らい
2017-07-29 23:03:22
12007文字
Public レオいず
 

リコルダンツァはもう弾かない

レオいず(+つむぎ)/お弁当と思い出にまつわるもどかしい二人の話



「そういえば、ひとつだけ聞いていい?」
「はい、なぁに」
「教室の扉からこっそり顔を覗かせているおれに、よぉ~く気がついたな!」
「はぁ~?」
「ほかの奴らとふつうに話してたから、急に後ろを振り返るとは思わなかった!わはは!」


 泉の両肩に手を置いて、前後に揺さぶる。ちょっとぉ、やめてよねえ。泉は眉をゆがめながら、レオの手の甲に指を這わせて引きはがす。泉の指はやはり冷たくて、レオの心臓は再びドクリ、と波打った。全身に血が駆けめぐって、触れられた手の表面が熱くなる。


「まぁ、なんていうか。……なんとなく、あんたがいる気がしたから」
「え?」


 泉は、気まずそうに目を逸らす。おれがわざわざ呼ばなくたって、セナは気がついてくれるよな。いつぞやの台詞が思い返される。脈を打つ左胸ごと、髪のしっぽがぴょんと跳ねた。