきはやり過ぎた
…
とは思うけど、私は謝らないからな」
「あの程度で逃げんな。呪術師になったら、あんなんじゃすまねぇぞ」
俺は黙ったまま、彼女を見つめた。
「なんだよ、言いたいことがあるならハッキリ言え」
「
…
別に、なんもない」
「じゃあなんでこっち見んだよ」
「アンタが話しかけてくるから」
「生意気言うな、敬語使え後輩」
なんだこの人
…
。
用がないなら、どっか行ってくんないかな。
俺は気まずさを感じて、そっと視線をずらした。
彼女がため息をついたのが聞こえた。
そして、足音が近づいてきたかと思えば、腕を掴まれて引っ張られる。
「ほら立て、戻るぞ」
「
…
っ、勝手に戻るから、放っとけばいい
…
じゃないですか」
「戻ってねーやつが言っても信憑性ゼロなんだよ。あと、私が怒られるし」
俺はそう言われて、ただ黙ったまま手を引かれた。
彼女の背中を見ながら、歩いていた。
長い髪が揺れるのを見ていると、彼女は振り向きもせず、こちらへ話しかけてくる。
「お前、なんで呪術師になるんだ」
「
……
時間が欲しかったから」
「なんだそれ、普通逆だろ。呪術師になったら、すぐ死んでもおかしくない環境なのにか?」
でも、俺の状況がそれを許してはくれない。
それを彼女に言ったってしょうがないし、言ってはいけないから、俺は黙った。
俺が答えないのがわかったのだろう。
彼女は、また別の質問を重ねた。
「お前、死ぬの怖いか?」
「
…
それは怖くない」
一度死んだ身
…
精神からすると、特に何も思わなかった。
死んでいる間、そこに俺の記憶はなく意識もない。
…
何もないこと、それに恐怖は抱けなかった。
「じゃあなんで私から逃げた。怖いから逃げたんじゃないのか」
確かに怖かった。でもそれは、死ぬのとか怪我をするのがってことじゃない。
俺が逆らえない、絶対的な存在を思い出したからだ。
それに
…
俺が殺したやつのように、記憶も意識も立場も奪われて、抜け殻のように佇むだけの存在になるくらいなら
…
いっそ死んだ方がマシだ。
だから、死ぬのは怖くない。
怖いのは、俺が俺でなくなること
…
俺という存在が、その在り方を歪められてしまうことだ。
逃げた理由に、マキ先輩は関係ない。
…
冷静さを失ってしまった俺の問題だ。
俺はそう思って、振り向きもしない彼女の背中に向かって声を出した。
「
…
アンタは別に怖くない。いきなり攻撃してくるのはヤベー人だとは思ったけど」
「敬語」
「はい」
またしばらく、沈黙が続いた。
ただ二人分の足音と、遠くからカラスの鳴き声、木々のざわめきが聞こえる。
…
俺は話すかを少し迷って、でもちゃんとそれを伝えることにした。
「マキ先輩は悪くない。から
…
謝る必要がないのは確か、です」
彼女は、少しだけ振り向いてこちらを見た。
「
…
お前、敬語下手だな」
「それ、五条さんにも言われ
…
ました」
それからはずっと、お互い黙ったまま歩いた。
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