炊飯場からカップとヤカンを取りに行っている間に毛布を取りに行ってくれたようだ。オークは毛布に包まっていた。
私はヤカンを焚火の上に乗せる。
オークの今の状態は重度のPTSDの症状に酷似している。
道中に敵に襲われたりなどしたのだろう。
辛い道中察して余りある。
これで良くなるとは思わないが、多少なりとも気を緩めることが出来れば良いのだが。
そんなことを考えている内に、ヤカンが甲高い音を立てて鳴った。
「寒いだろう、白湯を作ったから飲んで暖まれ。」
私はアルミのカップに湯を注ぎオークに差し出す。
オークは何も反応しない。
「今は飲みたくねえだってよ。オーク、白湯くれえ好きな時に飲みてえよな?」
爺がオークに話しかける。
湯呑みを出してもぼーっと空を見つめるだけだった彼が急に立ちあがる。
立つとは思っていなかった私は思わずカップを落とす。
足元に熱湯がかかる。
「あつっ!」
私は慌てて足を押さえる。
ズボンの裾を捲ると皮膚が赤くなっていた。
私は自分の火傷に気を取られていて気付いてなかった。
今、何が起きていたかを。
「危ねえ!」
爺はそう言っていた気がする。
気づいた時には上に爺が覆い被さって、そして鼓膜を破るような『圧』が全身を走った。
衝撃が止む。
背中には何か暖かいものが流れている。
私は何もわからなくなっていた。
何が起こったのか、何が起きているのか。
私はオークが居た場所を見た。
そこには肉の破片が散らばっていた。
胃酸が喉を逆流する。
喉元まで胃の中身が登ってくる。
それと同時に銃声と叫び声が聞こえた。
私の聴覚がいままで聞こえていなかった音を拾い始める。
周囲ではけたたましい爆発音が鳴り響いていた。
私はそこでようやく事態を把握した。
背中に流れるものは爺の血で、肉片はオークで
私達は殺されようとしているということを。
同胞に、ルビコニアンに。
そして
私の脳髄に衝撃が走った。
何かが爆ぜる音が聞こえた。
視界は真っ白で
何も見えない。
誰か
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