傍にいるのが当たり前の関係がいきなり壊れたらどうする?な話
・ゼルガディス×アメリア
・ゼルガディスが病んでアメリアを誘拐する
・ゼロスが唆す役
・時系列はTRY後、ゼルが通い婿やってる前提
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Marriage? 恋を奪い取れ! 1/3
俺が望むものはいつも手に入らない。
挙げるならば、元の身体。諦めるわけにはいかないが、かなり希望が薄いことは自覚している。こんなにも望んでいるというのに、想いだけでなんとかなるのなら人生苦労しないということだろうか。
想うだけで叶うなら、どんなに────
「ゼルガディスさーん!!!」
遠くからアメリアの声が聞こえる。王女らしからん大声だが、今となってはすっかり慣れてしまった。しかし、ここから王宮まではかなりの距離があるはずなんだが
……。
見上げれば、城壁の窓から身を乗り出してぶんぶんと手を振っているアメリアの姿があった。
セイルーンへ来るよう誘われ、これでもう何度目だろうか。何だかんだで足しげく通ってしまっている気がする。しばらく間を開けるとアメリアがごねるというのもあるが、何より、俺の外見では街をうろつくのにも不自由するからというのが大きな理由だ。
国公認で堂々と街を歩き、買い物や宿探しができる。これだけでも過ごしやすさは段違いだ。
逆に言えばそれだけで、他意はない。はずだった。のに。気づけばずいぶん、必要以上に入り浸っている。そのうえ、まずいと頭のどこかで警鐘が鳴るのを無視し続けている始末だ。
「ゼルガディスさんゼルガディスさんゼルガディスさんゼルガディスさあああああああああああああああん!! 聞こえてますかあああああああああ」
「だああっ! 聞こえてるからちょっと待ってろ!」
「はーい!」
どうやら王女様は俺に考え事をする時間すら与えてくれないらしい。呪文で身体を舞いあがらせ、アメリアの元へ飛んでいく。正面から入ると、あの妙に熱血な王子の相手をせにゃならんので、最近はこうやって直で窓や城壁から来訪することにしていた。
一応許可はあるんだが、それも無警戒すぎるんじゃあないか。まあ、本人が良いと言うのだから余計なことは言わないでおこう。
窓から侵入というのは族のようだと苦笑しつつ、開けられた広い其処へと身体を滑り込ませる。ドレス姿のアメリアが、相変わらずの笑顔を向けてきた。
「お久しぶりですっ!」
「
……ああ」
久しぶりと言っても、一ヶ月も経っていない。だがそれをわざわざ指摘するほど野暮ではなかった。俺の案内のため、嬉々として駆けだすアメリアの後を追って、広すぎる客室へと足を踏み入れる。
机の上には、揃いで磨かれたティーカップと、品のある菓子類が並べられていた。こういうものを見せられると、嫌でもアメリアは王女様なんだと思い知らされる。もしや、それを狙って侍女たちがわざと用意しているのかとも考えたが、直情型の人間ばかりで成り立つこの一族の元にそんなひねくれ者がいるわけもない。
どうも、最近卑屈な思考が目立つ。らしくもない。なかなか成果の上がらない近況のせいで無意識に苛立っているんだろうか。
ティーカップを手に取り、一口飲む。
普段はアメリアが聞きもしないことをぺらぺらと話しまくって時が経つというのに、今日は部屋に入ってから妙に静かだった。菓子にも手をつけていない。どうかしたのか、と、声をかけようとしたところで先んじて、
「なにか、ありましたか?」
と問われた。
「別に、いつも通りだ」
「そうですか? なんだか考え事をしているようで、気になって
……」
言い当てられ、フッと笑いが漏れてしまった。心配されてしまうとは情けない話だ。とことん今日の俺はおかしいらしい。
「たいしたことじゃない。それよりアメリア、お前の方はどうなんだ」
「へひぃ!?」
アメリアはすっとんきょうな声と共に、ずざっと身を引いた。
やはり何かあったのか。これ以上ないほどわかりやすいのがあまりにらしすぎる。挙動不審にカチャカチャとティーカップを鳴らす様が見ていて居たたまれない。
追及してしまうのも意地悪すぎるかと思い、こちらから話題を変えてやることにする。頭に浮かんだのは、普段より人の行き来が多い城下の様子だった。
「そういえば、街の様子がせわしないようだが。セイルーンで何か催しものでもあるのか」
そう訊けば、アメリアはさらにびしっと身体を固まらせて、ぎこちない笑みを向けた。
「えっ、あ~~~、そぉですね、え、えへへへへへ」
話題を変えたつもりが、痛いところを直撃してしまったらしい。
「いや、なんだ、まあ別に俺には関係ないことなんだがな」
こういう時、ガウリイやリナは遠慮なく隅々まで事情を聞きたがるのだろうと思う。けれどもそんなあさましい真似はしたくない。だからといって上手いフォローができない辺り自分の身が恨めしい。
気まずい沈黙の中、アメリアがぐっと気合いを入れるように握りこぶしを作った。
「実は、その。ゼルガディスさんに関係なく、なくもなくもないようなそんな感じでして、ですね」
「どっちなんだそれは
……」
「かっ、関係あります。あるんです。その、あの、その
……」
アメリアはそこまで言うと一度言葉を切って、俯いてしまう。それでも、頬が赤くなっているのは見て取れるもんだから何故か俺まで身体が強張って、緊張してしまう。
何だと言うんだ。
「けっ」
「け?」
「けけけ、けっ、結婚を、しましょうか!」
握りこぶしを突きつけるようにして、俺に向かって、アメリアはそう言った。
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