【原型蟹+擬人化蟹】歯を磨いてデコっちゃおう【タマモア】

歯磨き呟き派生の無垢な勇者を大蟹がデコデコするお話。


頗る上機嫌。煌めく宝飾品の数々をモアナに装飾していくタマトアは無意識の内にお気に入りの歌を口ずさんでいる。
「シャイニ~♪」
あれよあれよという間にデコデコされていくモアナは相手の為すがまま。器用に鼻歌混じりのスキップをするタマトアの楽しげな姿に微笑ましくなる。
だが、デコる量が多い。凄まじく多い。多すぎてモアナの肩と云わず上半身が前に傾きつつある。
「ちょっと多すぎない?」
楽しんでいるのを止めるのは忍びない。だが、ストップを掛けなければ最悪宝の山に埋もれてしまう状況にモアナが苦笑交じりに問い掛けた。
すると、先程まで心を躍らせていたタマトアが一気にモアナとの距離を詰め、目をカッと見開いた。
「嬢ちゃんはもっと輝け!(俺好みに!)」
「輝けって言われてもこんなに沢山だと肩請っちゃう」
「チッ、これだから脆弱な人間は……
隠す気など毛頭ない舌打ち。不承不承デコっていた光り物を片付けるタマトアの背を見てモアナは閃いた。
「あなたって器用よね?色々と」
「そりゃシャイニーに煌めくヤツは大体壊れやすいからな。壊れて価値が下がったら意味がない」
「だったら作ってみない?その、キラキラ~ピカピカ~なのあなた自身で!」
「は?」
理解し難いモアナの言い分にタマトアの顔があからさまに顰められた。
しゃがんでも尚、彼女より体格差も身長差もあるタマトアが首を捻ってモアナを見遣る。
「輝くものが好きなら作っちゃえばいいのよ」
「いや、待て待て待て。どっからその発想に辿り着いた?」
「正直このキラキラピカピカ私好きになれなくて」
「あ”あ!?」
自慢の光り物を貶されたタマトアがいきり立ちモアナに詰め寄り、少しでも力を入れれば簡単に折れてしまう首に手を伸ばす寸前、屈託の笑顔でモアナが言ったのだった。

「結局この輝きたちは何処かの誰かが作ったもので。それなら私はあなたが作った輝きがいいな~、なんてね」

完全に行き場を失ったタマトアの手が空に浮き、暫くして居た堪れなくなり後頭部に回した。
「つまり何だ」
タマトアが素朴な疑問をぶつける。
「つまり、あなたの好きな輝きをあなた自身が好きなように思うままに作る?」
疑問形で返ってきた。だが、モアナ当人これだ!という言い方が見付からないらしく腕を組み悩んでいる。
ふと、気まぐれで人の姿を得た魔物は考えた。今の今までモアナが言った事を考えたのなんて一度も無かった、と。
「ほとほと嬢ちゃんには驚かされる」
「? どういたしまして」
「褒めてな、いやそうかそうなるか」
口許に軽く握った手を置き思案に更けるタマトアはまず何を基盤にして作るか頭の中で構築し始めたのだった。