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豆炭々炬燵
5693文字
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星のカービィシリーズ
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【デデカビ】小さくて大きな存在【小話詰め合わせ】
※新作ゲームのネタバレ含みます※
時系列があるようなないような。大体ふせったーの妄想集めてまとめた感じです。
1
2
◇知らないままでいい
厄介極まりない洗脳が解けてから日がな一日ベンチに横たわる。この世界に来た頃はこんな穏やかな日々を過ごせるなんて夢にも思わなかっただろうな。
毎日楽しそうに町中を駆け回るあいつを目で追う。暢気に釣りしたり、珍しく真剣な顔でタマコロしていたりと本当に忙しない。時折、律儀に挨拶にくるあいつがまた緊張感のない足音をたて傍に来るなり。
「いつもそこで寝てるの?」
聞いてきやがったので、とくに深く考えず適当に「まあ、そうだな」とが返した。
瞬間カービィの顔が徐々に曇りだしたかと思いきや一気に明るくなり、また短い足で懸命になあ階段下ワドルディ達に作ってもらった家へと駆け出し、近くにいたワドルディ達と何やら話はじめた。
カービィの隣にいるエフィリンが何か言おうとしているが、どうやらうまく伝えられないでいる。
(何かややこしいことになりそうだな
…
)
内心ひとりごちるが、誤解を解くため説明するのも面倒で大あくびをかまし、遠目からカービィのいえの辺りをぼんやり眺めてると。
「できたよー!」
とかく嬉しそうにカービィが駆け寄ってきた。
「何が」
「デデデもぼくのいえで寝れるようにワドルディたちに工事してもらった!」
カービィの家近く工事を請負ったと思われるワドルディ達の「わにゃ!」という声が元気よく響く。
目の前で喋っているカービィの話を半分聞き流しつつ心の中で呟いた。
別にオレ様は寝る場所がなくてここにいるわけではない。何ならワドルディたちが別途で作った専用の部屋があると。ただカービィがポップスターに帰る気がなさそうだから、町の中だけだろうとも視界端にカー
…
。
「でね、聞いてる?」
「おー」
現実に引き戻されるも話を真面目に聞いてなかったため生返事。
今現在進行系で手を取り「みてみてー」と急かすカービィを振り払わずに大人しく付いていく。少し前のオレ様だったらありえない状況だが、
…
まあ、たまにはいいだろ。
後ろの家来ワドルディたちが何か言っている気もしないでもないが生憎聞こえず、
(何となく察しはつくがな)
そのままカービィの家の前に着いた。あんな短期間でよく出来たもんだ。窮屈に屈まなくとも通れる扉を開ければ、ある意味見慣れた光景が広がっていた。ただ違うのは大体サイズが元の家より大きく、余計にカービィの小ささが際立つ。
「今夜から寝てだいじょうぶだからね!」
能天気な顔をするカービィの頭の手をポンと乗せ「ありがとな」とらしくない事を言ったところで、目の前にいるコイツは屈託のない笑顔で笑うだけだ。
カービィの隣なにか言いたげだが言うのを躊躇っているエフィリンにだけ見えるよう口元に指を添え小声で伝える。
「(内緒にしといてやってくれ)」
「(
…
! うん!)」
色々思うところがあるが、どうやらエフィリンは都合よく「カービィの優しさを傷付けないため」と受け取ってくれたらしい。こっちとしては有難いこった。
というか、恐らくカービィ以外はオレ様専用の部屋があるのを知っているんだろう。それをカービィに伝えるタイミングを失い、家をリフォームしちまったからまあ
…
。
ワドルディ達も深く考えずにカービィの提案を受け入れ実行しただけだろうと考えただけで、とことんエフィリン含めお人好しが過ぎる。
日が暮れ始めるにつれ町が静かになっていく。新世界でも逞しく暮らすワドルディ達の生活リズムは規則正しい。夜の帳が降りる前に皆家路に着き、家の明かりがポツポツ点くのに比例して外にいたワドルディ達の姿が消える。数名の町を警備する者を除き、すっかり静かになった町の中のっしのっし歩く影ひとつ。それは真っすぐ目的地の場所に向かって歩き、手慣れた様子でひとつの家のドアノブを回す。
「おかえりー!」
「おかえりなさい!」
「おう」
元気に出迎えてくれる声ふたつに返す声はにじみ出る嬉しさをひた隠す。そのまま最早日常生活の一部と化した流れで二人から今日の出来事を聞く。殊更楽しそうに身振り手振り話す姿は見ていて楽しく思わず顔が緩む。
「おやすみー」
「おやすみなさい」
そして、大体決まった時間に揃ってベッドに潜り込んだ。
静かな夜。穏やかな寝息に紛れ、何かの物音を聞きデデデが目を覚ます。
(こっちに来てから眠りが浅くて仕方ねぇ)
それでも幾分かカービィの家で寝るようになってから改善されたものの、プププランドにいた時ほどの熟睡は出来ていない。瞼を擦り布団の上で寝ているエフィリンを起こさぬよう、上半身を起こす。隣で寝ていた家主がいない。星明り差し込む部屋の中を見渡してもカービィの姿は見当たらない。
「
…
外か」
こんな夜更けに何をしに。そんな疑問を浮かべつつ、デデデもベッドから抜け出し外へ出た。勿論、ぐっすり寝ているエフィリンに細心の注意を払って。
扉から顔を覗かせ周囲を見渡せば、今まさにワープスターに乗ろうとしているカービィを見つけた。
デデデの視線に気付いたのか、カービィが動きを止めゆっくり振り返る。
「デデデ?」
後ろ手で扉を閉め近付くデデデをカービィが小首を傾げ見つめた。
「こんな夜遅くにお出かけか」
「うん、ちょっと目が醒めちゃって。夜空の星を見に行こうと思ったんだけど、起こしちゃったみたいでごめんね」
「なら、オレ様も連れてけ」
カービィの返事を待たずさっさとワープスターに乗るデデデにカービィは戸惑うことなく二つ返事で返し自身もワープスターに乗った。
カービィが乗ったことで上昇をはじめるワープスター。夜空が近付くにつれ人工的な光が遠ざかり、空に瞬く星の輝きが増した。ある一定の高さまで上昇したワープスターはそれ以上上昇せず、穏やかな川に浮かぶ葉のようにゆっくり空を流れていく。
心地よい沈黙を先に破ったのはデデデの方からだった。
「たまに一人で来てるのか」
「うん。エフィリンには内緒」
折角気持ちよく寝てるの起こしたらかわいそうだから、と。珍しく申し訳なさそうに話すカービィに”らしくない”といえば”とてもらしくない”ことをデデデが小さく呟く。
「だったら今度からオレ様を誘えばいい」
これがプププランドにいた時だったら、からかいの言葉のひとつやふたつ言ってただろう。
だが、今は随分と素直になってしまったとデデデ自身内心毒付きながらも言わずにはいられなかった。
きょとんとした顔で見上げるカービィの目がだんだん夜空の星々に負けず劣らず輝きだす。
「いいの?」
「お、おう」
思わずカービィに押され、どもってしまった。ただカービィの喜びようにデデデの頬も緩む。
そのままワープスターに乗った二人は夜空の海を当てもなくゆったり眠気が来るまで流れて行った。賑やかで何処か寂しい光が地上を彩るワンダリア跡地まで流れ着いた頃、ようやく眠気が来たのかカービィが小さく欠伸を零す。
「そろそろ戻るか」
「うん、お願いワープスター」
ラン、ワープスターは一度光ってからワドルディの町に戻るべく元来た道筋を戻り始めた。
もうカービィは眠さに耐え切れず、瞼が半分閉じかけている。ほぼ寝ているカービィに事のついでと云わんばかりにデデデは起きている時では恥かしくて聞けないことを問い掛けた。
「なあ、お前エフィリンを誘えなくても他の奴らを誘おうとは思わなかったのかよ。例えば
……
メタナイトの奴とかバンダナとか、をよぉ
…
」
「んー、メタナイトはね
…
。ぼくがいない間も町を、守ってて
…
誘ったら迷惑だろうし、
…
バンダナワドルディも、こんな夜遅くに、誘ったら
…
、悪いかなって
…
」
目を擦りながら答えるカービィの意識は殆ど夢の中だ。もう少しで寝てしまうが、デデデとしては一番聞きたいことがまだ聞けていない。
「オレ様はいいのかよ」
「デデデはね、いいのおー
…
」
「いいんかい」
デデデのツッコミを聞く前にカービィは夢の世界へ旅立ってしまった。それでもワープスターは問題なく二人をワドルディの町に送り届けた。ワープスターから先に降り、すっかり眠ってしまっているカービィを背中に背負うデデデ。落さぬようカービィの家に向かいながら、カービィが眠りにつく前の言葉の意味を反芻する。
「──オレ様はいい、か」
もしかしたらカービィにとって深い意味はないのかもしれない。だけど、そうじゃないかもしれないとデデデは思わずにはいられない。気持ちよさげに眠るカービィを落とさぬよう、家のドアノブを捻り扉を開ければエフィリンが静かに出迎えてくれた。
「起こしちまってすまないな」
「ううん、大丈夫だよ」
エフィリンがふわりと近付きぐっすり寝ているカービィを見てほほ笑む。
「すっかり寝てるね」
「何も聞かないんだな」
「二人が無事に帰ってきてくれた。それだけで何も聞く事なんてないよ」
「そうか」
「もうすぐ朝になっちゃうけど、たまにはお寝坊さんでもいいよね」
「ちげぇねえ」
二人揃って顔を見合わせ、くすりと笑い既に寝ている一人を抱えてベッドに潜り込んだ。
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