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豆炭々炬燵
3382文字
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The Night
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【The Night】永遠の底
性癖にぶささったファンアートの二次(三次)創作。
作者様の素敵設定がさらなる妄想を掻き立てるゥ!
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教室の片隅。一人ポツンと離れ小島から賑やかで楽しそうなクラスメイト達を静かに眺めては視線を手元に落とすのを繰り返す。
いつもクラスの中心にいる子はみんなから好かれている。明るく気さくで頭も良い。いつも周囲には笑いが絶えない。盗み聞きしているわけじゃないけど、聞こえてくる会話の端々から伝わるその子を中心にして成り立っている。誰も彼もの視線と意識の先にその子がいて、その子は楽しげに笑う姿は輝いて見えた。
内気で読書ばかりしている者とは対極の存在。友達が全然いないわけではない。ただ多くの友達に囲まれ注目されているその子の姿に自身を重ねたい願望が胸の奥で子供みたいに喚いている。
でも、出来ない。そうなりたいという意志はあっても行動に移せない。結局、意気地なしな性格を言い訳にして羨望に彩られた眼差しでその子を遠目から眺めては勝手に薄暗い澱が心の底に降り積もる様を他人事みたいに、目を逸らし続けていた。
こんな時は本を読むに限る。本の世界はいい。本の登場人物達に感情移入すればどんな鬱屈した気分だって誤魔化せる。色々な台詞や情景を読み取って考察に耽るのもまた趣深い。
最近のお気に入りはヴァンパイアと少女の恋愛小説もの。出会いから物語の核心、そして終わりまで胸の高鳴りが収まらない。こののめり込みようは近年稀にみるもので、恐らくヒロインに対して所々親近感を抱いている点もその要因の一つだと思う。
加えて学校でも度々噂になっている”ヴァンパイアが住んでいるかもしれないいわくつきの廃城”での読書は格別だった。大人達は決まってあそこに行ってはならないって口酸っぱく言うが、静かで薄暗い廃城の中は本の世界観をより一層近くに感じさせ話の内容に没頭できる。
読破後の充実感なんて廃城との雰囲気も相まって家や学校で呼んだ時とは比べ物にならない。
まさに本を読むのに打ってつけの場所。ちょっとした秘密基地めいたワクワク感もあって中々。
これから先、お気に入りの場所として一人読書する場所になるものだと思っていた
……
。
いつもと同じようにお邪魔して、いつもと変わらず廊下に腰を下ろして、いつも通り本を読んで、何事もなく家に帰るはず、だった、のに
……
。
まさか、まさかまさかまさか!本物のヴァンパイアが現れるなんて思わないじゃない!
廃城の中が急に明るくなったと思えば、奥から吹き抜ける風に乗って怪しく響く男の人の歌声。茫然としたのも束の間、混乱に継ぐ混乱と忘れかけていた恐怖心が体全身を駆け巡りこの城からヴァンパイアから逃げるのに必死になっていた。途中私服が黒のドレスになったり、無理矢理踊らされて
――
、このまま流され続けては本当に歌の通り花嫁にされてしまう!
丁度踊らされている最中、視界の端に差し込む朝日を捉えた。相変わらず自身の気持ちばかり押し付け上機嫌で歌い踊る相手を観察する。赤い瞳、尖った歯に白すぎる肌。手袋越しではあるが明らかに人肌とはかけ離れた冷たい体温。
そこからは早かった。頭に浮かんだ作戦に覚悟を決め行動に移す。
不安だったけど如何にか作戦に乗ってくれて助かった。陽の光を浴びたヴァンパイアは上機嫌に歌っていた時とは打って変わり、悲痛な断末魔を上げながら崩れ最後は塵になって持ち主がいなくなった服だけがその場に残った。
これで家に帰れる
……
!そんな安堵と喜びが入り混じった感情は後方から伸びてくる黒い靄に掴まれ光のない場所へ引き摺り込もうとする。言い表し難い先程味わった恐怖とはまた別の恐怖が心を蝕み、今まで奥底にため込んでいた薄暗い澱がそれに取って代わろうと這い上がってきた。
這い上がってくる澱がカタカタと頑なに閉じている蓋を押し上げようとする。半ば泣きながら蓋を押さえつけたところで抑圧してきた澱は容易く感情となって溢れ返った。
満ち溢れる異形の力は甘く内に秘めた感情に身を委ねよと囁く。
その囁きに従い体は既に本来の意識から離れ勝手に動き出している。透明な檻に入れられ何も出来ず、ただその光景を見せつけられる無力さに哀しみが頬を濡らす。それこそ形振り構わずどれだけ喚き叫ぼうが、どんなに掴んだ織を揺らして制止を促そうが体は止まってくれない。
それどころか背後から自分そっくりな姿をした影が歪んだ顔で微笑み聞きたくもない目を逸らし続けていた言葉を無慈悲に吐き捨てた。
『 』
何度も何度も呟いては噛み砕いてきた思いを躊躇なく言い切ってしまうその姿に視界と心が揺らぐ。
そして、最後は檻を掴んでいた手を離して力なくへたり込んだ。ふわりと広がる黒いドレスの裾。未だに傍でせせら笑う影と同じ格好。花嫁衣裳とも喪服とも取れるこのドレスは心の奥底に降り積もっていた澱がさながら具現化して表に出てきたようにも思えた。
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