ぎん
2024-06-13 12:42:54
1521文字
Public うちの子話
 

男寡と孤児

今より2年前の話 ギンとアレンの出会い



「ああ、アオ。俺終わったよ。ようやく妻と子供の復讐が、終わったんだ」

ポツポツと雨が降ってくる。呼び出された先はウルダハの路地だった。あたりは一面真っ赤に染まり、男はただ1人、血みどろの空間に佇む。血生臭い匂いが、雨の匂いと混ざり自身の身に纏わりつき、返り血なのか自分の血なのかわからない。顔も身体も血に濡れて、ブラウンの髪から滴り落ちる。

辺りは異様な光景だった。

切り刻まれ細切れにされた肉があちこちに飛び散り、まるで一種の芸術のような、そんな雰囲気に圧倒されそうになる。

アレン」

アオは言葉に詰まる。血に濡れた親友が、いつものように笑いながらこちらを見ているのだが、エメラルドのように綺麗だった筈の瞳に、光が入っていないのは明らかだった。

「妻も、子も。これでようやく、救われた気がするよ」

今のアレンはご機嫌なのだろう、そう言って鼻歌混じりに双剣の血を拭う。妻と子を殺した男を見つけるのに、1年かけた。1年も。ずっと探し続けてようやく、この手で。

……長かった。本当に」
「そうだな」
「でもさぁ、もう疲れちゃったよ。これからどうしようかな」
…………

アオはその問いに答えることはできない。親友の為に、復讐を手伝った1人だから。

「なあ、アレン。また一緒に俺と冒険しよう。俺らなら何処へでもいける。ここから離れてもいい。俺はお前を連れて何処にでも

その言葉を遮るように、アレンは言う。

「俺は遠慮しておくよ。……妻と子に会いに行くんだ」

アレンは寂しげな表情を浮かべた後、再び笑顔を見せ手を振る 。アオも小さく手を振って返すと、そのまま路地の奥へと消えていった
路地には静けさが戻る 。アレンがいた場所には小さな花束が添えられていた。

……今、会いに行くからね」

ゆっくりと立ち上がり、歩き出す 雨足が強くなっていく中、傘をさすこともなくただひたすらに歩を進める。

先程までの出来事などなかったかのように、無言のまま ただ前だけを向いて歩いていく。