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kurotera
2024-05-27 10:24:32
4293文字
Public
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【ラビリュカSS再録集サンプル】Même si ce n'est pas le destin.
東京流通センター(TRC)
TRCオンリーライブ2024 June.09
スペースNo.D23
サークル名:カノコソウ
【Même si ce n'est pas le destin. destiné aux adulte】
ラビ×リュカ
小説
文庫サイズ 214頁
800円(通販の場合+送料)/全年齢版とセット購入の場合は1500円
無印軸、エトステ軸、アニメ軸、イノブレ世界が一緒くたになっています
TwitterやWEBであげていたラビ×リュカのSSを再録した本です。
2024.6.9のラブアップ★チュウ21で頒布予定。
よろしくおねがいします:)
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Marcher un jour de pluie
雨が降る朝は、ひっそりとしている。
いつもならばはしゃいで賑やかにしている子どもはカラフルな傘の下でくすくすと控えめな声でお喋りしているし、駅に向かうスーツ姿の大人は早足だ。
雨雲の下をくぐりながら日常に向かう人々をなんとなしに眺めたあと、ラビはちらりと隣の男を見た。
三十分前のこと。
――
散歩にいく。
ようやくベッドから抜け出し、寝ぼけ眼、寝癖のついた髪のままで階下に降りたラビに告げてきた恋人の言葉を受けて、低い声で、散歩、と唸った。
今日はオフで、しかし空はすでにぐずついている。ゆっくり朝食を食べてからどうするかを考えようと目覚めきれない頭で思案していたラビにそれは寝耳に水だったが、リュカはすっかり身支度をととのえて今にも出て行きそうだった。
「
……
なんで?」
「雨の音が聞きたいからだ」
他に理由があるとでも、と言いたげなカーマインの双眸に、そうかよ、と頷きかけたがしかし慌ててゆるりと首を振り、ぐし、と頬を擦った。
「待って、オレも行く」
掠れた声を出すラビに目を細め、ドアノブに手を掛けていたリュカが瞬きをした。
それから眉を寄せ、それなら早くしろ、と言ってきたのでラビはこくこくと頷き、洗面台へと引っ込んだ。
――
なので、寝癖はなおしきれていないと思う。
ラビとリュカは言葉少なに歩いていた。人通りの少ない道を、それぞれの傘を差してあてもなく歩いている。せっかくならば駅前の店に寄ろうか、と考えたところで、ふと雨の中で微かに聞こえていたリュカの足音が、止まっていることに気がついた。
「
……
リュカ?」
傘を軽く上げ、ラビが後ろを振り返る。数歩うしろでリュカが、じっとこちらを見つめている。
何かあった? と問えばリュカのほうも些か不思議であるといいたげな顔をさせて、口を開いた。
「お前はどうしてついてきたんだ?」
「ん?」
どうして、と理由を聞かれ、ラビが軽く目を見開く。
考えてみればはっきりとした理由も無い。それを言っても目の前の男が納得しそうにないことを察し、ラビは微かに狼狽える。どうしてだろうな、と言ってみれば、傘の薄い影の中でカーマインの瞳がすっと細められた。
「
……
強いて言うなら」
十数秒ほどの沈黙ののち、ラビが口を開く。
「リュカが散歩に行くって言った時、そうしたくなった。リュカの散歩に付き合いたかった。それじゃ、いけないか?」
「
……
雨なのにか」
「それはこっちの台詞でもあるんだよな」
軽く肩を揺らしてラビが笑う。ぱた、ぱた、と雨粒が傘の上で跳ねる音を聞きながら、ラビはほら、と目で促した。小雨でも、ずっと外にいれば濡れてしまう。
「せっかくだからさ、雨宿りもしてみようよ」
「
……
ああ」
ラビの提案にリュカが頷く。
そういえばこの近くに気になっていたカフェがあるはずと嬉しそうに呟くラビの後ろ姿を、リュカは数秒、凝視した。
「寝癖」
短い言葉でリュカが告げ、跳ねた後ろ髪の一部に触れる。
急いでいたからなあとラビは暢気な声でぼやいたのだった。
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