Kazane_sk
2023-11-06 13:58:42
2328文字
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血染め空

シノビガミ・DX(ダブルクロス3rd)世界線の七浜魅津の失明前後のお話です。


「私達が欲しいものを持ってるのに」
「女の癖して男の服着て」
「男に女として見られまくってるのに気持ち悪い」
「オタク趣味とか似合ってない」

「外見も性自認も女のくせに、女らしくないことするな」

……。」

はいはい、放課後のこれもいつものいつもの。
聞き慣れてますとも。言われ慣れてますとも。今更ですとも。
別によくない??だって私迷惑かけてないよ???男と関係性持つなり誑かしたり、なんなら普通に会話した覚えすらないよ?
なーのにそんなこと言われてもねぇ。

……そうだ、片目潰せば外見悪くなるしイライラしなくなるんじゃない?」
「確かに。そうすればこいつが男みたいな服装しても『どうせ顔汚いし』ってできるし!」

いやぁ、そんなイラつく前に1回着てみなよ。自信ないなら選び方のコツぐらいは教えられるし……。シンプルなやつだったら女の子でも着られるようなほぼジェンダーレスなのもたくさんあるんだし。

「男誑かそうとしても、『あいつ片目潰れてるしw』ってできそうだよね~!」
「やろやろ!コンパスかボールペンある?」

というか、男子も表では散々言ってるのに私がそれを誑かしたりしてるって何?筋通ってないのも程がない?恐らく筋を通したがる人間であろう裏社会の人間とかが聞いたらすぐキレそう。なーん──

グイッ

魅津「──。」

──て。

ブツリ

……
……え?

魅津「あ、ッ!?」
「あっはは!!よかったじゃん、これで胸張って男の服着れんじゃん!」
「感謝しなよー?アンタの趣味はそのままでいいってしてやったんだしさぁ?」
魅津「いや、ぁ、あァぁああぁぁぁあっ!?」

うそ、あつい、なんで、なんでみえないの、真っ赤なの、どうして、痛い、痛い、痛い、痛い!!!ど、して?どうして、ここまで──!?

魅津「なんっ、で、ここまで──!?ここまで、できるの!?」
「いや、そりゃぁ『友達』の趣味は尊重したいしさ?」
「ねー。もうこれ以上、『友達』が趣味を馬鹿にされないようにっていう気遣いと優しさだよ、や・さ・し・さ!」

なんで──!?
なんで、そこまで笑えて!?

「んーでも、なんかそれでもうざいなぁ。片目程度じゃまだオシャレすればどうにかなりそう。もう片目潰す?」
「あー、その方がいいかも──」
「ッ!!」
「な、ちょ!逃げんな!!」

──殺される。
そう明確に思ったのは、今日が初めてだった。
逃げる。どこへ?家は遠すぎる。
隠れる。どこへ?あまり隠れ場所に心当たりがない。それに──

魅津「っ、ぐ……!」

いたい。
右目があった場所から、熱と痛みと血がとめどなく湧いてくる。
血は、きっと床を濡らしている。跡を辿られれば、簡単に見つかる。
逃げるべき場所は、自分が入れて、相手が簡単に入れない場所──
──そうだ、屋上だ!
私の学校は屋上にちゃんとしたフェンスが無い。その分、屋上は生徒立ち入り禁止になっている。──ただ1つ、天文学部を除いて。
……今日が鍵当番の日でよかった。

魅津「……はぁ、っ……

屋上の入り口の鍵を開けて入り、屋外側から施錠する。
施錠して物陰の方へと行けば、数刻も経たないうちに私の脚から力が抜ける。

魅津「はぁ、っ…………出血、少しでも、っ……

制服のポケットからティッシュを取り出して、ガーゼ代わりにして右目のあったところを押さえる。……目が心臓より上にあってよかった。予想よりはまだ出血も少ないや……
──まさか、こんなことになるなんて思ってもいなかった。
私、みんなに何か尊大な態度でもとったりしたかな。誰が見てもダメって言いそうな事、したかな。
……だめだ。どれだけ足掻いても思いつかない。でも、そうでなければなんでここまで……?なんで、単に気に入らないから、みんなと違うからって、こんな殺されそうな思い──

ガチャリ。

──え?

「あー、天文学部の顧問がちょろくてよかった。簡単にスペアキー借りれたし」
「それを言うなら昨日クラス写真の撮影あってよかったよね。理由だってうまくこじつけられたし。『落とし物しちゃった』、ってさ」

うそ、なんで、どうして──

「──み ぃ つ け た」

いや──

魅津「や、嫌ぁ、っ──」

逃げなきゃ、にげなきゃ、にげ、なきゃ──?

魅津(あれ……浮遊、感──)


────ドサリ。