【化菫】無防備が過ぎる

王子様のキスでお姫様は目覚める(要約)なお話とおねが抱くクッションポジになりたいショタ(青年)のお話二本立て。化菫編。










 影を従え見下ろした先、化野の視界に映り込んでいた菫子の頬から彼の視線が薄っすら開いている唇へと標的を変える。小さく生唾を飲み込み、化野は自身の薄い唇をふくよかで柔らかい菫子の唇に重ねた。
 やわく押し付け離れるも未だ起きないと見るや再び唇を押し付ける。数度くり返しても菫子は多少唸るばかりで起きる気配が無いのを幸いに化野は菫子の唇を食むように口付けをしては、尖らせた舌先で艶めいている菫子の唇をさらに潤わせ、とうとう薄っすら開いている隙間に舌を忍び込ませた。恐る恐る中に入り込んだ化野の舌が菫子の口腔内を隈なく探索する。
 粘膜の擦れあう卑猥な音に紛れ、くぐもった菫子の声は苦し気に響き、息苦しさから顔を背けようとするのを化野の手が優しく逃げ道を塞ぐ。親指の腹で菫子の目元を愛おしげに何度も撫で、何人たりとも侵入した形跡のない彼女の中を舌で弄った。
 詰まった喘ぎ声は甘く熱を帯び、菫子が覚醒しているにも関わらず化野の舌は彼女の舌を絡めとり引き合いに出した。逃げても追い掛け擦り押し付け絡み合う舌の動きは軟体動物のよう。
 くちゅりくちゅり、混ざり合う唾液を化野は菫子に飲むよう促し、そして自分も恍惚とした顔で飲み啜る。
 いつの間にか化野を押し返すべく彼の肩に置かれていた菫子の手は縋り付くように掴み、口付けの角度を変え深くなるにつれ小刻みに跳ねていた。



 「起きましたか」
 やっと解放されたかと思いきや、満足気に目を眇め見下ろし宣う化野が自身の服の袖で口元を拭い、肩で息をし紅潮している菫子の口端から零れ落ちている唾液を恭しく親指で拭う。
 「随分と熱烈な起こし方じゃないか……
 「この方がいいと思いまして」
 わざとらしく艶やかな手付きで菫子の耳に髪を掛ける化野に菫子の口から嬌声の欠片が零れ落ちた。咄嗟に羞恥から口許を押さえ、目を逸らす菫子。そんな初々しい彼女の様子に思わず目を開け凝視していた化野がグッと顔を近付け、とても満ち足りた声を鼓膜を通り越し頭蓋奥に注ぎ込む。

 「僕のお姫様は寝ても覚めても実に魅力的だ」

 この続きはあなたの城でやりますか。ガムシロップたっぷりのコーヒー染みた化野の囁き声に菫子の顔が一気に熱を持ち、それを分かった上で化野は買ってきたアイスコーヒーのカップを彼女の頬に押し当てた。
 急に押し当てられた冷たさに椅子をひっくり返りそうになるも、如何にか耐えた菫子はドッキリを仕掛けた化野をジト目で睨み、ドッキリを仕掛けた化野は引っ掛かった菫子をとても楽しそうに見下ろしては笑っていた。