らい
2019-10-28 21:00:16
4740文字
Public レオいず
 

スノードーム

レオいず♀(瀬名女体化)※閲覧注意(なんでも許せる方向け)




 もうじき冬が訪れるせいか、最近のセナはひどく寒がりだ。
 郵便受けから手紙を取り出したとき。台所でたまねぎをみじん切りにしているとき。居間のソファーでココアを飲んでいるとき。背後からそろり、そろりと近づいて抱き締めると、セナは決まって「寒いよ、れおくん」と呟いた。
 おれの指先に触れるセナの身体は、暖炉に揺れる炎のような温かみを帯びているのに。調子に乗って、白くてとろける柔らかさのうなじにキスしても、セナはよっぽど凍えているのか、なんの抵抗も示さなかった。ゲームの最終決戦に出てくる魔王を彷彿とさせる般若面で、「しつこい!しばくよ!」と声を荒げることもない。
 万年姑状態のセナがしおらしい態度になるなんて、近年稀にみる異常事態に他ならない。日本沈没、いや、地球滅亡レベルといっても過言ではないだろう。スペースシャトルアトランティス号、おれの声は届いているか!?今から至急インディペンデンス号を向かわせる、どうか到着するまで耐えてくれ!──銀河の彼方まで巻き込む壮大な物語はそこそこに、おれは一つの質問を投げかけた。
 もしかして、セナは、おれに愛想を尽かしてしまったのではないか。
 決して認めたくはないけど、底知れぬ不安に駆られたおれは、「おれのこと、嫌いになった?」と尋ねたわけである。
 我ながら、女々しい質問をぶつけてしまったもんだなぁ、と思う。ところが、セナは、「なに言ってんの。今までも、これからも、ずっと好きだよ。決まってるでしょ。決まってる」と返してくれた。うっかり聞き逃してしまいそうなか細い声だ。けれども、おれを好きでいてくれる、その事実を肯定してくれたことが、たまらなく嬉しかった。
 血液いっぱいに音符が溢れて、頭のてっぺんからつま先にかけて、一枚の楽譜になってしまいそうなぐらいに。


「わはは。だよな。……知ってた!」


 セナに飛びついて、まっしろな頬にくちづけた。たらこみたいに尖らせたくちびるで、色気のないキスをした。
 好きがあふれるって、こういうことなんだ。
 格好よくキメようとか、そんな見てくれなんて二の次で、うららかな気分とともに駆け出してしまう。


……冬が来るね、れおくん」


 セナは、静かにぼやいた。華奢な肩は、少しばかり震えていたように思う。